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【Landing Point】もっともっと高く、羽ばたくための約束を 【黛冬優子】

 一体何がストレライトを「本物」たらしめるのか。彼女たちがステージに立ち、常に「最高」を更新し続けること。その在り方こそがストレライトである、というのが先日のイベントコミュ『The Straylight』での結論であり、「Landing Point」と銘打った今回のシナリオでも今一度振り返ることになる、彼女たちの基本理念だ。

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 なぜ精神論から本文を始めたのか。すでにシナリオをお読みの諸氏ならおわかりだと思うが、今回の新シナリオでは、ユニットのさらなる飛躍のために奮闘する黛冬優子が自身を見つめ直し、ストレライトが向かうべき進路へと再び飛行を開始するための、大切な助走の物語であるからだ。ドーモ、伝書鳩Pです。今回もよろしくお願いします。

 始まりは、ストレイライト単独のワンマンライブ開催の報せを受けたところから。ユニット初の単独でのライブに、冬優子はこれまでにないほどの意欲を見せる。プライベートな時間も全てライブへの準備に割り振って、プロデューサーと二人三脚で、自分たちの晴れ舞台を創り上げてゆく。

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 冬優子のワンマンライブに対する意気込みは、ストレイライトへの愛着の証左である。先日実装の限定P-SSR【ONSTAGE?】でも描写された通り、冬優子にとってあさひと愛依は肩を並べて競い合うライバルであり、大切な仲間である。そんな二人とのライブを、冬優子自身が大事に想い、最高のものに仕上げたいという気持ちは、これまで積み重ねてきたストレイライトの軌跡の尊さを感じさせるものだ。

 そんな日々の最中、冬優子に別のオーディション企画が舞い込んでくる。ソロでの指名になるが、合格すれば歌番組への出演権が得られる。冬優子は、新規ファン獲得のワンマンライブへの宣伝を狙い、参加を決める。

 ところが、結果は不合格。審査員によって、冬優子が「今、ここ」を見ていないことを、見抜かれてしまったからだ。これにより、冬優子は自身の不覚を悟る。ワンマンライブに浮かれるあまり、目の前の観客のことを見ていなかったこと、たとえオーディションでも、全てのパフォーマンスにおいて「完璧」を見せつけることを怠ってしまったこと。この時冬優子は、ストレイライトが「本物」であり続けるための信念を、ストレイライトを大事に想うあまり見失ってしまっていたのである。そのことに、冬優子は自身を責める。泣くことも許さないくらいに激しく。

(余談)
同時実装の愛依LPが「ファンの顔を見る」ことで「自分の信念に辿り着く」物語になっていて、裏返しの関係になっている点も見逃せない。

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 自責の念がそうさせるのか、冬優子はより自罰的に自身を追い込んでいく。レッスンに体力づくりに演出のプランニング。次のワンマンライブでは失敗できないと、身の丈を超えて全力をぶつけようとする。そんな冬優子の様子を見て、シャニPはストップをかけた。

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 ストレイライトは、常に最高であり続けなくてはならない。その初心を忘れてしまった冬優子は、同時にアイドルの基礎を見失ってしまっていた。ファンに喜ばせるために、まずは自分が輝くことを。であるのなら、ライブはファンにとっても冬優子にとっても、楽しいものでなくてはならない。

 そのために、シャニPもまた「プロデューサー」として冬優子の側にいることを、彼女の目を見て伝える。アイドルが輝ける場所を用意するのが自分の仕事なんだから、もっと頼っていいと、彼は優しく諭す。ユニットのリーダーとしての責任を重んじる冬優子の、その重荷を一緒に背負うと誓ったこの男の約束によって、冬優子は冬優子を取り戻していく。

 前回のG.R.A.D.ではシャニP自身が冬優子のプロデュースに迷いを見せるものであったが、今回は冬優子の迷いをシャニPが正す番になった。冬優子だけでなく、シャニPもまた成長しているのだ。二人の「相棒」としての信頼関係の積み重ねを感じさせるシナリオは、時系列順に読むことで味わいが深まっていく。

 ついに迎えたワンマンライブで、物語の主題は序文に戻る。ストレイライトは、昨日の自分を超えていく。失敗も成功も全部、より良い自分たちで上書きしていく。その決意を共有しているからこそ、ストレイライトのパフォーマンスは激しくて、眩しい。冬優子は、そんな自分をプロデューサーに見ていて欲しいとお願いをする。真正面からライブを楽しむ姿を、観客を魅了するアイドル「ふゆ」を見せることが、これまでの苦労への恩返しだと冬優子は知っているからだ。

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 だからこそ、余計な言葉はいらない。冬優子は「ふゆ」が最高のアイドルだとパフォーマンスで証明し、シャニPはそれを受け取った。それだけで、このワンマンライブが素晴らしいものだったとわかる。冬優子自身が納得のいくステージが出来たのなら、それは「最高」で「完璧」だったことに他ならない。こうして、冬優子の恩返しもライブも、大成功にて幕を下ろした。

 ライブの打ち上げの夜、シャニPは冬優子から「約束」を受け取ることになる。プロデューサーから貰ったツバサで、「ふゆ」は最高のアイドルであり続ける。今回のワンマンライブだって、彼女にとってはすでに過去、通過点だ。今日の結果を超えて、もっともっと輝き続けることを、小指に誓うのである。

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 それに対するシャニPの返しも最高だ。思い返せば、「ふゆ」は最初から黛冬優子とシャニPの二人が創り上げたものであり、オーディションでの失敗を受け一人突っ走ってしまった冬優子を引き戻したのは他の誰でもないシャニPだ。いつだって彼は、冬優子とふゆの側に寄り添い続ける。その結果が今回のライブの大成功を導いたことは、冬優子本人が言及している。

 今回のシナリオのテーマは「初心忘れるべからず」ということになるのかもしれない。ふゆとストレイライト、そのあるべき姿を見失い、取り戻すために「二人で一人」に回帰する物語。一度羽を休め、今の進路が間違っていないかを見つめ直すための時間が、黛冬優子の「Landing Point (着陸地点)」に用意された。

 以前『The Straylight』の感想でおれは「迷光は、もう迷わない」なんて書いたが、彼女たちとてまだ若い少女、失敗も迷走もしないわけがない。だからこそ、そんな時はプロデューサーが道を示してあげればいい。W.I.N.G.やG.R.A.D.などの共有コミュやイベントシナリオ、個別のコミュでもそうしてきたように、「ふゆ」は冬優子とシャニPの二人三脚で創り上げていったものだ。だから、どちらかが迷えば、どちらかが軌道修正する。その関係性を追うことができる黛冬優子のシナリオは、おれにとって最高のバディ・ムービーだ

 ニック・ノルティとエディ・マーフィ、 シュワルツェネッガーとジェームズ・ベルーシ、 ケイトリン・デヴァーとビーニー・フェルドスタイン……映画史に燦然と輝く「相棒」モノはどれも最高だけれど、その延長線上に「シャニPと冬優子」がいて、アカデミー賞のトロフィーを受け取る情景がおれの脳内では上映されている。そのスピーチで、冬優子はこう言うのだ。「今回の賞をいただけて光栄です。でも、次の作品では今回をも超えていきます。次は、もっと最高の演技をお見せします。それが、ストレイライトだから」と。おれのスタンディングオベーションは、冬優子と出会ったときからずっと止まらない。立ちっぱなしだ。


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