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人はハイローを8時間連続で鑑賞すると、テンションがMUGENになる。

 とある事情にて一日12~3時間ほど働き労働基準法を逸脱しまくるパンクな日々を送っていると、こんなメールが届いた。

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 ユナイテッド・シネマももち福岡。この劇場はザワ公開直前もザムの三部作を復活上映していたし、昨年末もなぜか一挙上映をやっているような、ハイロー強火映画館だ。編成担当がよほどのLDHファンなのだろうか。この度のコロナウイルス感染拡大にて新作映画が軒並み公開延期となる大混乱の中、「よっしゃハイロー入れられるやんけ!!」と歓喜の声を上げるようなハイローヲタなのだろうか。全く不謹慎な映画館だ。どうもありがとうございます。これからも何かにつけハイローを上映してほしい。

著者紹介

 よっしゃなんとしても行かにゃ、となったこの書き手のこの私、実はザム1~3を映画館で観たことがない。

 こちらのテキストに詳しいが、ハイローに出会ったのは昨年8月のことで、ザワ公開のタイミングでようやくリアルタイムの祭りに参加することができた、履修一年未満の初心者な私。EXILEはイケてるグループが聴くものと避け続けた学生時代を経て、まさかあんなオラついた人たち(偏見)がこんなにヲタクに優しいコンテンツを用意してくれるなんて…とズブズブとハマり、今では川村壱馬くんの顔を見ると胸が苦しくなる立派なファンに成長。そんな私にとって、念願のザム劇場初見というチャンス。まさしく神の天啓。ももちに向けて手を合わせ拝む日々。

 だがしかし、連日の長時間労働で酷使した身体のまま長編映画4本・計8時間超の映画鑑賞が可能なのか。言い知れぬ不安が脳裏をよぎり席の予約にも踏み切れない心の弱さを露呈したものの、ここはやはり逃せない。眠気覚ましの辛いタブレット、頭痛薬、目薬、奥の手の眠眠打破をバッグに忍ばせ、朝一の映画館へ向かうと当日の朝に決意。ですがここでネタバレすると、そういった類は一切使いませんでしたね!!!!!!

HiGH&LOW THE MOVIE 4DX

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 土曜朝。電車での移動を伴うため早起きするつもりがまさかの寝坊。電車に乗れたはいいものの朝ごはんを食べ損ね、軽食にもありつけぬまま劇場へ。開館が10時だというのに10:15上映という強気スケジュールにも関わらず、劇場にはすでにハイロー待ちのお姉さまがチラホラと。かくいう私は売店でお布施と称しホットドッグとドリンクを購入し、とりあえずの腹ごしらえを済ませ入場…の瞬間に初めて気が付きました。4DXだそうです。

 一体だれがハイローを4DXにしようとのたまったのでしょうか。大スクリーンで繰り広げられるHiGH&LOWの世界、そこに4DXの演出が乗せられることで、劇場は超絶LDHアトラクションへと変貌していました。

 冒頭のHI-AXロゴでちょっと座席が揺れるという小ボケをかましてきたわずか一分後、無名街の爆破や山王町へのトラック襲撃に合わせて座席が激しく暴れまわり、ぐわんぐわんと視界が揺れるほどに振り回される観客。深めに掘られたドリンクホルダーですら心もとないと感じるほどに揺れ、先ほど購入したペプシコーラが宙を舞うイメージ映像が脳裏を掠め、そんな私の背中をボコボコ殴る謎マッサージ演出が1秒おきに襲う!!なんだこれ、なんだこれ!!!!!!

 映画はそのまま「HIGHER GROUND」なオープニングへ移行。すると、シートが楽曲のビートに合わせて振動するというかつてない演出で、我々をハイローの世界へエスコートしていく。この演出は全曲徹底されていて、スピーカーやウーファーの近くで感じる振動に近いものを座席から浴びることで、身体が自然と音楽にノせられてしまうという現象が発生。すると必然映画とのシンクロ率も上がるため、問答無用で楽しい。Huluの配信をPCモニターで観るのとは、没入度が段違いだ。

 4DXとハイローの親和性は思ったより高く、雨宮兄弟がバイクで颯爽と登場するシーンでは心地よい風が横から吹いてきたり、雪降る中での琥珀さんと李の出会いのシーンではパウダースノーが降るなど、数々の暴挙が笑いを誘った。それより何より、ハイローと言えばなバトルシーンでは、誰かが殴られ蹴られる度に座席からボコボコ背中を殴られる演出が楽しい。推しに殴られることを疑似体験できるハイロー4DX、おそらく健康にいいです。

 肝心の本編についてですが、私ちゃんとザム読み解けてなかったな、と(座席から振り落とされそうになりながら)反省する意外な展開が発生。ハイローと言えばアクションシーンがやはり気合が入っているのだけれど、劇場のスピーカーから放たれる重低音によって、打撃音が本当に痛い。忘れがちだが、人はたくさん殴ったら死ぬ。一撃一撃の重みが音響によって増すことで戦闘への印象がより血なまぐさく、時折恐ろしくなる場面も。

 そして何より、全ての発端となった琥珀さんについて。琥珀さんは仲間とバイクを走らせたあの幸せな日々がいつまでも続くように、と祈って作った「MUGEN」というグループ…そこに、龍也という親友との思い出を込めた大切なそれが叶わないとなった時、彼は強大な破壊者としてSWORDの前に立ちはだかる。もちろん琥珀さんは極端な例になるわけだけれど、「変化を恐れるあまり前に進めない」という心境、誰しも一度は経験があるはず。仕事上での大きな変化に戸惑う今の自分が、琥珀さんの苦悩の片隅に強烈にシンパシーを感じていた。そうなるとアレですよ、ラストバトルで思わず号泣ですよ。

 ノボルがMUGENを離れることになった時、帰ってこられる場所を作って待ってやれ、とコブラやヤマトを諭した琥珀さん。そんな琥珀さんにも、帰れる場所があるんだ。幸せな日々が続けばいいなんてピュアな気持ちを拗らせすぎてどうかしちまった琥珀さんが、涙ながらにそのことに気づくシーンで、感情移入度はマックス。アクションがない回想シーンになると座席の演出が無くなるため途端に静かになる4DXの座席に心中爆笑しながらも目を潤ませる私。こんがらがった感情のまま、2時間超の贅沢すぎるハイローアトラクションは幕を閉じた。

HiGH&LOW THE MOVIE2/END OF SKY

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 ザム4DX終映からわずか5分後にスタートという、大変膀胱に優しくないスケジュールでの強行軍。しかし、4DXで完全にハイテンションにさせられた状態でのハイロー、まったく苦ではない。むしろ「もっとハイローを浴びてぇ!!!」と意気揚々と駆け込むことに。

 続くザム2は、キャッチコピーに偽りのない「邦画最高峰のアクション超大作」である。潤沢なエグザイルマネーと大内貴仁監督が可能にした、規格外のスケールのアクション。観ながら数分おきに「現場で人死んでねぇか…??」とちょいちょい気になってしまうほど。

 4DXという異次元の体感性を失っても、ハイローの何かが目減りすることは無かった。繰り広げられるアクションとグループごとのテーマソングを「ここぞ!」というタイミングで流す(ちょいちょい外す)ことで形作られるテンポがなんとも心地いい。「USBのデータをもっと早く公開していればこんなことには」「どんだけUSB連呼するんだ」などとヘンテコな部分はあれど、マイナスを補って余りある魅力があるのがハイロー。とにかく飽きさせない。

 ターミネーターばりの存在感を放つ源治、狂犬じみたファイトスタイルの蘭丸が参戦し闘いが激しくなる中、ROCKYに助太刀する流れでSWORD協定が結ばれ大迫力の乱闘シーンに移行する流れは美しく、燃える展開を足し算的に積み重ねていく姿勢は圧倒的に正しい。湿っぽいシーンが前作より減った分、顔のいい男たちのアクションがこれでもかという分量で楽しめる。

 そんな中、ケジメをつけて龍也の写真に手を合わせる琥珀さんの、憑き物が落ちたような表情のなんといいことよ…。彼の髪の毛が伸びたのも「琥珀の時間が進み始めた」ことの証左にもなっていて、そういうとこHIROさんわかりみがすごい。信頼できる俺たちのHIROさん。

HiGH&LOW THE MOVIE3/FINAL MISSION

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 すっかりハイロー狂信者となった我々に、一時間の休憩という「温情」が与えられた。すでに4時間ほど映画を観て疲労困憊かと思いきや、無性に腹が減っていた。朝食を抜いていたこともあるだろうが、何が何でも肉が喰いてェ!!!と完全にオラついてしまう私。結果、佐賀県民憩いの地こと「ドライブイン鳥」で唐揚げ定食(一つ一つが大きくてハチャメチャに旨い)ご飯大盛&ビールを10分ほどでかっこみ、イヤホンから流れる「MUGEN ROAD」をリピートしながら「琥珀さん…帰ってきてください…」とコブラちゃんの気持ちになっていた(2ですでに帰ってきている)。

 16時にもなれば遠出の疲れが出始める頃合いだが、いかんせん身体は元気だしテンションが高い。ぶっちゃけご飯おかわりするか迷ったくらいに、栄養と肉を身体が欲している。どうしちまったんだよ俺の身体さん!?そんなテンションのまま、ザム3のスクリーンへ。朝の4DXからずっと見かけるお姉さんに親近感を覚えつつ、SWORD最後の祭りへと臨んだ。

 ザム3は、SWORDと九龍の闘いに一応の終止符が打たれる、現状の完結作である。SWORD地区に隠されたかつての過ちと、隠蔽と利権争いが激化する大人の論理に、「この町を守りたいだけ」なガキ共が叛逆する。数々の謎が解き明かされながら、隠蔽を暴くための様々なアイテム(斎藤洋介と幼女と鍵のかかっていない金庫に収められた極秘文書)を求めてSWORD連合がそれぞれの役目を果たす。前2作が乱闘戦をクライマックスにしていたのとは打って変わり、サブタイトル通りに彼らが「ミッション」をクリアしていく様子に見どころを割り振っている。「ハイローらしさ」が目減りしているような寂しさも感じつつ、ちゃんと「祭り」にもなっているので燃えポイントは多し。やっぱりハイローは観ていてとにかく気持ちがいいのだ。

 『2』よりも話運びは鈍重だし、ドラマに注力した分ハイローのヘンテコな部分が目立ちやすい、完結作にして不利な立場に追いやられているザム3だが、こちとらすでに6時間強ほどSWOADの女になっている狂信者のため、多少の粗は気にならなくなっていく。いや、むしろそれすら愛おしい。冒頭から裸で吊るされて拷問を受けるコブラちゃん(フェチ要素)!!、コブラちゃんがいなくて寂しそうな村山さん!!、前作で助けられた借りを返したいのか「ここは任せて先に行け」モードのROCKY、鎖を巻いたら最強というバーフバリ理論を俺たちに見せてくれた雨宮兄弟…。ことキャラクター萌えに特化したハイローの真骨頂が、これでもかというくらいに詰まっている。おまけに、最高のタイミングで流れる「HIGHER GROUND」や、祭りの元締めらしい最高の「花火」を打ち上げてくれた達磨一家の男気に涙し、各グループのテーマをメドレーにしたエンドロールでは色んな感情が押し寄せてくる。最高、最高だよハイロー!!動画配信でハイローを観た気になっていた私をぶん殴るかのような情報と感情の濁流を前に、スクリーンでこの奇跡と出会えたことに感謝し、愛しきアイツらと別れを告げた。LDHくんバルジ編早く作ってな!!!!!!!!!!!!!

HiGH&LOW THE WORST

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 なんか全部終わった気になっていたが、本日のメインディッシュが待っていた。私をハイロー沼から抜け出せなくなり、「鬼邪高PTA」を名乗るハメになった罪深いフィルム…。俺たちの村山さんの有終の美を飾り、二次元から出てきたみてぇな顔の良さを誇る前田公輝の良さを語るだけで夜が明けるマスターピース…。ザワのお通りだァ!!!!!!!!

 ザワ、公開当時も思ったのだが、シリーズ全作を見渡した時本作が最も「映画として質がいい」のである。回想中に回想とかいう歪な演出もないし、大人の倫理が横行しないモラトリアム世代の物語であるため多少の無理やりな描写も突き通せる。その土台を元に「轟の君主論の変化」「センパイとしての/社会人としての村山さん」「花岡楓士雄のカリスマとチャーム」「団地の幼馴染の友情」が過不足なく2時間の映画に収まっている。その上で「鳳仙」という魅力的すぎるキャラクターを入れ込んでも破綻していない驚異的なバランス。本当に見事だ。

 何度観ても度肝を抜かれるアクションシーンはやはり心が躍り、クライマックスの団地攻城戦は「燃え」の足し算が得意なハイローの十八番。「石を投げ返す」という動作があれだけ格好良く美しく、血を滾らせるシーンに昇華できるのは、やはりハイローチームならでは。

 アクション、キャラクター萌え、友情、リーダー論、過去シリーズへの様々なセルフオマージュ。これだけてんこ盛りのサービス精神溢れる一作ザワは、何度観ても最高だ。ようやく円盤の発売日がアナウンスされ当然のごとく予約したが、やはり劇場鑑賞には敵わない。応援上映で喉を枯らした昨年末の熱狂を思い出しながら、ハイローリレー完走の達成感で胸がいっぱいになってしまった。

”ザワの続編”としても必見の内容なので「HiGH&LOW THE WORST VS THE RAMPAGE from EXILE TRIBE 大ヒット御礼応援上映会&PREMIUM LIVE SHOW」は必ず円盤にしてくださいLDH様。なんでもしますから。

完走した感想

 これに尽きる。人生で初めて8時間連続で映画を観たし、前日だって15時間働いていて朝は身体が重たかった。なのに、一切の眠気を感じず元気ハツラツ、心臓の鼓動高まりなんだか走り出したい気分だった。これがハイロー健康法か。長時間のハイローの摂取は身体にイイ、ということを我が身をもって証明してしまった。その証拠に、電車で帰宅し着いたのは22時だがそのテンションそのままにすでに5,600字近く文章を書いている。もう気が狂うほど楽しかった。またやりたいんじゃ。

結論:
ハイローは身体にイイからずっと上映するべき
LDHは早くザワ2を作るべき
政府が国民の健康を真剣に考えるのであれば、ザワ応援上映を解禁すべき

 ありがとう、HiGH&LOW.
 ありがとう、ハイローを薦めてくれたヲタクたち。
 ありがとう、ユナイテッド・シネマももち福岡
 私の人生はキンプリとシャニマスとハイローで輝き、そして誰よりも高く跳ぶことができた。

 以上、毎日がなんとなくつまらないと感じているそこのアナタに贈る至高のライフハック、ハイロー健康法のレポでした。

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