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どうしても言いたい!シネマランキング2015!!

※こちらは、他所に投稿した、2015年の個人的シネマランキングの再掲になります。今さら資料的価値もありませんが、名刺代わりになればと。




第10位『ハーモニー』


 34の若さで亡くなった小説家、伊藤計劃の著作のアニメ映像化。病気が根絶された管理社会で、女の子たちが集団自殺を図る話…という「鬱アニメ」の評判を聞きつけ観に来るも、ラストに提示される哲学的な問いにカウンターパンチを喰らった一作。「人間」の定義とは何か?を問うという意味では、後述の『チャッピー』とセットで観るとより興味深いかも。



第9位『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』


 『アイアンマン』のジョン・ファブロー監督最新作。陽気な音楽と上手いメシ、そして愛すべき家族や親友がいればサイコー!という、言葉にすれば陳腐だけど、人生の喜びをギュッと凝縮したような一作。名物の「キューバサンド」にはヨダレが止まんないし腹減るぞ!深夜に観るなよ!?
 何気に、SNSを活用した親子再生ドラマ、というのが珍しかったこともあり、好印象でした。



第8位『アントマン』


 職業は泥棒で前科持ちという、ヒーローにあるまじき経歴の男が、娘に会いたいという一心で極小の闘いに挑む、マーベルコミックスのヒーローもの。誰にも気づかれないような闘いがいつしか世界を救っている、という展開の鮮やかさや、己が小さい故に日常にあるものが大きく見えて…と、ディズニーアニメのような想像力を掻き立てられるのがたらまない快作。『アベンジャーズ2』がややシリアスで爽快感を(意図的に)欠いた一作だったため、フェイズ2の最期にコレを出してくるのは巧い、と唸らされた。



第7位『セッション』


 「偉大」でありたいという妄念に憑りつかれた若者と、生徒を徹底的に追い詰め、完璧な演奏を求める鬼教師。互いが互いの「狂気」で打ち勝とうとする様に、周りはただ圧倒され、固唾を飲んで見守るしかない。ラストの演奏シーンでは、作中の観客同様に「ねじ伏せられ」てしまい、もう後は泣く、黙る、拍手しかできなかった。それだけの熱量が秘められた一本なんです。



第6位『キングスマン』


 スーツ萌え!中年紳士萌え!スパイガジェット萌え!眼鏡萌え!犬萌え!バトル美女萌え!を一気に叶えてくれる、これぞ萌えの満漢全席。
 若者の貧困が問題視される英国にて、それでも「紳士たるや」を貫き、継承していこうというその立ち振る舞いのエレガントさを兼ね備えた上品な一品…と思いきや、行き過ぎた不謹慎な描写で、今年最大級の笑いの「花火」を打ち上げてくれた笑撃作。監督と原作者が同じ『キック・アス』に痺れた経験をお持ちの方なら、絶対気に入りますって!!!



第5位『ワイルド・スピード SKY MISSION』


 シリーズ1作目より出演してきたポール・ウォーカーの突然の死。大事な家族を失ったキャストとスタッフが、ポールの弟を撮影に迎えてまで叶えたかったものとは何だったのか。ラストシーンに込められた「愛」の深さに、どうしたって涙が止まりません。



第4位『チャッピー』


 人間の赤ん坊と同じ状態からスタートし、驚異的に成長するAIを搭載された警備ロボットのチャッピー。外界に触れ自分の世界を広げていく後、彼は自分の「死」を学ぶ…。
 最近のトレンドである「人工知能」を扱った一作で、ロボットSFでありながら子育てと人間の定義を描く、という離れ業に驚いた。切なくも愛おしいチャッピーの生涯を追っていくうちに訪れる、我々の倫理観、価値観を大いに揺さぶる結末に、奇妙な余韻が消えない作品です。



第3位『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』


 今でも全世界で祭りは継続中!スターウォーズ10年振りの最新作。誰もが待ち望んだ「旧3部作っぽさ」の復活でファンを喜ばせた上に、これからを担う新世代にバトンタッチを済ませる手際の鮮やかさに舌を巻く大傑作ではないでしょうか?
 エピソード4の焼き直しという評もあるけど、おそらく作り手も意図的でしょうし、「スターウォーズの最新作」という一歩間違えれば大大大大炎上間違いなしの課題に、ここまで応えたエイブラムス監督とスタッフ一同の皆さまは偉い!頭が下がるとしか言いようがございません!


第2位『マッドマックス 怒りのデス・ロード』


 199X年、世界は核の炎に包まれた!海は枯れ、地は裂け、全ての生物が死滅したかのように見えた。だが、人類は死滅していなかった!
文明は滅び、資源を握った者こそが勝者のこの世界で、人間としての尊厳を取り戻すのなら、闘うしかない。
 台詞ではなく映像にて世界観を語る演出、誰も見たことのないような改造車や武器、「輸血」「種」に込められた意味合いの転換に涙…などなど、様々な角度でアップデートされた『マッドマックス』新章は、シリーズ最高傑作を超えてアクション映画史の塗り替えに成功し、そして今でも熱狂的なファン(ウォーボーイズ、ウォーガールズ)を産みだし続けている。この作品が生み出した熱は最早「事件」と言っても過言ではないし、カルト化も頷けるハイパーエンターテイメント。
 まだ劇場で体感できていない方は、ご家庭のモニターやTVで初体験を捧げるのは勿体ない!おそらく2016年でもあるでしょう再上映(IMAXや4DXとも相性抜群のはず!)を待つのが絶対にイイ!

第1位 『クリード チャンプを継ぐ男』

 いやいや、ズルいよ、これは泣くじゃん絶対。
 ボクシング映画の金字塔、『ロッキー』から生まれたスピンオフ。ロッキーの永遠のライバルであるアポロの息子、アドニスはボクシングの道に生きることを決意し、ロッキーにコーチを頼むという物語。
 『ロッキー』は一貫して家族愛を描く物語であり、ボクシングはあくまで(映画の見どころではあれど)手段に過ぎなかった。戦士たちはいつだって、己の生き様を証明すべく、リングで拳を振るったのだ。
 ただの掃き溜めのチンピラじゃないことを証明するべく闘ったロッキーと、その魂を受け継ぎリングへ臨んだアドニス。血だらけになりながらも立ち上がるその姿に、我々は新たなスターの誕生を目撃する。
 久しぶりに、映画館で嗚咽を堪えきれず、観た後は盛大な頭痛と多幸感に襲われました。




 以上、熱量に文章力が追いついていない何かでした。
『スターウォーズ』『クリード』『キングスマン』『ワイルド・スピード7』のように、今年は≪継承≫がテーマのものが多かったですね。往年の人気シリーズの最新作が相次ぐという異常事態でしたが、コンテンツが長く続くためには、こういったバトンタッチが必要だったのでしょう。過去作のファンを喜ばせ、新規のお客様を増やすのはとても難題ですが、映画の出来が良ければそれも不可能ではないことを、証明してくれたこれらの作品が、私は大好きです。

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