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消えてしまったあのWebサイトをもう一度 国立国会図書館のWARP事業

みんなで使い倒そう!国立国会図書館オンラインサービス

当ブログでは、これまでにも色々な国立国会図書館のオンラインサービスをご紹介してきました。

デジタルコレクション

イメージバンク

れきおん


今回ご紹介するのは、こちらです!



WARP(インターネット資料収集保存事業)

Web Archiving Project 略してWARPの事業内容は以下の通り。

インターネット上の情報は更新・改廃がされやすく、ウェブサイト自体が消滅してしまうこともあります。また、近年は公的機関の発行する報告書などの重要な資料が、紙媒体からウェブ版へ移行しています。これらを将来にわたってご利用いただけるよう、国立国会図書館はウェブサイトを定期的に収集・保存しています。

「インターネット資料収集保存事業(WARP)」
*収集したウェブサイトをオリジナルの状態のまま保存しています。
「国立国会図書館デジタルコレクション(電子書籍・電子雑誌)」
*収集したウェブサイトの中から、図書や雑誌などの刊行物に相当するものを取り出して保存しています。

インターネット資料の収集 国立国会図書館

消去や更新で失われやすいインターネット上の情報を、発表された当時のまま後世に伝えるため、ウェブサイトを定期的に収集・保存しています。

実際に使ってみましょう。まずは、下記のサイトをクリック。


トップページ

キーワード検索と8つコレクション(ジャンル)検索があります。


国の機関

コレクションの左端の「国の機関」をクリックしてみます。

立法、行政(各省庁)、司法に分かれています。今回は、厚生労働省を見てみます。

「▲保存日のリストを開く」をクリックすると、保存日ごとのファイルが表示されます。遡って2020年4月1日をクリック。

コロナパンデミックが始まった当初の情報が残されています。
ポータルページだけでなく、リンク先も当時の状況を保持。また、最新のページと誤解されないよう、常に警告表示が出ています。


自治体

次は自治体を見てみましょう。

キレイな画面でわかりやすい

我が神奈川県をクリック。

県や市、町などのページが時系列ごとに保存されています。


法人・機構

こちらは「法人・機構」の検索画面。

ここでは独立行政法人をクリック。

表示順がやや不明です…

130件がリストされています。昇順表示ではないので検索の方が速そう。
例として、理研こと理化学研究所を見てみましょう。検索「あるある」ですが、「理研」と入力すると「日本料理研究会」と「臨床薬理研究振興」しか候補表示されません。略称ではなく、正式名称の一部「理化学」と入力した方が良いでしょう。

リストのトップに理研が上がりました


大学・学術機関

かけ足でまいりましょう。次は国立大学を見てみます。

検索画面
こちらも表示順が謎…


政党

現在活動している政党だけでなく、現政党に変遷する前の政党のページも残されていました。(民進党や民主党、自由党など)


イベント・スポーツ

祭り、映画、音楽、文化イベント、スポーツ、国際会議、国際交流の7分野に分かれています。

ここではスポーツを見てみます。
クリックして4番目に表示された全国高等学校野球選手権大会を選択。

過去の大会結果を調べることができます。
こちらは大会中止を知らせる2020年当時のページです。


電子雑誌

分類は図書館と同じ10分類法。

私の興味の中心である歴史を選択。データが50件ほどとまだ少ないのですが、古代史や埋蔵文化財系の資料がありました。

古代文化センターニュース

これらの資料は、新しいセンターのサイトには残っていないようで、このように保存していただくと大変助かります。
↓現在のサイト


その他

一般的に「その他」には分類不明なものがドサッと放り込まれる傾向が…。こちらには385件が収録されています。

ざっと見ると…

1ページ目

団体系のウェブサイトから「カーリング女子ロコソラーレ」公式ブログのようなスポーツ選手•チームのブログ、さらには文化人や芸能人、はたまた一般人のブログまで収蔵されています。
(ブログ関係はサイバーエージェントのアメブロのようです。何か意図があるのでしょうか、不思議です)

さらに、なぜかジオパーク関係や歴史系のサイトも多く含まれるので、10分類に合わせて収蔵し直したら…と思います。

まあ、膨大な量なので、収集作業だけでも大変なのでしょう。


ウェブサイト保存の重要性

地域史の調べ物をする時に、自治会や地域の歴史愛好会などのサイトに掲載された昔話や伝承などを参照することがあります。

これらのサイトは、無料レンタルサーバーや無料HP作成サービスを利用していることが多く、ネットに詳しい人がいなくなると維持管理が難しくなる状況があります。https化に伴うサーバー移転やサーバー終了問題は、小さな団体や財政が貧弱な第三セクター施設のサイト運営に大きな影響をもたらしました。いくつかの愛好家団体のサイトが消失しています。以前と同じようなサイトを立ち上げるには、非常に大きな労力がかかるでしょう。

このような損失を防ぐために、まず、公共性の高い団体へのウェブサイト維持支援を充実して欲しいと思います。ネットに詳しい担い手がいる場合は、ITボランティアの派遣やIT講習会の実施でサポートが可能なのではないでしょうか。

別の問題ですが、公的施設の場合は指定管理業者の変更があります。
都市部では地域センターなどの公的施設を、民間企業に委託して運営を行っています。定期的に入札が行われて、業者が変更になることも往々にしてあります。ある地域センターでは、指定管理業者が変わった途端にウェブサイトがURLごと変更になり、以前のサイトでは地域史資料を豊富に掲載していたのに、新サイトでは全て無くなっていたことがありました。

上記のようなケースで、ウェブサイトを維持できない場合、あるいは古いウェブサイトが抹消されてしまう場合、このWARPが役立って欲しいと思います。

希望する(公共性が高い)団体がWARPに申請して、審査が通れば国会図書館の中で保存されるという方法はないでしょうか。


紙で情報が残らない時代に、ぜひとも活躍してほしい事業です。

オタク気質の長文を最後まで読んでいただきありがとうございます。 またお越しいただけたら幸いです。