牢尻台遺跡 鶴見川遺跡紀行(4)
鶴見川の中流域で古地名愛を叫ぶ!?
前回からの続き。
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鶴見川中流域1
鷹野大橋から川沿いに進み、新幹線と東急東横線の鉄橋を越えると…見えてきました!早渕川との合流点。
前回は右手の早渕川を遡りましたが、今回は左に伸びる鶴見川沿いにGO!
左手に高台が迫り出してきました。
堤防道路沿いにオブジェがお出迎え。ここから高台へと向かいます。
おや、谷戸の棚田みたいな地形が現れた。
階段を登った先には
広~い芝生運動場だ!こちら太尾見晴らしの丘公園。
遊具公園もあり、その先には梅林が花盛り。(季節感?)
さらに奥に視界が広がっている…
わ~、鶴見川と対岸が一望できる!
牢尻台(ろうじりだい)遺跡
ここで、弥生時代の竪穴住居址が10軒発見されている。
集落を囲っていた環濠の上層に、ハマグリ主体の貝塚もあったそうだ。
【ご参考】埋文よこはま41 横浜の貝塚②
牢尻の語源
ロウジリダイ…なんだか不思議な名前だなぁと調べてみたら、その由来には複数の説があった。
①②は中世、③は古代が起源。①②とももっともらしい由来だが、どうだろう?
ロウジリ台は地形由来の地名?
③の地形由来説を力説します!
牢尻台のロウとは何か?
尻は末端、台は高台を意味するのは直感的に分かるけど、ロウは何の意味だろう?先程の①②の説だと、楼や牢の漢字が当てはまるようだけど…
ロウ地名は多い?
ロウ地名は鶴見川流域だけでなく各地に存在します。牢、老、籠または篭の字が当てられ、鶴見川上流域で籠口、早渕川流域では老馬という地名を見たことがあります。他にも籠場、牢場、籠馬、狼窪…などが現存。
それぞれに牢場(牢屋があった)、籠馬(馬を囲う場所)、老馬(年老いた馬の墓場)などの謂れが伝承されています。
籠(ロウ)は何を意味するか?
籠には「谷戸地」「峡谷」の意味があるそうです。大昔、そのような地形を「ロウ」と呼んでいたので、籠の字を使ったとのこと。他に「谷戸が籠の形をしているから」という説もあります。
また、籠(カゴ)地名は崖を意味するケースもあるそうだ。
【ご参考】
地名が教える地形の歴史(川崎市・谷戸の地名)
「籠場」「牢場」地名を考える1(柿生文化)
「籠場」「牢場」「籠口」地名を考える2(柿生文化)
崖を意味する地名 松尾俊郎
漢字の意味によって様々な伝承?
籠以外にも様々な字が使われ、「牢」「老」が付いた場所では漢字に沿った逸話が残されたようです。また、実際に地形を活かして、牢屋や馬を囲う場所が作られたとも考えられています。
同じような地形に、同じ音読みの地名が多く存在するのは、大変興味深いです。丘陵地や台地、谷戸の多い鶴見川水系ならではかもしれません。
個人的に、牢尻台周辺は崖地や谷戸が多いので、「ロウ地形のある高台の末端=牢尻台」と名付けられ、後世に地形を活かした楼(櫓)や牢などが作られたので、現在の伝承が残ったのではないかと考えます。
大倉山公園
牢尻台遺跡と同じ尾根筋にある公園で、梅林が超有名。
すり鉢状の斜面に、色とりどり20種以上の梅の木。
こうして見ると、ここが谷戸地形だとわかりますね。
どのような状況でも自然は季節毎の美しい姿を見せてくれます。
大倉山記念館
荘厳で風格あるギリシャ神殿式のピロティー。今も現役で活躍中です。
【ご参考】大倉山記念館とは(大倉山記念館)
次は、中世の城址を探検するぞ!
【関連記事・マガジン】
↑元はこの記事の後半部分でした。長過ぎるので分割しました。
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