見出し画像

牢尻台遺跡 鶴見川遺跡紀行(4)

鶴見川の中流域で古地名愛を叫ぶ!?

前回からの続き。

シリーズ全体はこちら ↓


鶴見川中流域1

鷹野大橋から川沿いに進み、新幹線と東急東横線の鉄橋を越えると…見えてきました!早渕川との合流点。

画像1

前回は右手の早渕川を遡りましたが、今回は左に伸びる鶴見川沿いにGO!

画像18

左手に高台が迫り出してきました。

画像2

堤防道路沿いにオブジェがお出迎え。ここから高台へと向かいます。

画像3

おや、谷戸の棚田みたいな地形が現れた。

画像4

階段を登った先には

画像5

広~い芝生運動場だ!こちら太尾見晴らしの丘公園

画像6

遊具公園もあり、その先には梅林が花盛り。(季節感?)

画像8

さらに奥に視界が広がっている…

画像8

わ~、鶴見川と対岸が一望できる!

牢尻台(ろうじりだい)遺跡

画像9

ここで、弥生時代の竪穴住居址が10軒発見されている。

集落を囲っていた環濠の上層に、ハマグリ主体の貝塚もあったそうだ。
【ご参考】埋文よこはま41 横浜の貝塚②

牢尻の語源
ロウジリダイ…なんだか不思議な名前だなぁと調べてみたら、その由来には複数の説があった。

①近くに小机城主・笠原氏が築いた大曽根砦があり、高台に物見櫓=楼(ロウ)が立っていた。
②同じく、笠原氏が作った牢屋があった。
地形由来の地名

①②は中世、③は古代が起源。①②とももっともらしい由来だが、どうだろう?


ロウジリ台は地形由来の地名?

③の地形由来説を力説します!

牢尻台のロウとは何か?
は末端、は高台を意味するのは直感的に分かるけど、ロウは何の意味だろう?先程の①②の説だと、楼や牢の漢字が当てはまるようだけど…

ロウ地名は多い?
ロウ地名は鶴見川流域だけでなく各地に存在します。牢、老、籠または篭の字が当てられ、鶴見川上流域で籠口、早渕川流域では老馬という地名を見たことがあります。他にも籠場、牢場、籠馬、狼窪…などが現存。
それぞれに牢場(牢屋があった)、籠馬(馬を囲う場所)、老馬(年老いた馬の墓場)などの謂れが伝承されています。

籠(ロウ)は何を意味するか?
には「谷戸地」「峡谷」の意味があるそうです。大昔、そのような地形を「ロウ」と呼んでいたので、籠の字を使ったとのこと。他に「谷戸が籠の形をしているから」という説もあります。
また、籠(カゴ)地名はを意味するケースもあるそうだ。
【ご参考】
地名が教える地形の歴史(川崎市・谷戸の地名)
「籠場」「牢場」地名を考える1(柿生文化)
「籠場」「牢場」「籠口」地名を考える2(柿生文化)
崖を意味する地名 松尾俊郎

漢字の意味によって様々な伝承?
籠以外にも様々な字が使われ、「牢」「老」が付いた場所では漢字に沿った逸話が残されたようです。また、実際に地形を活かして、牢屋や馬を囲う場所が作られたとも考えられています。

同じような地形に、同じ音読みの地名が多く存在するのは、大変興味深いです。丘陵地や台地、谷戸の多い鶴見川水系ならではかもしれません。

個人的に、牢尻台周辺は崖地や谷戸が多いので、「ロウ地形のある高台の末端=牢尻台」と名付けられ、後世に地形を活かした楼(櫓)や牢などが作られたので、現在の伝承が残ったのではないかと考えます。


大倉山公園

牢尻台遺跡と同じ尾根筋にある公園で、梅林が超有名。

画像14
画像11
画像15
画像12
画像13

すり鉢状の斜面に、色とりどり20種以上の梅の木。
こうして見ると、ここが谷戸地形だとわかりますね。

どのような状況でも自然は季節毎の美しい姿を見せてくれます。

画像17


大倉山記念館

画像17

荘厳で風格あるギリシャ神殿式のピロティー。今も現役で活躍中です。
【ご参考】大倉山記念館とは(大倉山記念館)



次は、中世の城址を探検するぞ!


【関連記事・マガジン】

↑元はこの記事の後半部分でした。長過ぎるので分割しました。


オタク気質の長文を最後まで読んでいただきありがとうございます。 またお越しいただけたら幸いです。