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古地名を考える

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散策で出会った古い地名の由来を調べたり、地形由来の古地名、災害予見地名の意義を考えます。
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記事一覧

神田駿河台巡り

秋晴れの嬉しい平日休み。こんな日は街歩きが好手です。 今日はJRお茶の水駅で下車して、神田駿河台の気になる場所を巡ります。 神田駿河台とは元は本郷台の先端だった場所が外堀開削工事で切り離され、独立した台地になりました。そこに駿河衆が住むようになり、駿河台と名付けられたそうです。 太田記念美術館のnoteに、当時の様子が錦絵で紹介されています。 開削を担当したのは、かの仙台藩。(色々と頼りになるねぇ) 下調べはここまでにして、早速、気になる場所に行ってみましょう! ニ

「難読地名」読み方お助けサイト

知らない地名に出会った時、あなたはどうしますか? 一体、何て読むんだろう?使っている漢字が難しい。困ったなぁ… そんな時は、こちらのサイトへGO! 地名辞典オンライン 地名の漢字を入力すれば、難読地名の複数の読み方と存在する市町村名や町域名まで教えてくれます。逆に、読み仮名を入力すれば、同音で異なる漢字表記の地名を教えてくれます。 かつて「佐江戸-鶴見川古地名散策」で調べた「さいど」を入力すると、しっかり最戸(横浜市)、道祖土(さいたま市)、西戸(埼玉県入間郡)が表示

三輪椙山神社

「杉」か「椙」か?一体、何がルーツなのか? 西谷戸横穴墓群からスタート。 丘陵のヘリに沿って進むと、いかにも旧道らしい三叉路が現れます。それを左に曲がってすぐの場所に、奥まった感じで鎮座しているのが三輪椙山神社です。 三輪の由来町田市東部の突端部。鶴見川に接したこの地域は「三輪」と呼びます。 「三輪」自体は珍しい地名ではありませんが、どのような由来があるのでしょう。 ・大和三輪説 一説に、奈良県の三輪山が由来と言われています。 三輪町の南西には奈良町(横浜市青葉区

恩廻公園 鶴見川遺跡紀行(16)

旧河道の痕跡が最新鋭の防災拠点!? 前回からの続きです。 今回の記事は、1年半前の春先に行った内容です。 鶴見川上流域真福寺川と鶴見川の合流点にやってきました。 写真を撮った場所は、水車橋の西側。 振り返ると、そこには変な道筋が… 左奥に続くカーブは、明らかに普通の道じゃない。 恩廻公園この道を少し入って行ったところに砂地の広場があり、そこに古い看板が。 恩廻公園…「オンマワシ」と読むのだろうか。一体、何を廻したんだろう? 恩廻の由来 言葉としての「恩廻し

麻生 鶴見川古地名散策

久美子もびっくり!「アソウ」じゃなくて「アサオ」なのっ!? 前回、月読神社にある下麻生亀井古墳群を巡りました。 せっかくなので下麻生古墳に行こうと思い立ちました。 鶴見川支流の真福寺川を越えて、坂道を自転車を押してGoogleマップの指示通り進んだら…そこは住宅地。 今はもう古墳の名残りさえ無い。 写真を撮ると不審者になりそうなので、そのまま立ち去る。 …でも、このままでは終われない。 籠口ノ池公園手ぶらで帰るのが悔しいので、すぐそばの公園に寄ってみました。 少し

消えた町名「太尾」

下の記事の関連記事です。 「太尾」ってなんと読む?つい最近まで、大倉山の尾根の西側地域を太尾と呼んでいました。 珍しい地名…私は初見で「タオ」って読んだのですけど、皆さんは何と読みますか? 正解はフトオ。 しかし、平成20年に太尾町は廃止され、大倉山になりました。現在は道路や学校名などに残っているだけです。(冒頭の写真は太尾神社) 太尾は1352年に「鶴岡脇堂供僧次第」にその存在が記載され、少なくとも650年もの歴史がある地名です。 「町村合併でもないのに、なぜ町名が

鐵(くろがね)神社

産鉄由来か?地形由来か?気になる名前のあの神社 稲荷前古墳群からスタート。 前を通る日野往還(現・横浜上麻生道路)を上流方向に向かって進みます。 黒須田川を越えると、そこは「鉄」と書いて「くろがね」と呼ばれる地域。 なんだか気になる地名だな… クロガネの語源(上のリンク先は一見すると町内会のサイトに見えますが、実は個人で運営されているサイトのようです。郷土史や風習、説話などは、知っている人が居なくなると途絶えしまうので、ネット上で継承する試みは素晴らしいですね)

御霊 鶴見川古地名散策

以前、神に関わる地名を散策しましたが 今回は、仏さま(?)に関わる地名を散策します。 神仏地名?「御霊」へ吉田村の早渕川沿いにある神秘地名「御霊(ゴリョウ)」を訪ねました。 以前訪れた、新吉田杉山神社や新吉田富士の近くです。 目印がないので、地図ではお寺を表示しています。 第三京浜の手前の、早渕川の堤防道路から一本内側の道を進みます。 アパートの横から出ている細い道を登ってみましょう。 下からは想像できないほど、平らで広い場所でした。 正福寺地域の歴史に関わりがあ

井田城址・蟹ヶ谷古墳群・神庭遺跡

「1ヶ所で3度楽しい?」遺跡巡り 今から1年半前、古墳巡りを始めて間も無い頃、蟹ヶ谷古墳群に行きました。 今読み返してみると、非常にあっさりとした記事… 当時は古墳しか興味が無かったので見逃していましたが、周辺には縄文後期〜古墳時代の神庭遺跡と中世の井田城址も存在していたそうです。 三つの遺跡がそろう場所神庭遺跡は中原養護学校の敷地内で発見され、現在は校内に出土した土器が展示されています。一方、井田城址については明確な遺構がありません。ただ「あったらしい」という話が残

神隠 鶴見川古地名散策

神仏地名に動物地名、ここは古地名ワンダーランド! 鶴見川古地名散策・第2弾。 今回は、早渕川と鶴見川に挟まれた新吉田地区の古地名を巡ります。 前回の古地名散策はこちら ↓ 今回巡る場所を明治39年の地図で見てみると… 面白そうな地名があります。 この赤丸で囲んだ所の現在の様子を見てみましょう。 内陸に「貝塚」?スタートは百目鬼堀からほど近い、宮内新横浜線のとある交差点。 いや、その先には、もっとダイレクトな… 近くの交差点は「貝塚東」「貝塚東側」(その違いは…?

山田神社と秘密の池?

「〇リー〇ッター」をパクったようなタイトル…ですが、「やまた」の由来かもしれない池のお話をします。 前回は、長~い参道を経て境内にたどり着き、社殿を見て回りました。 今回は、神社の後ろを見ていきたいと思います。 裏参道と神池道社殿の北側に裏参道があります。 この先に行ってみましょう。 中腹付近に「神池道」の碑が出てきました。 門の奥へと進んでいくと… 神池見る限り、こんこんと水が湧いている状態ではありませんが、水溜まりという感じでもありません。今は雨が降らない時期

池辺杉山神社と八所神社

池辺と書いて「いこのべ」ごく普通の交差点ですが、よく見てください。 「池辺町」と書いて「Ikonobe Cho」なんて読めますかね。しかも、修正された跡まである。 この町名は難読地名で有名らしく、「はまれぽ」さんもレポートしています。 池辺町の由来を調べてみました。 地名の由来は、近くのお寺にも記されいます。 宗忠寺の碑先ほどの交差点の、岩が置かれている道を左に進むと 立派な山門の宗忠寺。入り口には碑があります。 やっぱり池があったのですね。大きな池があったから「

佐江戸 鶴見川古地名散策

佐江戸は「江戸の左」なのか? 恩田川と谷本川(鶴見川本流)の合流点の手前にある落合橋を、下流から見て右に曲がると高台が見えてきます。この高台を中心とした地域が佐江戸と呼ばれる地域です。 佐江戸は「江戸の左」を意味するって聞いたことあるけど、ホントかな? ちょっと気になります。 巷における佐江戸の由来Google先生にお伺いすると、最初にこちらのサイトを紹介して下さいます。 内容を抜粋すると次の通り。 おなじみ「はまれぽ」さんも佐江戸の由来について調べています。 こ

「青砥」杉山神社 恩田川紀行(1)

今回は杉山神社ではなく「青砥」が主役です。 お待たせしました(待ってない?)鶴見川遺跡紀行の第2弾が始まります。 今回は、支流の恩田川沿いを散策します。 今までタイトルに「遺跡」を入れていましたが、恩田川って遺跡が少ないので、素直に川を遡ることにしました。 恩田川恩田川の概要 鶴見川上流の支流。長さ13km、流域面積46.7㎢、源流は東京都町田市。下図から分かるように、谷本川(鶴見川本川)にも劣らぬ水量を誇ります。 【ご参考】 鶴見川水系河川整備計画(神奈川県) h