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超短編 冒険小説風エッセイ 【テクニックを駆使】

以前、ピアノのテクニックを特に駆使するのはどういう時?みたいな
わりと難解なインタビューを受けたときに、
以下のようなライトノベル(っていうのか?)を執筆することで
返答をしたことがあったんです。

今日はそんな以前に書いた文章を
noteでも共有してみようと思いました。
とても短い間ですが、どうぞお楽しみください〜

【テクニックを駆使】


もうずっと彷徨い続けている。
季節のはっきりしないこの地では、まるで
無限ループの中にいるかのように時間の感覚がおかしくなる。
何年経ったのかもよくわからない。

この100年間で目撃例はほんの数件、
この世のものとは思えない美しい羽の色、
そして、その肉はこの世のものとは思えない美味、、
冒険者の間でそんな噂の絶えない、
アジアの幻とも言われる鳥「テク」を探して、
俺はいったいどの位このジャングルを彷徨っていたのだろうか。

ついに、伝説の鳥の捕獲に成功した俺と相棒は、
長きに渡った鳥探しの冒険の日々を思い出しながら、
息絶えたその鳥の美麗な羽模様に しばし見入っていた…

やっと出会えたこの鳥の、噂の肉の味を想像するだけで
よだれが垂れそうになるのをグッと堪える男2人…
100年以上誰も味わえなかった、まさに幻のグルメなのだ。

その美味なる肉を早速味わおうと、相棒に鳥の下処理を任せ、
美食系冒険家の俺は 野外でのワイルドなディナーのために、
火をおこし、調理の準備にとりかかっていた。

相棒が美しい羽をむしり取りながら訊く。
「このテクの肉、どうやって食べるのがいいかなぁーー??」
「そのテクの肉を、串に刺して焼くのがいいんじゃないかーー」
「…ん?なんだってぇーー??」
「テクの肉を、串にー…」
「えぇーー??」
「テク肉を、串…」
「テクニクをクシ……」

Fin.

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