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机の引き出しは多い方がいい。中身は沢山詰まっている方がいい。 見て、聞いて、読んで、触…

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机の引き出しは多い方がいい。中身は沢山詰まっている方がいい。 見て、聞いて、読んで、触って、心ゆくまで詰め込みましょう。 沢山集まったら、細かく包んで、そこら辺に並べておきましょう。 いつか、誰かの、何かに役立ちますように。

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自由が生み出すもの

動く、食べる、寝る。 本来、生きるということは至極単純な営みです。 野生に生きる動物などは、まさにこの根源的で単純な営みに集中して生を全うしています。 弱肉強食…

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3年前
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机上詩片⑱「赤っ恥、青っ恥」

赤っ恥 青っ恥 色は違えど同じ恥 赤っ恥の 赤い顔 青っ恥の 青い顔 恥っかきの 君と僕 顔付き合わせ 睨み合う 赤っ恥の 赤い君 青っ恥の 青い僕 色は違えど…

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20時間前
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机上詩片⑰「抜け殻」

道は常に 前にだけ 伸びている 足は常に 前に向かって 歩いている それなのに 時折 心だけが 後ろに 置き去りになる それでも 抜け殻の足は 歩き続ける 心を…

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1日前
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机上詩片⑯「夜の帳」

一日が終わる 長くて短い 一日に 夜の帳が 降りてくる 真っ暗闇の カーテンが 今日の舞台の 閉幕を 慎ましやかに 告げに来る 風がぱたぱた 吹いてきて 惜しみのない 拍…

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2日前
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机上詩片⑮「レイルウェイ」

いつからか 四角い箱の中 レールの上 揺られながら 流れる 景色を ただ 眺めていた 代わり映えのない 日常は  なにもかもが 順調すぎるくらいで 涙もでない …

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3日前

机上詩片⑭「ねこ」

みなもにあぶく ちいさなあぶく ぽこぽこ ぽこぽこ ちいさなあぶく すきとおる みずのなか めをこらす じっとみる ぽこぽこ ぽこぽこ さかなのこ くちを ぱく…

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5日前

机上詩片⑬「ナイフ」

鋼のナイフは 命を殺す 切っ先向けて 握り締め 肉を 骨を 心臓を 突き刺し 切り裂き 抉り取る 切れば切るほど錆付いて 砥いで磨いて元通り 言葉のナイフは 心…

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5日前
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机上詩片⑫「耳の歌声」

夕暮れの 帰り道 誰もいない 帰り道で 不意に聞こえた あの歌が 旅の途中 耳に届いた 誰かの歌が 名前も知らない 誰かの歌が おぼろげに けれど力強く 脳裏に…

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6日前
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机上詩片⑪「灰色」

テレビで、ネットで、噂話で 耳に流れて来るニュース 窃盗、殺人、汚職事件 遠い 遠い 自分とは直接関わりのないところで 毎日のように繰り広げられる 黒い 黒い …

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7日前
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机上詩片⑩「青」

青は 静かな海の色 強く 厳しい 水の色 命を 育む 水の色 青は 遥かな空の色 それはとても おおきくて 全てを包む 風の色 青い 海を眺めたら 強く 生きて…

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8日前
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机上詩片⑨「目隠しをしよう」

紙飛行機で 遊ぶなら コツは 知らない 方がいい 気まぐれで折った 紙切れが 気まぐれに吹いた 風にのり 気まぐれに ただ気まぐれに 落ちていくのが 好きだから…

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9日前
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机上詩片⑧「忘れる」

忘れるって 怖いこと いつまでたっても 憶えていたい 大事な大事な 記憶の粒が 大きな時間の せせらぎに ほつれて ちぎれて ほころびで さらさら流れて 消えて…

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10日前
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机上詩片⑦「のっぺらぼう」

パパのえを かいたよ おおきな パパの えがおの え パパに みせに いったよ パパは つまらそうなかおをして いったよ 「パパは つかれてるんだ あとに しな…

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11日前
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机上詩片⑥「かいちゅうでんとう」

おひさまは あたたかいね おんなのこは いいました そうだね あたたかいね おとこのこは いいました おひさまは あかるいね おんなのこは いいました そうだね…

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12日前
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机上詩片⑤「ひまわり」

いつか どこかの 空の下 二輪の ひまわり 咲いていた 同じおひさま 仰ぎ見て  同じおひさま 見送った いつか どこかの 空の下 いつもの おひさま 見ていた…

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13日前
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机上詩片④「オオカミとウサギ」

かよわい うさぎ そんな瞳で こっちを みるな はらを すかせた おおかみの こころに あいた ちいさな あなに 迷いという名の くさびを うつな かよわい う…

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2週間前
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自由が生み出すもの

動く、食べる、寝る。 本来、生きるということは至極単純な営みです。 野生に生きる動物などは、まさにこの根源的で単純な営みに集中して生を全うしています。 弱肉強食、自然淘汰、食物連鎖… 野生にはこれら自然界の厳然たるルールや価値基準に背く生き物はまず、いません。 皆一様に生存競争を生き抜くための行動を選択し、より生き抜く確率を上げるために自らを進化させていきます。 そこには迷いも躊躇いもありません。 私たち人間も、かつてはそうした枠の中に収まっていました。 とこ

机上詩片⑱「赤っ恥、青っ恥」

赤っ恥 青っ恥 色は違えど同じ恥 赤っ恥の 赤い顔 青っ恥の 青い顔 恥っかきの 君と僕 顔付き合わせ 睨み合う 赤っ恥の 赤い君 青っ恥の 青い僕 色は違えど 笑い草 指差しあって 笑い合う 赤い顔 青い顔 笑い合って 混ざり合う 笑った顔は 赤くない 笑った顔は 青くない 紫でも ないんだけれど

机上詩片⑰「抜け殻」

道は常に 前にだけ 伸びている 足は常に 前に向かって 歩いている それなのに 時折 心だけが 後ろに 置き去りになる それでも 抜け殻の足は 歩き続ける 心を措いて 前へ 前へ

机上詩片⑯「夜の帳」

一日が終わる 長くて短い 一日に 夜の帳が 降りてくる 真っ暗闇の カーテンが 今日の舞台の 閉幕を 慎ましやかに 告げに来る 風がぱたぱた 吹いてきて 惜しみのない 拍手をくれた カーテン下りた 舞台裏 真っ暗闇で 音もなく 役者もセットも 動き出す 明日を演じる 下準備 舞台の上では 団長が 皆々さまに ご挨拶 本日の演目 お気に召したら 幸いです 皆様どうぞ お気をつけて お帰りを おつかれさま おやすみなさい

机上詩片⑮「レイルウェイ」

いつからか 四角い箱の中 レールの上 揺られながら 流れる 景色を ただ 眺めていた 代わり映えのない 日常は  なにもかもが 順調すぎるくらいで 涙もでない  涙もでないんだ 暇つぶしに 手にとった 世界さえ 僕らを 満たしては くれない どこでもいい ここじゃない何処かへ 僕らを連れだして 誰でもいい 誰でもいいから 退屈に 慣れたフリして 揺られ続ける 僕らは 流れる 景色さえ もう 見なくなっていた

机上詩片⑭「ねこ」

みなもにあぶく ちいさなあぶく ぽこぽこ ぽこぽこ ちいさなあぶく すきとおる みずのなか めをこらす じっとみる ぽこぽこ ぽこぽこ さかなのこ くちを ぱくぱく さかなのこ おいしそう てをのばす おいしそう じっとみる みずおと ぱしゃり みずたま ぱしゃり てをみる ぽたり みずたま ぽたり うつむいて ひとこえ なく にゃあ

机上詩片⑬「ナイフ」

鋼のナイフは 命を殺す 切っ先向けて 握り締め 肉を 骨を 心臓を 突き刺し 切り裂き 抉り取る 切れば切るほど錆付いて 砥いで磨いて元通り 言葉のナイフは 心を殺す 口から飛び出す 無形の刃物 左の刃で 標的を 右の刃で 持ち主を 飛んで回って 切りつける 危険な危険な 諸刃のツルギ 切れば切るほど 鋭くなって 錆のニオイが キツくなる 傷も 刃も 悪臭も 二度と 元には 戻せない 鋼のナイフ 言葉のナイフ ためらい傷が一番痛い 一思い

机上詩片⑫「耳の歌声」

夕暮れの 帰り道 誰もいない 帰り道で 不意に聞こえた あの歌が 旅の途中 耳に届いた 誰かの歌が 名前も知らない 誰かの歌が おぼろげに けれど力強く 脳裏に焼き付いて 離れない 耳の歌声

机上詩片⑪「灰色」

テレビで、ネットで、噂話で 耳に流れて来るニュース 窃盗、殺人、汚職事件 遠い 遠い 自分とは直接関わりのないところで 毎日のように繰り広げられる 黒い 黒い 話 優しさ、思いやり、助け合い いつもの通り道 行き交う人々 変わらない日常の中に 時折 見つかる 白い 白い 気持ち 白いままでいられたら 黒い靄が払えたら けれども心はウラオモテ 天秤のように オセロの石のように 白と黒の間を 行ったり来たり だとしたら 心動かない時は

机上詩片⑩「青」

青は 静かな海の色 強く 厳しい 水の色 命を 育む 水の色 青は 遥かな空の色 それはとても おおきくて 全てを包む 風の色 青い 海を眺めたら 強く 生きていけるかな 青い 空を見上げたら 大きな 自分になれるかな 流れる涙 感じる風  私の中の ちいさな 青

机上詩片⑨「目隠しをしよう」

紙飛行機で 遊ぶなら コツは 知らない 方がいい 気まぐれで折った 紙切れが 気まぐれに吹いた 風にのり 気まぐれに ただ気まぐれに 落ちていくのが 好きだから  贈り物を 贈るなら 中身は 見えない 方がいい 開ける前の 喜びも 開ける時の 楽しみも 開けた時の 驚きも 贈ってあげたい 物だから 明日へ向かって 歩くなら 目隠ししてた 方がいい 辛いことも 楽しいことも 嬉しいことも 悲しいことも わかっていたら つまらない 見えていたなら

机上詩片⑧「忘れる」

忘れるって 怖いこと いつまでたっても 憶えていたい 大事な大事な 記憶の粒が 大きな時間の せせらぎに ほつれて ちぎれて ほころびで さらさら流れて 消えていく ワタシの大事な タカラモノ ワタシをおいて 行かないで それとも おいて行ったのは ワタシなの? 答えはだあれも 知らなくて やがて 疑問も 流れてく 忘れるって 大切な事 痛みも 憂いも 悲しみも 大きな 時間の せせらぎに カドが取られて 丸くなり 削れて 小さくなってゆく

机上詩片⑦「のっぺらぼう」

パパのえを かいたよ おおきな パパの えがおの え パパに みせに いったよ パパは つまらそうなかおをして いったよ 「パパは つかれてるんだ あとに しなさい」 やがて ぼくのえのパパの えがおが いなくなったよ ママのえを かいたよ やさしいママの えがおの え ママに みせに いったよ  ママは おこったかおになって いったよ 「ママは いそがしいの あとに しなさい」 やがて ぼくのえのなかのママの えがおが いなくなったよ ぼくのえを か

机上詩片⑥「かいちゅうでんとう」

おひさまは あたたかいね おんなのこは いいました そうだね あたたかいね おとこのこは いいました おひさまは あかるいね おんなのこは いいました そうだね だけど それだけかな おとこのこは いいました おひさまは ほしを みんなを てらしてくれる けれど ほしも みんなも おひさまを てらしはしない おひさまは さみしいんだよ おんなのこは かばんから  かいちゅうでんとうをとりだして まぶしい おひさまのひかりにむかって  よわい ひかり

机上詩片⑤「ひまわり」

いつか どこかの 空の下 二輪の ひまわり 咲いていた 同じおひさま 仰ぎ見て  同じおひさま 見送った いつか どこかの 空の下 いつもの おひさま 見ていたら もひとつ おひさま やってきた どちらの光も まぶしくて  どちらの光も 魅力的 ひまわり 私は 西を向き ひまわり あなたは 東向く ひまわり 私は 言いました このまま 真っ直ぐ 歩いていくと 離れ離れに なるのかな ひまわり あなたは 言いました このまま 真っ直ぐ 歩いても

机上詩片④「オオカミとウサギ」

かよわい うさぎ そんな瞳で こっちを みるな はらを すかせた おおかみの こころに あいた ちいさな あなに 迷いという名の くさびを うつな かよわい うさぎ 喰うか 喰わぬか 生きるか 死ぬか はらぺこおおかみ 足を止め その場にがくりと 膝をつく 怯えたうさぎは 逃げてゆき はらぺこおおかみ 横たわる 喰うか 喰わぬか 生きるか 死ぬか はらぺこおおかみ 考えた これで おれは 死ぬだろう そして あいつは 生きるだろう これで いいの