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いつもの朝【音声と文章】

山田ゆり
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朝、窓を開けようとしたが
部屋の中はまだ薄暗く
電灯をつけないといけない明るさだったから
窓を閉め切ったままでいた。

少しの間、そのままでページをめくり本の世界にいた。


しかし、ふと、息苦しさを感じ、リビングの大きな窓を開けた。

二重になっているその重い窓を開けたら
虫たちの鳴き声や小鳥たちのさえずりが
涼しげな風と共に部屋の中に飛び込んできた。

それは窓にへばりついていて
窓を開けた瞬間
部屋の中になだれ込んできたかのようだった。


そして私は書斎の窓も開けてみた。

涼しげな風がまっすぐ入って来て
リビングと書斎の窓が出入り口の役割をし
部屋の空気が循環しだした。

深夜のこもった空間から生まれた淀んだ気配が一掃され
部屋は神聖な空気に包まれた。


東の空は青空に白い雲が連なっている。
しかしそれとは対照的な西の空は黒に近いねずみ色の雲がうっすらかかっている。





遠くで鳩が、ホッホーホホーと鳴いている。

鈴虫や雀や鳩の泣き声を聞きながら私は読書を続ける。



パンパン

遠くで号砲が上がった。
今日もどこかで宵宮が行われる。


やがて近くで草刈り機の音が始まった。
綺麗な空気がその轟音でかき消されそうな気がして
私は重い二重窓を閉めた。

途端に小鳥たちのさえずりが聴こえなくなる。

そしていつもの一日が始まった。



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いつもの朝



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