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月額五千円って、小さな額だけれど【音声と文章】ショートショート

山田ゆり
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君が生まれて
学資保険とは別に
君のお母さんは毎月五千円の積み立てをすることにした

月に五千円なんて
一年にすると6万円にしかならない
10年後は60万円
20年後は120万円

そんな少ない金額、何になる


月に1万円にしたら
一年で12万円
10年後は120万円
20年後は240万円になる
その方がいいかなと君のお母さんは思った


でも少ないお給料からは
出せる金額にも限度があった


ごちゃごちゃ考えていたら始められなくなるから
とりあえず毎月5千円を積み立てることに君のお母さんは決めたんだ


そのお金はあってないようなもの

でも全く気にせずにいたと言うと嘘になる



その定期積立は
毎月数円~数十円の利息が付く優れもなのだ。

今は普通預金で100万円あっても利息は年に数円しかつかない

それに比べてこの積立は、毎月利息がつくから通帳を見ているだけで希望が湧く

君のお母さんは時々その通帳を広げ微笑んでいた

その利息の印字が
「今月も娘が無事に過ごせました」と言っているようだった


コツコツ、コツコツ

通帳を開くとそんな音が聞こえるね



僕はけっして貯蓄を推奨しているわけではない
必要な事にはお金を使うべきだと思っているし、実際、お母さんはこれまでもそうしてきた




君のお母さんは月額五千円は少ないかもしれないとずっと気にしていた

金銭的に余裕ができたら
月額五千円から1万円などに増額しよう
そう思って始めたんだ



でもその後、二人目、三人目が産まれ
その子達にも同じ定期積立を始めたから
結局、五千円のままになっている



やがて、いつの間にかそれが積みあがって全くあてにしていなかったお金を生かせる時が来た


君が高校を卒業して都会の学校に行くことになった
君のお父さんもお母さんも高卒だから、上の学校に上がる時に
どれほどのお金がかかるか知らなかった

そして、現実が目の前に現れ、想像以上のお金がかかると知った



そしてこれまでの積み立てを一部下ろし、君の進学費用にあてることにしたんだ

これまで積みあがってきたこのお金が役にたったということだ



月額五千円って、小さな額だけれど
その積み重ねが君の進学に役立った

良かったね





この定期積立は今でも積みあがっている
次の出番はいつだろう





小さなことでも
それが積み重なったら大きな力になる
これは継続したら分かることだ




月額五千円って、小さな額だけれど
この五千円のように
淡々と人生を積み重ねていこう


僕が解約されないかぎり
僕も君を見守っているから



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月額五千円って、小さな額だけれど

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