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失敗しちゃった【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1800日をコミット中! 1717日目。
※聴くだけ・読むだけ・聴きながら読む。どちらでも数分で楽しめます。#ad 




おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
失敗しちゃった
をお伝えいたします。



長女が帰宅した。
「おかえり~」
のり子はニンマリしながらふっくらしたハンバーグに箸を割り入れて一口食べた。
「これ、美味しいよ!」

長女は食事の支度をしたことを喜んでくれると思っていた。

しかし、長女は憮然とした態度で言った。
「お金を払った人よりも先に食べて!」

えっ?
怒っている?
どうして?
私、何か悪いことした?

食事の支度をしたことで感謝されると思っていたのに。
長女はニコリともしない。
のり子は娘が怒っている意味が分からなかった。


すると長女は言った。
「私が払ったふるさと納税の返礼品なのに、本人がまだ現物を見ていないのに、先に食べているなんて信じられない。これ、届くの凄く楽しみにしていたの、知ってるでしょ!」

楽しみにしているって言ってたかなぁ。覚えていない。
でも、完全に長女を怒らせてしまったのは事実だった。




事の次第は次のとおりである。

その日、宅配便でふるさと納税の返礼品が届いた。

長女が納税したからそのあて先は長女だった。
のり子はすぐに段ボールを写真に撮り、仕事中の長女にラインした。
https://yamayuri58.com/tyoubo/wp-content/uploads/2024/01/20240113_120827-scaled.jpg

すぐには返信がこなかった。仕事柄、個人的なスマホを見られない状況にいるから致し方ない。


段ボールには「要冷凍」のシールが貼られていた。

段ボールのままでは冷蔵庫に備え付けの冷凍庫には入らない。
部屋にこのままおいていたら溶けてしまうかもしれない。どうしよう。


新居は全館、同じ温度になっているので
旧宅のように「寒い部屋」がない。

段ボールのまま冷凍するのなら、倉庫にある大型冷凍庫に入れるしかない。

でも外は積雪があり、倉庫まで行くのは面倒だった。
それほど大きな箱ではなかったので、中身を出せばもしかして全部、台所の冷蔵庫の下の冷凍庫に入るかもしれない。


のり子は段ボールを開けた。中にはハンバーグが20個入っていた。
ビニール袋にそれらを入れて冷凍庫に入れてみた。

しかし、思っていた以上に冷凍庫の中にはたくさんのモノが入っていて、全部は収まらなかった。

そこでのり子は、9個だけ冷凍庫に入れ、残り11個はビニール袋に入れて倉庫の大型冷凍庫に入れることにした。



倉庫の大型冷凍庫は、大人一人がまるまる入れる大きさで、結婚した頃に購入したものだ。
スーパーでアイスが半額の時は、買い物かごに山盛りひとかご分の量をここに入れている。

娘たちが成長してからはアイスの爆買いはしなくなり、「要冷凍」の荷物が届く時以外はあまり開けることがなくなっていた。

その日の冷凍庫の中には冷凍で送られてきたケーキが2個、送られてきた段ボールのまま入っているだけだった。

「この冷凍庫に入れるんだったら、段ボールを開けなければ良かったかな。」
のり子は一瞬思ったが、もうそれは済んだことだと自分に言い聞かせた。


自分にしては面倒なことをよくやったとのり子は満足した。
そしてやっと長女からラインの返信が届いた。

娘「えっそれ届いたんだ?!受け取ってくれてありがとう~。冷凍だけど入った?」

のり子「9個だけこっちで、残り11個は倉庫の冷凍庫です!」

のり子は自慢げにそう返信した。
娘からは言葉の代わりにありがとうのスタンプが来てひとまず終わった。


ここでのり子は大きな勘違いをしていたのだがその時本人は全く気付かなかった。


どのような勘違いか。
それは、勝手に段ボールを開封したことだ。
自分宛ての荷物なのに勝手に開封されてしまったことに長女はカチンときたに違いない。

言葉を書かず、スタンプで会話を終わらせたのは、そういう気持ちの表れだったが
残念なことにのり子はその時、長女の逆鱗に触れていたとは全く気が付かなかった。

荷物の写メを送り、溶けないように冷凍した。
だから、自分は良いことをしたと思っていた。



ところで、あなたは出された食事の中で好きなものとそうでもないものがあった場合、どちらから先に手を付けるだろうか。

のり子は好きな物から先に食べる人だ。それに対して長女は逆。好きなものを我慢して最後に味わう人だ。

それも今回、ひと悶着になる要因だった。



夕方になりのり子は今晩のおかずはどうしようかと考えた。

「そうだ!届いたばかりのハンバーグをみんなでいただこう!」

のり子は家族みんなで美味しいものを共有したいといつも思っている。
長女にはハンバーグが届いたことは言ってある。そしてそれは家族みんなで食べるものだと最初から決まっている。

だから、今晩のおかずはこれでいいとのり子は思った。



「今日はさっき届いたハンバーグにするから」
のり子はソファに寝転んでスマホを見ていた三女に言った。

「それ、お姉ちゃんにひと言、聞いた方がいいんじゃない?」
と三女が言った。


えっ?そういうもの?
ま、いっか。じゃぁ聞いてみよう。
のり子はラインに書き込んだ。


のり子「〇〇ちゃーん!
今日届いたハンバーグ、食べていい~?」

娘「えぇ…まぁいいけど…」



よし!本人に了解もとったから大丈夫。
のり子はハンバーグを湯煎した。


ここでのり子はまた間違いを起こしている。


もしも、あなた宛てに届いた荷物が外出中に届き、あなたがまだ中身を見ていないのに、家族が中を開けて先に食べていたらどんな気持ちになるだろうか。


あなたが帰宅する前に食べていいかどうかを聞かれ、あなたがいいとは返事したものの、なんかモヤモヤしないだろうか。

のり子はモノに執着がない人で、のり子が今回の長女の場合、家族が先に食べていても全く嫌だとは思わない人なのだ。

それはもしかして、のり子が残業が多く、自分よりも先に家族が夕飯を食べることが多いという習慣から来るものなのかもしれない。

のり子にとって、食べたいものは別に我慢することなく、家族より先に食べても構わないと思っている。


湯煎したハンバーグはふっくらとしていてデミグラスソースがしみ込んでいた。
のり子はお皿にご飯を盛り、ハンバーグをご飯に傾け、彩りにブロッコリーを飾った。

そしてそれを写真に撮り、家族ラインに載せた。
https://yamayuri58.com/tyoubo/wp-content/uploads/2024/01/20240113_182822-scaled.jpg


夕食ができた時は写真に撮り家族ラインに送るのがのり子の習慣になっている。



すると長女から返信がきた。

「買った本人より先に焼いて写真撮っとる」

のり子はその言葉に少し棘を感じたが気のせいと思い直し、

「いただきます」
とだけ、返信した。


ハンバーグはふんわりとして厚みがあり、箸で切り分けると簡単にほぐれ、のり子が作るものとは全く違っていた。
ソースもまろやかで、口の中でジュワーッと、とろけるような感覚だった。



食べ始めた頃に長女が帰宅した。

「おかえり~。とってもおいしいよ~。」
のり子はお礼のつもりで長女に話した。


長女はいつものにこやかな顔ではなかった。
どうしたの?会社でまた嫌なことがあったの?

のり子は頭の中で質問を考えていた。
すると長女が
「自分に届いたものを本人がまだ見ていないのに先に食べてしまうなんて信じられない!」と言った。


えっ?
自分に届いたもの?

それはそうだけれども、これは家族全員で食べると前から決めていたじゃない?

本人がまだ見ていない?
でも、ラインで写真を送って届いたことを知らせたじゃない?

先に食べた?
でも、食べてもいいかとラインで聞いたじゃない?




様々な反論がのり子の頭の中で湧き出し、その言葉が脳内でぶつかり合った。

のり子は家族が食べるものが送られてきたからそれを美味しいうちに早くみんなでいただこうと思っただけだった。


しかし、よく考えてみると、のり子の考えは独りよがりなことだった。
最終的には家族みんなでいただくものであっても、そのもととなった本人が箱を開封して、それからいただくべきだったのだ。



「お母さんはハンバーグの写真を撮りたくて今日、これを食べようとしたんでしょ?」

長女が言った。
その言葉にこれまで下手に出ていたのり子はカチンときた。


写真を撮って誰かに自慢したいからハンバーグを食べることにしたのでは絶対ない。


美味しそうなハンバーグを家族みんなで味わいたいと思っただけ。美味しいねと言って食べる娘たちの喜ぶ顔を見たかっただけ。

言い訳がましかったがそれだけははっきりと言った。


しかし、言い訳は言えばいうほど自分の首を真綿で締めているようなものだ。
のり子の言い訳は娘には通じなかった。



何はともあれ、今回の判断はのり子が間違っていた。
のり子は長女に平謝りしたが長女は少しの時間、のり子を許してくれず、言葉の銃弾をのり子に容赦なく浴びせた。

こう言う時の長女は徹底的に攻撃してくる。
のり子はその銃弾を受け続け、打ちのめされた。


三女は黙って食事をしていた。




お風呂からあがり、いつも通りのり子は部屋でPCを入力していた。

娘たちは既に自分の部屋にいき、1階は静かだった。




少しして三女が降りてきてのり子の部屋に入ってきた。

三女はのり子の目を見ながら両手を広げた。
のり子は三女の気持ちを察し、椅子から立ち上がり三女に近づいた。

のり子は三女の華奢な腰に手を回した。
贅肉のない三女の身体は力を入れると折れそうなほどだった。


三女が幼い頃は「おかあしゃーん」って、いつも私にまとわりついていた。

三人の中で一番の甘えん坊の三女だが、
今はもう、のり子より大きくなった。
二人はお互い、背中をトントンした。


「おかあさん、失敗しちゃった。」

のり子は三女に静かに言った。
図らずも少し涙声になった。

「うん、そういうときもあるさ」

三女は何度か背中をトントンしてからのり子から離れ
「早く寝るんだよ。じゃぁ」と言って二階に上がっていった。


「早く寝るんだよ。」
いつも娘たちに言われている言葉である。
その言葉には愛がいっぱい詰まっている。



久しぶりに「失敗」したのり子だった。



愛されている家族でも
礼儀を欠いてはいけない。


家族のためと思っているその行動が図らずも実は相手を傷つけていることがある。

自分本位の考えをしていないか
これからも注意しようとのり子は誓った。




今回は
失敗しちゃった
をお伝えいたしました。


本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。








◆◆ アファメーション ◆◆
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私は愛されています
大きな愛で包まれています

失敗しても
ご迷惑をおかけしても
どんな時でも
愛されています

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