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川が流れていく

いつもの散歩道だ。夕方の薄明かりの中、土手に座って川をじっと見ている女性がいた。ふと気がつくと、歩きながらあの人にかける言葉を探している自分がいた。

ーー何か悩んでいることでもあるんですか?

ーーあなたは寂しくてここにいるんじゃあないですか?

実際話しかけられるわけでもないのに、おかしいことだ。数日前の雨を集めて川の音がひびいている。いつも見上げている山を遠くに見た。川はあの山の水を集めて来るんだろうか。

川の流れを人生に例えた歌があった。少し口ずさんでみたけれど、これは私の歌ではないような気がしてやめた。私は土手で川の流れを見送る人だ。流れていく川をずっと見ている人だ。

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