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【roots2】 《4章》燃えた日

デイブは夜うなされる事があった。
あの日を夢に見ているのかもしれないとルビーは心配だった。
それにしても、今日は本当に苦しそう。
「デイブ、お茶でも飲む?」と起こした。
「あ…あぁ。ありがとう。頂こうかな」
ゆっくりと体を起こして温かいお茶を口にした。
「ごめんよ。起こしたんだね」
「夢が苦しそうだったわ」
「たまに見るんだ」
ルビーはデイブの両手を握ってため息をついた。
「まだ見えない…」
「ルビー。多分ね。僕は旅の途中で死の淵に来て…それに前を忘れていないんだ。色々が今までと違う。ルビーに会う前に閉じかけるなんて初めてだしね」デイブが静かな口調で死にかけていた事実を口にした。
ルビーはその重さをひしと感じて「そんなに大変だったのに…見てあげられなくてごめんね」と泣き出しそうな顔で言った。
「それを言うなら。見せてあげられなくて良かったんだよ。むごいだろ」とデイブはルビーの頭を撫でて慰めた。「私がもうさせないわ!守ってあげる」ルビーが元気よく言うと「頼もしいな。ありがとう」と微笑んだ。

次の日ルビーはオーウェンに会った。
デイブの背中について聞くためだった。
「見たのか?」オーウェンが聞くと
「知ったのか?でしょ。2人して黙ってて」
とすぐにルビーが言い返した。
「見たんだな。ひどいだろ?」オーウェンは両手で自分の顔を上下にぶるっと撫でた。
思い出すだけで身の毛がよだつのだろう。その様子にルビーは「オーウェンがいてくれて良かったわ。本当にありがとう」と頭を下げた。

オーウェンは頬杖をついて下を向くと
「火がさ、消しても、消しても…消えないんだよ」と怒っているのか、泣いているのかわからないかすれた声で呟いた。
「どうして火なんてつかえるの?」
「前にも少し火を使ってたよな。威力が増したのは何でなのか…わからない」
「オーウェンがデイブの元へ行った時、どんな様子だったの?」
「デイブはなんて?」
オーウェンはデイブの気持ちを思うと簡単には話せなかった。

「夢でうなされてるの。だから言わせたくないのよ。私今回見えないの。何度試してもダメなのよ」そう言って落ち込むルビーを見て、2人のために自分が話さなくてはいけないなとオーウェンは覚悟を決めて静かに話し出した。

「俺が飛んで行った時には…もうほとんど意識が無くて…ただ、デイブが死ぬはずがない!!って信じてそばにいただけなんだ」
ルビーの中に想像以上の景色が浮かんだ。
「何日くらい…そんな状態が?」
オーウェンは、また顔を手で覆って。
「3か月くらいかな。意識が戻っても話が出来たのはさらに数ヶ月後で…何度も手術をして…仰向けに寝れたのは一年経ってたかな…」と言うとコーヒーを一口飲み込んで
「3年近くは何度も手術をしたんだよ。ちゃんと歩けるようになるにも一年くらいかかったし…それで5年って感じか…」と言って、やっとルビーの顔を見た。
ルビーはため息しか出ない。

「リハビリ必死に頑張ったんだよ。ルビーに心配かけないために。何も変わらない姿で会いに行くために!」オーウェンが少し興奮気味に訴えた。
ルビーか悲しそうな顔で
「なのに私は…また来ないのかって思ってたわ。また繰り返したのねって」と申し訳なさそうに言った。
「それを気にしてたよ。デイブ今回、前を忘れて無いんだ」
「何かおかしいわよね。」
「チェイスの力か強くなって、デイブか前を忘れてない。ルビーが能力を失っていて…」
オーウェンが腕を組んだ。
「何だと思う?」ルビーが聞くと
「前の終わりに、一度チェイスを体に入れさせた事が原因かもしれないな」と答えた。

ルビーは目を強くつむんで手で顔を覆った。
「オスカーと離れたのは正解だよ。デイブは人に迷惑をかけたくないし。オスカーはデイブの弱点だ」オーウェンの冷静な声にルビーは手を外し姿勢を正し「こんなに深刻と思ってなかったから」と正直な胸のうちをこぼした。オーウェンは
「ルビーはデイブと俺が守る。心配しないで良いょ。ただ、くれぐれも用心はして」とやっと少し笑顔を見せた。

to be continue…
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続きはまた来週📙☕️


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