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1.紫陽花ソーダ〜青と赤の春〜

以下、赤=神崎赤琳 青=玉城青海

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赤「生物の授業はつまらない」

聞き捨てならない言葉だった
混ぜ終わった薬品を恍惚とした表情で眺め、丁寧に保管していく

赤「標本ばっかり作ってて飽きないの?」

青「薬品ばかり混ぜてる人に言われたくない」

赤「こんなに楽しいのに、色が変わったり、弱い薬品同士を混ぜて強い薬品を作ったり…」

青「標本だって楽しいと思うけど。昆虫も爬虫類も花もみんな綺麗なまま残しておける」

赤「わかってないな。生物には終わりがあるから美しいんでしょう」

青「赤琳こそわかってない。終わりが美しいと思うのは汚れきってしまったから。汚れきるまえに一番美しい状態で残せることこそが幸せなのよ」

赤「…ところで、もう4月だけど論文書き終わった?」

青「内容は決まってる。どうせ7月まではここに入れるわけだし、ゆっくり書くつもり」

赤「私たちが卒部することだってみんな興味ないのに論文なんて書く意味あるのかしらね」

青「まぁ理科研究部なんてあってないようなものだから」

赤「何書くの?論文」

青「紫陽花の標本を作ろうと思って」

赤「奇遇ね、私も酸性とアルカリ性の紫陽花の論文を書こうと思ってた」

青「じゃあそれを標本にさせてよ」

赤「嫌。私の作品は溶けて消えるまでがワンセットなんだから。」

青「相変わらずだね」

赤「そっちこそ。」

青「…薬品作りもう終わり?」

赤「今日はここまでにしとく」

青「じゃあ私もあとは乾かすところまでいったから、日誌書いたら帰ろう」

赤「了解。職員室寄りたいから先出るわ。昇降口で待ってる」

青「おっけー。」

赤琳は綺麗な長い髪を靡かせながら颯爽と実験室を後にした。
白い肌、色素の薄い瞳、脂肪の少ないボディに細長い手足。
赤琳を標本にしたら、といつも考えてしまう
私だったら、美しいまま残してあげられるのに

理科研究部日誌
記入者 玉城青海

4/27(木)晴れのち曇り
私たちの卒部と同時に同好会に格下げされることが決定したそうです。まぁ、現段階で部員2人の癖の発散場所になっているので、残してもらえるだけありがたいと思ってます。
卒部論文は紫陽花をテーマにすることにしました。赤琳も一緒だそうです。期日までに書き終えられるかどうか不安ですが標本作るのが楽しみです。

今日行ったこと モンシロチョウの標本作り


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次回 7/6 2.紫陽花ゼリー〜赤の塊と青のシロップ〜
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MoonCalmと申します.

皆さんは、花言葉はお好きでしょうか?
僕は好きです.酒言葉や石言葉も好きです.

例えば紫陽花の花言葉は「移り気」「辛抱強さ」「浮気」「無常」など.
紫陽花のように色がたくさんあるものは花言葉も色によって異なります.
調べてみると意外と面白いですよ.

ちなみに僕が一番好きな花は「ヒマラヤユキノシタ」という花です.
薄ピンクの花弁が可愛い、ユキノシタ科の花です.
実は紫陽花もユキノシタ科なんですよ.
僕もつい最近知りました. 

現実世界の僕は、よく意外と言われるのですが花は小さい頃から好きで、図鑑を読んだり、花言葉を調べたりよくしています.

今この作品以外にも世に出してない眠ってる作品が3作品ほどあるのですがどれも花を題材にしたものです.
意識してるわけではないのですが、書き始めた後に気づきます.
次に書く作品は、花以外を題材にしたものにできるようにしたいです.

どうぞよしなに.



では、またどこかで.




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