考えろ。考えろ。考え抜け。

友人の結婚式に行って

二週間程度が経過した。

金沢に行ってきたんだけれども

職場にお土産を買う程度には

社交性が伴っているので

お土産屋さんのおススメを

購入して、職場に提供した。

「金沢に自転車で行ったの?」

職場の人に何度も言われたのは

意外であり、自分の色に変化が

生じていることに気が付く。

自転車で遠くの場所に行くという

個性が浸透しているんだな、と

少しばかり感慨深い展開に出会った。

(きっかけになる小説は後日紹介します)

ボクの姿は文化系、インドアの印象を

持たれることが多いのだけれども

実際は高校球児として青春を過ごした

体育会系側の人間だったりする。

(まぁ体育会系の勢いは苦手ですが)

先日、地域のイベントの後で

半ば強引な方法で飲み会に

行く羽目になってしまい

体調が芳しくないのにもかかわらず

一回り、二回り年上の大人と

スナックに行くことになってしまった

厄介な時間の中でも言われた。

本当に苦痛レベルが高かったけれど

それなりに収穫のようなものはあった。

初めて足を踏み入れたスナックは

小説の材料に使えそうな印象だった。

それに一回りも二回りも年上の大人と

酒を飲むのは、あまり得意ではない。

スナックだからカラオケもあり

歌を歌うことに対して魅力もないので

地獄のような時間だった。

年上の大人たちは気分よく歌を歌い

ボクは「ゆとり」と揶揄される

世代の印象の盾とひどく醒めた目で

状況を眺めていたけれど

世代間差を感じてしまった。

大人たちは体育会系の悪しき風習を

行使してくるので半ば嫌悪感を出し

個性を大切にする教育を武器に

過ぎ去る時間を傍観していた。

持ち帰ったものは、誤差。

苦痛の中でも情報を収集し

これは使える、と脳内にメモするのは

小説家志望の性だろうか。

そういう世代間誤差を軸にしたら

何か面白いものが書けるのではないか。

そんなことを思ったボクは

今も体調が芳しくない、厄介だ。


執筆活動の方は停滞気味と言いますか

修正作業を途中で中断している状況だ。

一発目に送る小説には大学名を実名で

出しているので、それを削ぐ作業が

やるべきことなんだけれども

体調不良を言い訳に進んでいない。

新作の方も考えた結果、結末が雑なので

修正を加えていかないといけない命題と

書き終わりは傑作だと思い込む色眼鏡を

取り外す為に、今は寝かしている。

明日以降で進めて行こうとは考えているけれど。


そんな停滞気味での今日の一冊。

青の炎 著 貴志 祐介

この小説を読んだのは高校二年。

確か、試合帰りに薄暗い駅のホームで

読んでいたのは何故か記憶に残っている。

ボクが物語を開くずっと前に

アイドルを主役に据え映画化されていた。

市内にあった映画館の立て看板が

ふと蘇る程度にどこかで興味を

抱いている、印象深いものであったことに

気付くのは読み終えた後の話。

物語は進学校に通う高校二年生の17歳。

成績優秀でクラスでも居場所のある彼は

誰にも言えない悩みに苦しんでいた。

それは離婚したはずの横暴な父親が

突然母親と妹と暮らす家にやってきて

住み付いてしまったことで

幸せだったはずの家庭に影が生まれたこと。

「父親から家族を守るために何をすべきか」を

独りで抱え込み、法的手段など様々な手を使い

横暴な父親を排除する為に孤独な戦いを続けていた。

しかし母親には危害(性的な)が加えられ

妹にも危害が加えられそうになったのを契機に

主人公の怒りが臨界点を越えてしまい

最終手段を選択することになる。

自分の為ではなく、家族の為に

17歳の主人公が知略を駆使して

独りで戦うのは印象的であり

物語が進んでいく中で判明する

事実には震え、同級生との

信頼関係は切ないものを抱かせる。

物語は倒叙スタイルであり

事件を解決する物語とは異なるので

ミステリ系が読み飽きた人には

刺激的かもしれないと思います。

彼が普段使用している移動手段は

ロードレーサー。

(弱虫ペダルとかで脚光を浴びた

ドロップハンドルの競技用自転車)

この小説を読んでいる時から

いつかはロードレーサを買って

乗ってみたいと思っていたが

職場の異動により以前よりも

職場との距離が伸びたことで

購入して、今もボクの足になり

ある意味ボクの個性を彩っている。

あとは主人公のように

独りで戦う姿に対して

憧れのようなものがあったけれど

独りで戦うことの不自由さや

の苦しさを教えてくれるし

良識、倫理や法律に対しての

不信感に似た感情を抱く

きっかけになった一冊。

最後の一文は、切ない。

あまりにも切ない。

心に響く言葉も散らばっている。

ボクは何かがあると呪文のように

今も使っている言葉が

この物語には刻まれている。

「考えろ。考えろ。考え抜け。

どうすれば一番いいのかを」


そういえば今日は

芥川賞・直木賞の受賞発表日。

いつかボクは手にしたいと

思っている賞の一つ。

正確には30歳までに受賞する。

それも平成生まれ初の芥川賞という

看板を手にするために。

それが今のボクの目標だ。

その為に何をすべきかを問い続け

誰も紡がなかった物語を生み出す。

それが考え抜いた当たり前の結末。

まだ、消えない炎が燃えているから

ボクは戦えるし、戦い続ける。

無謀と笑われるような目標地点に

辿り着くために。

そんな青いことを抱くのも

若者の特権でしょ?


朝比奈 ケイスケ


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