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小説✳︎「月明かりで太陽は輝く」第21話


佳太ー臆病

会社から、転勤の辞令が降りた。

3ヶ月後、名古屋の営業所に行くことになった。
リコの側に居たいと思った矢先に
自分からここを離れなくちゃ行けない。
縁あって、小さなこの街に集まった
僕たちだったけど姉は嫁ぎ、僕もここを出る。

あと3ヶ月。

当たり前に一緒に駅へ向かい
同じ電車に乗り、見送り
帰ってきたらLINEで他愛無い事をやりとり。チョビに会いたいからって
夕飯作って部屋へ行ったりもした。
実家から送ってきた果物を
お裾分けするからと、持ってきてくれて
僕の部屋でコーヒーを飲む事もあった。
僕の想いは、やっぱり
きちんと伝えるべきかな。
友達には、なれたと思うし
リコにとって僕は、どう映っているのかな。
紘太さんと身長が同じだから
そばにいてくれるのか。
僕を透かして
紘太さんを見ているのではないか?
答えを聞く事に躊躇っている。
臆病になっている自分が不思議だ。
このまま、友達のまま、今のまま?

以前、姉さんから聞いた
大地さんのプロポーズの言葉。
『想像もした。
君が、他の人と生きていく人生。
僕は、失いたくないだけでなく
離したくないとも思った』
僕も想像した。 
紘太さんでは無い、誰かと笑い合ってる
リコの姿を。胸が苦しくなった。
どうしようも無いほど
想像なのに、悔しくて切なくなった。

たとえ彼女が
僕を必要としてくれなくても
この想いを伝える事は
いけない事かな?
彼女を苦しめないかな?
今まで,たくさんの苦しみを
乗り越えて来た彼女に
これ以上、苦しむ事を
与えたくは無いんだ。
ただ、笑っていて欲しいんだ。
ただ、それだけを願っているんだ。
今までも、恋はしてきたつもりだけど
それとは違う感情が、沸き起こる。
だからこそ
臆病に、なっているんだろうか?


#創作大賞2023
#恋愛小説
#僕の想い
#3ヶ月

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