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小説✳︎「月明かりで太陽は輝く」第22話


結里子ーフレームの中のケイ

郊外にある、景色が綺麗な
ガーデンレストランを貸切にして
大地さんとアキコさんの
小さな結婚式は行われた。

大地さんと、陸くんとお母さま。
アキコさんとケイとご両親。
それぞれのご親族達が数名。

私は、看護師と言う立場から
最近、心臓を患われて心配な
大地さんのお母さまの為に
特別にお式に加わわらせて頂いた。

カメラマンはケイ。

ケイの趣味でもあるカメラは
とても高そうなプロ仕様のもの。
構える姿がドキッとする程、カッコイイ。
脚立も要らない高身長は、色々なアングルで
幸せな2人や家族達をカメラに納めている。

大地さんのお母さまの様子に
視線を向けながらも 
時々、カメラを構えるケイを
目で追っていた。

素敵な時が流れる場所に
私もご一緒させていただけて
本当に嬉しかった。
うっとりと美しい花嫁姿の
アキコさんを眺めていたら
ポンっと
ケイからカメラを渡された。

「リコ。これ使い方教えるからさ
ちょっと撮ってくれない?」
「え?」
「俺から、2人に歌のプレゼント
するんだけど、俺のこと
撮ってくれない?」
「もちろん!って、言いたいけど
私に出来るかな?」
「大丈夫だよ。今教えるね」

ケイは,優しく使い方を教えてくれた。
教え方が、とても分かりやすくて
私でも何とか出来そう。

緑が鮮やかなお庭を背にして、立つケイ。

いつも仕事に行く時もスーツだけど
今日のおめかしスーツもすごく似合ってる。
少し大きめなラペルピンもキラキラしていて、レンズを向けながらドキドキしてくる。
こんなに、じっと見つめる事は
今まで無かったかもしれない。

おもむろに、グランドピアノに
向き合い、弾きながら歌い出したケイ。

ワンオクの
「Wherver you are」 だ。

カメラのフレームの中のケイの姿に
ドキドキしながら歌詞のフレーズと
響くケイの歌声が素敵すぎて
夢中になってシャッターをきっていた私。
うまく写せたか、わからないけど
とにかくこの瞬間は
私は、ケイの全てが素敵で、真っ直ぐに
彼の事だけ想っていた。


#創作大賞2023
#恋愛小説
#カメラ
#歌のプレゼント

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