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元被虐待児の回想

 被虐待児の心は逃れた後でもえぐれていく。

 私の場合、過去の回想の内容はまるでカオスで、もしくは地獄である。私は統合失調症と診断された。精神科を初めて受診したのは母の手から逃れた後のことだ。

 母はいつも私を愛せているようで貶していた。私は、私が反故にされることで母の恨み、妬みを理解して育った。母は双極性障害である。殴られ、蹴られた時はタイミングが悪かったんだと自分に言い聞かせていた。
そうして、私の心はすり減る。限界が来た。

私は声を心を賭けて育てていた。

その声が出なくなった。それは最初は突発的なもので、理由も明白だった。条件反射のようなものだった。
母が、生活リズムが不規則な母が、その生活に対応して学校に通えなくなった私に、言うのだ。
「声優専門学校やめるのか。」と週に一回、元同級生の母を混じえて、3時間。
(あなたがそれを言うんですか?)そう言ってやりたかった。でも言えない。母の機嫌が悪くなるから。だから、
私はまず絶句した。
週に一回を繰り返して
その内喉が枯れた。
喉に負荷はかけてないのに声が枯れた時のようになって発声しようとしても声が出なくなった。
時間だけが過ぎていった。私の声も気持ちも置き去りにして。
何周目かに私は、こんな家いらない。
そう思った。
発言したかは覚えていない。

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