【つながる旅行記#12】in稚内 ノシャップとシカと魚と…南極。part.1
秋。
前回の青森の旅を終えて、自分はまた稚内に居た。
そう、思えば自分の旅の始まりは稚内だった。
まあ結果としてその始まりの旅は町をひたすら歩いて終わったのだが、得られたものは多く、思い出としてしっかり残っている。
そして今回、また稚内に訪れた。
当然平凡な日で終わらせるはずもない。
目指すはノシャップ岬。
稚内市において、二本の角の片側となる存在である。
そう、今回も日本最北端の宗谷岬には行かない。
その……遠いし……。
一方のノシャップ岬は、稚内駅から自転車でもちょちょいと行けてしまうのだ。
距離にして5km。
名だたる山(低山)を踏破してきた自分なら、5kmなど余裕。
もはやニートだった頃と違って、多少は体力もついたのだ。
ということで……
バスを使った。
まあそういう日だってある。
時間は有限だ。
バスを使ったって良いじゃないか。
ノシャップ岬の辺りには自衛隊の駐屯地があったりする。
なにせここは目前に樺太が見える土地なのだ。
ロシアがなにかの行動を起こしたとき、その動きを捉える最前線が稚内。
日頃国境のことなんて考えたことのなかった自分だが、こういうものを実際に見ると色々気付かされる。
そして季節は秋。
夏には青々と生命力にあふれていた北海道の自然も、いよいよ茶色く染まって、姿を変えていくようだ。
よく見ると草むらの中には大量のエゾシカが居た。
君たち、人の気配がない夕方の山以外でもこんなに出てくるの……?
なんだかもう道路には飛び出るわ、人がすぐ近くに居ても逃げないわで、修学旅行で行った奈良公園のシカを思い出す。
ここらへんのエゾシカ、人に慣れすぎじゃないか……?
近くのお土産屋をチラ見して、いよいよノシャップ岬の先端へ向かう。
そしてこのノシャップ岬は、自分が旅に出たいと思うきっかけとなったニートジョンさんの動画でも一悶着あった場所である。
そう、エホバの証人の勧誘の舞台だ。
ジョンさん、こんなところで勧誘を受けたのか……。
というか勧誘する方もなんでこんな場所を……?
いや、考えてみれば最果ての地って、なんとなく人生に迷った人がたどり着きそうだし、宗教の勧誘場所としてはアリなのかもしれない。
遠くには利尻島が見える。
あいにく今後行く機会に恵まれるかわからない場所だ。
なにせフェリーの本数が少ないので、自分の休みの形態では行っても帰ってこられない可能性がある。
それは流石にまずい。
……でもいつか行ってみたいな。
なにせ利尻岳は日本百名山のNo.1、一番最初の山なのである。
これは登山に目覚めた人間としては行かない理由はない。
でも日程がなあ……。
そんな事を考えながら歩く。
今日の目的地はノシャップ岬と、そのすぐ近くにある水族館だ。
入るとすぐにペンギンとアザラシがお出迎え。
パンフレットの重石は乾電池である。渋い。
小規模な水槽が続く通路を抜けると、なにやら上部に穴の空いた水槽があった。
どうやらあの有名なドクターフィッシュらしい。
手を入れると角質を食べてくれるというやつだ。
海外ではアトピーの有効な治療法になっているというのは始めて知った。
まあ自分は今のところ肌荒れに問題を感じてないので今回はスルーだ。
階段を降りて下のフロアへ。
そういえばこの水族館は入り口が2階だった。
2階からスタートして1階へ降りていくというのは珍しいような気がする。
下に降りると、360度を水槽に囲まれたフロアになっていた。
魚たちは同じ方向に無限に泳げるのだ。
幻の魚、イトウ。
そういえば自分は魚の知識もなかった。
今は北海道にしか生息していないらしい。
ちょっと暗い場所なので、動かれるとブレて写真になりゃしないのが困るところだが、イトウだけ明らかにデカい。
これはかなり食べごたえがありそうだ。
そしてイトウと同じくらい気になる魚がいた。
この魚の名前はオオカミウオ。
シワシワな肌と分厚い唇、そしてイトウより長くはないが、巨大な体。
なんだかわからないがすごく惹かれるものがある。
紋別のアカショウビンと同じくらいスッと頭に入ってきたオオカミウオ。
オオカミウオをこれから先、他の水族館で見ることはあるのだろうか。
そんな感じで水族館は終了。
小さな水族館だったがなかなか楽しめた。
しかしこの施設はまだ終わりではない。
なんと隣接された科学館もあるのだ。
料金は一緒になっているのでこっちも見ていこう。
科学館に行くのなんていつぶりだろうか。
思えばアルバイト時代に国立科学博物館に行って以来かもしれない。
果たしてどんな展示があるのか、そしてタイトルの南極とは……?
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