リソース種類数とメカニクスの相性

書き散らし。本題前が本番。

先日、べよ氏の下記翻訳記事を読んだ。

テラミスティカの「ラウンド得点」を「ラウンドの終了時の中間的な得点計算」として一緒に述べるのは違わない?と思うものの、述べられていることに関しては概ね同意できる。

そしてそんな中でテラノヴァに関してはこう述べられていた

得点する機会をいくつか省いたことで、ラウンド終了時の目標が重要すぎるものとなってしまった。苦しいトレードオフが伴うことは一切ない。結果として、得点を取得する方法に関するプレイヤーの選択からは、そうする(※苦しいトレードオフが伴うような選択をする)のに十分な方法がないことから、ゲーム終了時に緊張感が全く存在しない。

テラノヴァでテラミスティカから除かれた得点方法はゲーム終了時の宗教マジョリティと恩恵タイルによる得点だ。たしかに、マジョリティという相対順位の得点方法が1つなくなっていることは緊張感という部分に大きな影響を与えている。しかしテラミスティカの恩恵タイルは、所持している場合どちらかといえばトレードオフを緩和する存在であると思う。序盤にどれを取るべきかというのはあるものの、それは終盤の緊張感には影響しない。
(余談だが、私は初手で土1を取ることはほとんどしない。基本は土2か風2だ)

では宗教マジョリティ1つがここまで終盤のプレイ感を変えるかというと、答えは否だと思う。

テラノヴァの終盤に緊張感がない理由

最終ラウンドの1つ前のラウンドでの自分の思考について考えてみるが一言で言えば「パスをいつするのか」ということに集約される。
テラミスティカの場合はリソース、特に金が足りるのかという話が常に付きまとう。4pw7金のアクションを踏む必要があるかどうかは争点の中心になりやすい。それらとボーナスタイルの巡りを考えて、早期のパスをするかこのラウンドで得点を稼ぐかを天秤にかける。
テラノヴァの場合も同じくパスをいつするのかを考えるのだが「得点の入るボーナスタイルを取る(種類は最悪どれでもいい)」程度だ。点数さえ取れれば大抵なんとかなる。

なぜこんな違いが起こるかといえば、下記の私の記事でも軽く触れているが、「単一リソース※による拡大再生産」というのが原因だと思う。
※ パワーはテラノヴァでは単に金に置き換えることができる、パワーアクションも何金得かで計算できる

拡大再生産は仕組み上序盤にリソースを増やす基盤を作るのが強い行動になるわけだが、増やすものが唯一つだと、そこに選択肢がなくただただ増やす方向に動けば良いことになる。単一であるリソースさえ増えれば、あとは得点に変えていくだけだ。

ここにラウンドごとに得点の方法が違うというメカニクスが増えても、初期の生産基盤を作るラウンドを除き、各ラウンドで点数の入る行動をやれるだけやるというプレイが大きな間違いにはならない。

これらのことがプレイヤーから選択肢を奪い、緊張感をなくしていると思う。つまりリソースが1種類であるということと拡大再生産というメカニクスは相性が悪いと言える。

せめて拡大再生産の方法と、得点の方法が分かれていれば少しは違ったのかもしれないが、結局唯一のリソースを増やし得点に変えるという構造は変わらないので、それをしてもただ不自由が増えそうである。

ただし、上記はヘビーユーロに慣れたゲーマーから見た観点であり、テラノヴァ自体は「ファミリー向け」に再編されたテラミスティカで、ゲーム慣れしていなくても苦しさに陥り難い点はターゲットを考えれば正解であるということを述べておきたい。
またゲーマーであっても、テラノヴァの非常に激しいヘクスの奪い合いはテラミスティカの簡易版と思わず遊んでみてもらいたい。

リソースの種類数と拡大再生産とその他のメカニクス

さてここでようやくタイトルの話題に入り、そしてあまり深くも広くも考えてないので淡々と終わるのだが、上記のようにリソースの種類数によって有効なメカニクス、相性の悪いメカニクスというのがあると思う。

リソースなし

「だるまあつめ」など
点数しかないタイプのゲーム。リソースマネジメント要素がない上に、他プレイヤーとやり取りするものもないので、確率とのチキンレース、いわゆるジレンマを感じるものと相性がいい。
拡大再生産は不可能。

単一リソース

「テラノヴァ」「アイルオブスカイ」など
競りのようにプレイヤー間でのやり取りが行われるのが相性がいい。各プレイヤーは競りの対象の価値の見定めに注力できる。
トリックテイキングゲームやゴーアウト系のカードゲームは手札というリソースのマネジメントゲームなので実はここに入ると思う。
拡大再生産は相性が悪い。序盤に大きく拡大できたやつが勝ちやすいという単純な構造になる。

2~4程度

「テラミスティカ」「バラージ」など
多くのメカニクスと相性が良く、拡大再生産とも相性がいい。

それ以上の多数のリソースの種類

「トリスメギストス」「ウェザーマシン」など
基本的にはワーカープレイスなど資源の獲得に手番を使えて、必要な資源は必要になる直前に仕入れるという方法が相性が良い。
すべてのリソースが有機的に使用される場合、拡大再生産を加えるとひたすらに一人でパズルを解くことになり相性が悪い。
しかし、特定のリソースに特化することが強力な戦法になり得るのであれば、拡大再生産を取り入れるのもいい。

雑感

ボードゲームにハマり始めたころは拡大再生産というメカニクスそのものが好きだと思っていた。実際現在好きなゲームである「テラミスティカ」や「バラージ」は拡大再生産ゲームである。
しかし今は拡大再生産そのものが好きかというとそういうわけでもない。
そのメカニクスをしっかり楽しめるゲーム構造が必要だ。
そんな当たり前のことを改めて思ったわけでした。

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