母が看護師を辞めたはなし

母が小さい時、祖母が病気で入退院を繰り返していたそうだ。
そんな状況もあり、母は小さい頃から看護師になりたいと思っていたと話してくれた。

母の中で「看護師」は誇れる職業だ。

そして、看護師は患者に寄り添って働く職業だ。
私は看護師に対して「尊敬」以外の言葉はないと思っている。
それは、私が小さい頃に夜勤明けの母が悲しげに話した
「今日、担当の患者さん亡くなったんよ。」
を聞いた時から看護師として働くことの大変さを理解しているからだ。
何年働いても決して患者の死に向き合うことは簡単ではない。

看護師はいつも健康でいなければいけない。
そういう職業だと母から教えられた。
風邪やインフルエンザにならない為、手洗いやうがい、予防接種はコロナが流行る前から基本だ。
季節によっては人混みの中にも行かない。
母は看護師として徹底していた。

しかし、母が予防できなかった病気がある。
それは「うつ病」だ。

長年、休みなく働き続け、歳を重ねた母の体に「自分の父親の死」が襲った。

うつ病を発症すると記憶が途切れたり、小さなミスが増える。
しかし、医療現場では小さなミスですら、許されない。
たとえ患者さんに影響がないことであっても。
周りとの摩擦は大きい。
それが医療現場だ。
そして、母に医療現場を離れる決断を突きつけられるのだ。

「給料泥棒と言われてもしょうがない。」

そう母は言われたそうだ。

医療現場という特殊な場所は仕事の責任から
「うつ病」という病気に対しての許容が少ない。

母は誇れる職業だった「看護師」を辞めた。

「看護師」だった母は「看護師」という誇らしい職業から離れる寂しさと辛さに向き合うところからリハビリを始める。

また、「看護師」に戻るために。

☆☆☆☆☆☆☆
現在、コロナが拡大している。
そんな状況の中で最前線で戦う医療従事者の方々には感謝と尊敬しかない。
私に大したことはできないが
コロナになったり、コロナを移したりしないこと
への予防を徹底したいと思う。

これを偶然にも読んでいただけている
医療従事者の方へ
日々、ありがとうございます。
どうかご自愛ください。
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