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【cinema】独裁者と小さな孫

noteに初めて書く映画の感想はこちら。
イランのモフセン・マフマルバフ監督がジョージアにて撮った作品。

独裁政権が支配する国でクーデターが起きた。老齢の独裁者は、幼い孫と共に逃亡生活を送ることに。旅芸人に扮して逃亡する2人に未来はあるのか…

名もなき国が舞台であり、時代背景も明らかにされていない、架空の物語なのだが、今日までのあらゆる独裁政権を揶揄していることは間違いない。

しかしながら、目線が独裁者である大統領とその孫によるものなので、なぜだか彼らに寄り添いながら見ることしかできないのです。むしろ同情してしまうというか。大統領がしてきたことは酷く、国民の恨みは相当なもので、それはラストでも明らかなんですが、もう誰が悪で何が正義なのかわからなくなるのです。ふと思ったのは、北アフリカのリビアで独裁政治を強いてきたカダフィの最期でした。彼の死に顔がネット上で拡散されていたのをこの映画を見て思い出したのです。

決して独裁政治を擁護するわけではありません。それに苦しめられてきた多くの人々の気持ちを考えると、復讐や制裁が妥当だとも言えるでしょう。しかし、反体制派が跋扈するその国は、前より良くなったとは言い難く、蹂躙される側は変わらず、いつまで経っても負の連鎖は止まらない。ホント、大統領はどうなったのでしょうか…

ほとんどの登場人物に名がない中、大統領の「マリア」、孫の「マリア」、2人のマリアの存在が印象的でした。追いつめられる中、彼が思い出したのは、娼婦のマリアだった。孫息子がずっと忘れられなかったのは遊び友達のマリアだった。ある種象徴的なものなのかな…

映画の冒頭が光り輝くイルミネーションとヨハンシュトラウス2世の美しき青きドナウがBGMで、この国はこのままの方が幸せだったのかも…と思う私は、やはり他人事でしか考えてないんだろうか。

2016年、2本目に見たのがこちらでした。

シネリーブル梅田にて鑑賞。

Facebookでは、ずっと更新してきた映画日記ですが、noteでは過去に見たものの感想も思い立ったら上げていこうと思います。

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