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【cinema】アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男

2017年4本目。

ええーい!何だ、この邦題💢💢💢もう私は怒り心頭であります。アイヒマン、入れたらええっちゅうんかい!原題のどこにもアイヒマン入っとらんぞ、おい!これは、「ヒトラー」にも同じことが言えるんですが、とにかくヒトラーを入れとけば観るだろうみたいな魂胆が見え見えで、何かもう、残念で仕方がない。(今、上映中の邦題「ヒトラーの忘れもの」っていうデンマーク映画あるよね?あれ、すごーくすごーくイイ映画です。2015年東京国際映画祭で観て感動しました。でもヒトラー、ほぼカンケーないからね)
大体私が映画のタイトルを語るときはモノ申すなんですが、特にキレたいのは、この副題で、「ナチスがもっとも畏れた男」の名前が、邦題からそのまま抜け落ちてるじゃないか!と。

これは、逃亡しているアイヒマンの行方を追うユダヤ人検察長官フリッツ・バウアーが主人公です。でも、たしかに皆知らないよね、彼のことなんて。私もよくは知りませんでした。でもね、コレは本当に彼の信念、いや執念の孤独な闘いを描いている。ドイツ人として、自国の戦犯をきちんと裁きたいという思い。ユダヤ人として、ではなく、イスラエルという他国に、でもなく。

だから、ホンマに残念。でも皆アイヒマンって名前だけで、飛びつくよね。アイヒマンは怪物でも何でもないんだよ。彼をとり上げた作品はたくさんあるけど、コレは違う。アイヒマンは脇役。フリッツ・バウアーを見てほしい。彼を取り巻く人間模様を見てほしい。戦後のドイツがどんな状態だったか、誰もがナチをそこまで悪とは見なしていなかったあの時代。真の意味で、戦争は終わってなんかいない。ナチの影響力は、敗戦してなお、連合国でさえ承知していたという事実。それと闘おうとするのにどれほどの根気や気力が必要か。考えるだけでも苦しくなってくる。

フリッツ・バウアーは孤軍奮闘というわけでもないのだけど、味方にするには危うい面を持ち合わせた部下アンガーマンの一瞬の過ちによって、何だかよくわからない方向へと向かっていくのは、ちと残念。バウアー自身も弱点があったし、それがアンガーマンと共通していたから共闘できた部分もあったと思う。人間みな完璧な人はいないとは言うけれど、ここで?みたいな…。ちょっと陳腐になりがちなエピソードが大きく取り沙汰されていて、実際はどうだったんだろう…。

まー、色々書いたけど、この映画を見る前、見た後でもいいので、オススメは、「顔のないヒトラーたち」(これも「ヒトラー」入ってる…)と「ハンナ・アーレント」です。あ、あと「アイヒマン・ショー」も見たらいいと思う。それから、ヨーゼフ・メンゲレの息子のことを描いた「MY FATHER」もちょっと違うかもだけど、参考にはなるかな。色々見て、自分なりに考えたり、他の文献調べてみたりしていくと、面白いなぁと思えてくると思います!

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