【cinema】神様の思し召し
10/7鑑賞。
たまにあること。映画を見ながら、話の筋書きが見えてくる。ほとんどがあまり良くない出来事が起こる予兆というか前ぶれみたいなものをふとした瞬間に予想してしまう。もっとこの幸せが続けばいいのに。そう願えば願うほど、試練みたいなものがふりかかる、そんな感じ。そう言ったらネタバレになるかもしれないけれど、この話もそんな話です。一見コメディだけれども、常に大笑いするような代物ではなく、温かさはあるもののそうくるか…という感じ。
あらすじ:
腕利きだが傲慢な心臓外科医トンマーゾは、医大に通う息子アンドレアに後を継がせようと期待していたが、アンドレアが突然「神父になりたい」と言い出したことから大騒ぎに。息子が誰かに洗脳されたと決めつけたトンマーゾは、アンドレアが慕う神父のもとへと向かうが……(映画.comより転記)
この神父ピエトロというのが、型破りな男で、前科者でもあるんですが、ノリがいい、説話が面白く、若者も傾倒する者が多い。トンマーゾの息子もそのうちの1人でした。父親からしたら面白くない。医者になってほしい息子が神父になりたい、自分以上に尊敬されるヤツとはどんなヤツか。
よくある話ですよね。境遇や人物設定の違いがあったりするけれど、頑固者やひねくれ者が自分とは全く違った世界に住む人間と出会って、変わっていく話。って言ったら、私って何て穿った物の見方をするヤツなんだろうって自分でも思うんだけど、だけど、そうなんだもん。こういう話が万人受けするのは、万国共通。見やすいし、笑えたり、ホロリときたり。
そんな中で注目したのは、トンマーゾの妻の立ち位置でした。めちゃめちゃ美人なのに、旦那からは半分モノ扱いされて、酒浸りになって、情緒不安定になるも、若かりし頃に学生運動に傾倒していたこともあって、大学での自身の講話をキッカケに、また学生運動にのめり込んでいく。夫から認められない満たされない自分を半分嘆いて…。でもこうなったら、オンナは強い。もう誰にも止められない。そういう彼女の姿を見て、ヤバイと思うようになるトンマーゾ。それまでの彼だったら考えられないことだったのに。それはピエトロとの出会いがあってこそだったと思うし、この妻が動かずにいたら、変わっていなかったかもしれない。
一見、トンマーゾと神父、トンマーゾと息子のアンドレアの対峙にフォーカスされているようで、妻と向き合うことも1つのスパイスになってるんではないかなと思います。また、病院の同僚や娘や娘婿とのやりとりも適度に笑えて、いい。でも、ラストはそう来るかぁと。まさにタイトルどおりです。ホント、どうなったのかな。
2015年の東京国際映画祭で観客賞を受賞した作品です。うん、いい映画でした。
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