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【cinema】人生フルーツ

2017年12本目。今年初めての邦画です。

これは、撮影当時、御年90才の津端修一さん、87才の英子さんご夫婦の日常生活を切り取ったドキュメンタリーで、東海放送でテレビ放映されたものを映画に編集し直したものだそうです。

予告編を見て、わ、見たい!と思い、平日休みを取って観に行ってきました。1日1回上映だったからか、平日なのにすごい人。年配の方が多かったですが、これは、私たちの世代が見ても色々感じ入るところの多い内容でした。

二人は連れ添って65年。愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンのそばの平屋で暮らしています。庭には何十種類もの果樹や野菜を育てていて、それらを収穫する姿、料理する姿が切り取られています。カメラワークにもよるのだと思うけど、お二人のそれらに対する愛情に満ち溢れていて、それだけで胸が一杯になりました。私たちが忘れてしまった、手放してしまった古き良きものを実直に、ひたむきに実践されているんだなと。

修一さんは毎日誰かに葉書を書くことを習慣にしていて、それは野菜屋さんにだったり、魚屋さんにだったり、茶目っ気たっぷりのイラストを交えながらスラスラと感謝の気持ちを当たり前のように伝える。すごく大事なことだなと思いました。

英子さんは、背中すら曲がっているけれど、足腰はしっかりしていて、口調からも自分の信念を持った強く賢い女性だというのがわかります。夫を立てることは昔の女性ならではですが、二人は遠慮し合うことなく、お互いにちょうど良い距離感で生きてきたんだなぁと思いました。

なんか「ほのぼの」とはまた違うんです。酸いも甘いも経験してきたからこそ悟った柔らかさがあって、その軸は絶対にぶれない。身近にこんな方がいたら、いつも自分の佇まいを振り返り、振り返りして生きることができるのかも。

何度となく、クスッと笑ってしまったり、涙したり、BGM効果もあってかすごく心が温かくなれた映画でした。あと何と言っても樹木希林さんのナレーションが絶妙です。

何気ない日常を大切に大切に生きてきたお二人の姿、しかと拝見いたしました。「丁寧に暮らす」って、今の私からするとかなり背伸びしないといけないのですが、無理せず、ゆるりと、肩肘張らずに、自分らしくを意識することの大切さを感じた次第です。

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