見出し画像

【cinema】好きにならずにいられない

8/12鑑賞。ノルウェー映画。

日本版のポスターがいやにキッチュでポップだったので、冴えない男が主人公のラブコメ程度に考えて、観たら、何だかとてつもなく堪らなく悲しい物語だった。初めから終わりまで。

フーシ、彼は心やさしき男。43才独身。女性経験なし。見た目は熊を彷彿とさせる大男。趣味、戦争模型、戦争ゲーム。仕事、空港の荷物運搬係。母親と同居。

そんな彼が誕生日に母親と母親の彼氏(!)からもらったプレゼントがダンス教室の受講券。そこで出会いも探せるだろと。イヤイヤながら行ってみると、同世代の親しみやすい女性シェヴンがいて…。

それでトントン拍子に話が進むかと思いきや、一見快活だったシェヴンは、心を病んでいて塞ぎがち、仕事もごみ収集作業員なのを花屋と偽っていたり。それに加え、フーシのアパートの階下に住む少女は、彼を慕ってまとわりついてくるもドライブしただけで彼女の父親から幼女誘拐と疑われ、警察に連行されたり、フーシの内気な性格から同僚たちがからかって、イジメ同然のことを仕掛けてきたり、とにかくフーシは散々なんです。

それでもシェヴンを何とかしたいという気持ちから、彼は行動します。こんな男性がいるんだろうかというくらい献身的なんです。泣けてくる…。

日が経って感想を書いているから、結構テキトーかもしれないですが、めっちゃいたたまれないシーンがあって、それをすごく覚えていて。
彼が仕事を終えて戻ってくると、年老いた母親とその彼氏(しかも後に別れるし)がキッチンで最中のところに出くわすんですね。もう何だか彼の気持ちを考えると、ウォーーーー!って言いたくなると思うんです。もっと吠えろよと。それをしない彼が愛おしくなって、あらゆるシーンにおいて、彼は超消極的なんですけど、本当に本当にいい人なんです。

もうそれだけが救いの映画です。

この邦題は、フーシがシェヴンを「好きにならずにいられない」って意味なんだろうけど、私からしたら、フーシ自身を私ら観客から見て「好きにならずにいられない」でした。

#映画 #感想 #cinema #レビュー #シネマ #ノルウェー #好きにならずにいられない #note映画部

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?