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【cinema】カルテルランド

5/28鑑賞。
麻薬カルテルから身を守ろうと自警団を結成したメキシコはミチョアカン州地元の医師ミレレスと彼を取り巻く諸々の事件、また、メキシコ国境沿いのアメリカはアリゾナ砂漠で、密入国する麻薬組織の人間たちを取り締まろうとする、こちらも自警団の者たちを描いたドキュメンタリー。

一言で言うと、詰めが甘い。それに尽きます。ミレレス、良いことしてるんだよ。まぁ、武器を片手にカルテルに立ち向かおうというのは行き過ぎかもしれないけれど、自分たちの手で、自分たちの身を守ろうとする精神は素晴らしいと思う。警察も政府もとり合ってくれない。彼らもカルテルの思う壺、手先となっている。ならば我らで、はわからなくもないんです。なのに…なのに、そんなことで棒に振るの?と言いたくなるんです。男はやっぱりそんなものなの、とも言いたくなります。と書いたらわかってくれる方もいると思いますが。こんなにカリスマ性があるのに、そのカリスマ性が故に、天狗になったのか、裸の王様になったのか。または仲間を信じすぎたのか。

組織論を勉強すれば、もっとこの面白さがわかるのかな。大なり小なり人が集まって、同じ目標や目的を掲げ、行動を共にして、それが永続的に存在できるか。

それはそうと、メキシコの麻薬絡みの殺人は凄惨極まりなく、よくニュースでも取り沙汰されていますが、面白い記事を見つけました。
「犯された女の子供たち メキシコ麻薬カルテルが残虐な理由」
メキシコ人の血には抗えない過去の亡霊がまとわりついている。それが「犯された女の子どもたち」である自分なのだと。自分の中に恨む相手も敵もいて、素直に自己肯定することができない後ろ暗い部分がある。だから生を謳歌するより、死を軽んじる傾向にあるのだと。メキシコの詩人、オクタビオ・パスが表したメキシコ人の死生観の一部だそうです。それがカルテルの殺し方に通ずるものがあるというのは強引かもしれないけど、なるほどとも思ったり。

映画について、あまり言及していない。数あるメキシコ麻薬戦争関連の映画のうちの一つとして興味深くはあったけれど、ノンフィクションのわりに出来すぎた感があって、それなら、去年見た「皆殺しのバラッド」の方が面白かったかな。あの国特有のギラつきやべたつき、また乾いた空気感がより感じられたから。

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