見出し画像

【cinema】人生は狂詩曲(ラプソディ)

7/24鑑賞。(わ、5ヶ月も前のだよ)

今年はベルギー映画づいていて、しかもどれも小粒ながら良作。これもそこまで期待せずに観に行って、あー見て良かったなと思ったうちの一つです。

吹奏楽の欧州決勝大会出場チームを選ぶ大会に参加したベルギー・フランドル地方の楽団「サン・セシリア」とライバルチームであるワロン地方の「アンナバン」。同点1位という結果となり、ともに決勝コンクール進出にこぎつける。しかし、サン・セシリアのソリストであるウィリーが心臓発作により演奏直後に舞台上で突然死してしまう。サン・セシリアのメンバーは悲しみに暮れ、コンクールへの戦意が喪失気味になるが、大会の日は刻一刻と迫っていた。勝利に向け、サン・セシリアのメンバーたちは、ライバルであるアンナバンの天才トランペット奏者ユーグをチームにスカウトするという作戦を思い付く。(映画.comより転記)

ストーリー設定的にはよくあるものだと思うんですが、この話の面白いところは、ベルギーのお国柄にあります。オランダ語圏のフランドル地方とフランス語圏のワロン地方はそれはそれはかなりの隔たりがあって、経済格差や職業差別まで相当激しくて、一つの国か?と思うほど互いにいがみ合っていたりします。因みに首都のブリュッセルはニュートラルな地域で、比較的その差はわかりません。一般的にオランダ語圏は裕福、フランス語圏は産業が農業に限られていて、貧しいというレッテルを貼られているようです。

この映画の中でも、「裕福な」サン・セシリアと「田舎者の」アンナバンの「戦い」が繰り広げられます。このアンナバンの天才トランペット奏者ユーグは、お金のために音楽をやっているわけではない。自分の音楽スタイルを認めてほしい一心で、でもそのやり方が独善的すぎて、兄や仲間から受け入れられない。で、ライバルチームに移ろうと決心するんですが、それがかつての仲間からしたら、言語圏の異なるライバルチームへ行くのだから、相当な裏切り行為に思われるわけなんです。しかもユーグは、サンセシリアのやり手女性マネージャー、エルケといい仲になり…。(この辺がロミオとジュリエットっぽい)

全体的にはデキすぎな話なんだけど、こういうのがとても面白かったりします。普段は言葉にすることさえ躊躇われる互いの想いをこうやってコメディとして描くことこそ映画の力の見せ所なんじゃないかと。

あと、最終的にどちらのチームも欧州大会で、かつての支配国フランス、オランダに対してボヤいていたのが、個人的にウケました。そして、ベルギー国内だけでもこんなに複雑なのに、欧州全土となると束ねることなんて、どんなにかかっても成し得ないんだろうなと。それでもこの映画は楽しいです。言語政策だの何だのと難しいことを考えずに見てもらえる内容だと思います。吹奏楽をされていた方、イギリス映画「ブラス!」が好きな方(ワタシです)、音楽全般好きな方、皆楽しんでもらえるかと思います。公開時も上映館少なくてもったいないなと思いました。因みに原題はベルギー国歌タイトルだそうです。

#映画 #感想 #レビュー #cinema #シネマ #ベルギー #人生は狂詩曲 #note映画部

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?