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[理論] 演奏するのに音楽理論は要るのか

これも実によくきかれる言葉ですね。
西洋音楽には音楽理論というものがあります。
そこには、これまでを生きてきた人々の知恵が凝縮されています。

冒頭の問いですが、あなた自身が何者になりたいのかで答えは変わってきます。
ウクレレを片手に歌謡曲をたのしくおうちの中で家族で歌いたい人には全然要らないと思います。コードが読めればそれでいいかな。
これは、決してバカにしているんではなくって本当に要らないと思うのです。

では、自分の作品を作曲したい人はどうなんでしょうか。
これも必要ありません。あなたの歌なんですからあなたの好きに作ればいいんです。
でも音楽理論というのは楽譜を書くルールも含まれます。
自分で作った曲を自分で弾いて歌うのならいいのですけれども、他人と一緒に演奏する、他人に演奏を任せるというときには記譜法くらいは必要ですね。

それじゃあ、吹奏楽をやっている人はどうでしょう。
これは楽譜さえ読めればできますので、やはり記譜法(読譜)が必要ですがそれ以上は必要かと言われると知っていたほうが得になることは多いですが必ず必要というわけでもありませんね。

カテゴリ分けが大雑把ですが、ジャズを演奏してアドリブがしたい人はどうでしょうか。
もともとジャズは学校にも行っていない人が始めた音楽ですから、音楽理論なんて知らなくて大丈夫?
答えは、ジャズを演奏してアドリブをすることに音楽理論は不必要です。
だって、好きに吹けばいいんですよ。

ここまで見ると、じゃあ音楽理論って何のためにあるの?って思っちゃいますよね?

上に書いたとおり、議論の前に一度は好きなように作って、好きなように吹いてみてください。
どうですか?
満足なものが作れましたか?
作れた人は、音楽理論はもう要りません。
これからもどんどん素晴らしい作品を作っていってください。

でもおおかたの場合、思ったように曲は作れず、アドリブをしてみてもなんだかこれでいいのかよくわからない。
聴いてくれた人は感想を言うのにちょっと困ってるみたい・・・
ということになっていませんか?

「サイノーさえあれば、音楽理論なんて要らないんだよ!」
そのとおりです。
で、あなたにはそのサイノー、ありました?

そうなんです。
闇雲にやってみても、満足なものはそのうち出来上がるかもしれない。
でもそれはあなたが生きているうちに出来上がらないかもしれない。
いままで生きてきた何世代、なん10世代の人々がやってみてうまくいったこと、うまくいかなかったことがまとめ上げられているのが音楽理論なんです。
それをたった1年ほどがんばって身につけるだけで、数100年分のノウハウが身に着くんです。
それだけじゃありません。
あなたがとっても苦悩して苦悩してのた打ち回ってやっと「だれもやったことのない方法」を編み出したとしましょう。
それは本当に誰もやったことがないかもしれませんが、過去数100年のあいだにすでに誰かがやってみたものだったら、とっても時間の無駄に思えますよね。(とはいえその努力は無駄にはならないとは思います)

それに音楽理論と言ってもそのすべてを身につけなければならないわけではないのです。最低限度(これはやろうとしていることに左右される)のことだけ学んでおけばよいのですよ。

それでは、その最低限の音楽理論というのを列挙しておきたいと思います。
あなたがすでに楽譜が読める前提で書いていきます。
目標点を、「ジャズのアドリブができる」能力を目指す前提です。

●音名(日本で演奏活動をする場合、日本語、英語、イタリア語、ドイツ語で)
●音程(上は2オクターブ、下は1オクターブを脊髄反射で答えられる程度の習熟が必要)
●調性
●コードシンボル
●コードプログレッション
●調性判定
●コードテンション
●チャーチモード

このくらい網羅しておけばとりあえず何とかなると思います。
大切なのはアドリブをしているときに「ええっと・・・」とかやっていられませんのでこれらのことを「瞬時に」再計算できる能力があれば充分です。(すべてのパターンを「丸暗記」ではなく、「再計算」です)
あとのことは、あとでどうにかなるので、まずはこのくらいまでを集中してマスターしてしまいましょう。真剣にやれば1年もかかりません。

黒田はサックス以外のかたにも音楽理論のレッスンもしております。
興味のある方は、下記のフォームよりお問い合わせください。

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京都在住のサックス/フルートプレイヤーです。 思ったことを自分勝手に書いていきます。 基本、内容はえらそうです。