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GPTの隆盛に対して組織的に向き合わないとヤバみを感じた話

はじめに

オープンソース化して以降目まぐるしいスピードで進化しているChatGPT。またGPTのテクノロジーを元にした様々なサービスが、毎日、毎週のように生まれていっているのだが、これは以前の僕たちの常識では考えられないような事態が起こっているように思う。

今回はこのChatGPTを中心としたAIの隆盛が、自分たちのプロダクトやUXやUIなどのサービス・プロダクトデザインに対してどのように影響していくのか、多方面からの学びを自分なりに編集してまとめてみたいと思う。

GPT-4について

GPT-4がGPT3からどのように進化したかの概要は以下だ。

モデルサイズの拡大: GPT-4は、より多くのパラメータを持つことで、より複雑な知識や推論能力を獲得しています。その結果、自然言語処理タスクにおいて、さらに高い性能が実現されています。学習データの増加: GPT-4は、より多くのデータを利用して学習しており、その結果、より幅広い知識や文脈を理解できるようになっています。また、知識の更新が迅速に行われることで、最新の情報に対応できるようになっています。ファインチューニングの改善: GPT-4は、特定のタスクに対してより効果的にファインチューニングが行えるようになっており、より柔軟な応用が可能です。ゼロショット学習の向上: GPT-4は、事前学習された知識を活用して、新しいタスクに対しても即座に対応できる能力が向上しています。これにより、モデルが新しいタスクに迅速に適応し、効果的な結果を出すことができます。

GPT-4に聞いた進化の概要

以上がGPT-4の進化の概要だが、専門用語のオンパレードでとにかくよくわからない。

なのでシンプルにまとめると

  1. 大幅な性能アップと膨大な量の事前学習のデータの獲得

  2. 膨大な知識(データ)からアナロジー的に転用する力

  3. GPT自身で評価・検証する力

つまりすっごい頭良くなって知識量増えていい感じに繋げる力が上がって、そこから導き出すアウトプットをGPT自身が評価してクオリティを上げられるようになったのだ。

すごいのは分かったけど具体的になにがヤバいの?

所謂AIとしてのすごさ=性能については特段とりあげるつもりはない。処理性能がいくらあがろうともそれは特定の命令(タスク)の質と時間が改善されるだけだからだ。

それはそれで実態としてとんでもなくすごいのだが、デザイナーとしての僕が一番注目していてヤバさを感じているのは以下の3点だ。

  1. 進化スピード

  2. マルチモーダル

  3. オープンソース

1.進化スピード

GPTは数年前にあった技術だが、ここ最近のChatGPTを取り巻く自然言語による生成AIやそれらを活用したサービスの展開スピードははっきりいって異常で、世界中の人が毎日のように何かしらの形で使うことで進化スピードを加速させている。

  • 3/1、ChatGPTから世界中の人達が使えるようAPIが公開された。

  • 3/14、米国MBAの試験や司法試験、会計士試験などを突破するという触れ込みでGPT-4を発表。

  • 3/23、ChatGPTにプラグインが実装され外部アプリケーションを利用できるようになった。

またこの間様々な海外の巨大企業によるサービスも発表されている。

メジャーな巨大サービス

上記のサービスの発表はこの1週間程度の期間で起こった出来事だ。

これらのGPTの進化とそれを取り巻く様々なサービスの進化はもはや異常としか言いようがない。時系列で追っていくのがバカらしく思ってしまうほどだ。

これらのGPTの進化や関連するサービスの発表において、まだ1ヶ月かそこらしか経っていないというのは、これまでの常識の範疇を超えていて全体像の理解が追いつかなくなっている。もはや僕の頭では理解できずオーバーヒートして頭からうつ伏せに倒れ伏してしまうほどだ。

2.マルチモーダル

マルチモーダルとは簡単にいうと、数値、画像、テキスト、音声など複数種類のデータを組み合わせて、もしくは関連付けて処理できるAIモデルのことで、平たく言うと今GPTでテキストで入力している以外にも画像や動画でも入力できるということだ。

画像による質問とそのやりとり

この一例はiPhoneにVGA端子が挿さっている画像に対し、VGAケーブルとLightning端子の違いについて言及しつつ、時代遅れのケーブルを最新のスマートなiPhoneに挿している不条理がユーモアだと教えてくれている。

またマルチモーダルの威力についてはAI関連を恐ろしく早いスピードで紹介してくれている@shota7180さんのTweetが直感的にわかりやすい。

このマルチモーダルが示唆しているのは、既存のキーボードによるテキスト入力によるコンピュータオペレーティングそのものを変えるかもしれないということであり、CLIからGUIへ、GUIからまったく新しいインターフェースが生まれようとしているのだ。これを見た時僕はあまりの驚きに泡を吹いて卒倒してしまった。

インターフェースの変遷

3.オープンソース

オープンソースという概念の何がヤバいかというと、これまで解説した、特にヤバい性能、人類の理解速度を超える進化スピード、様々な入力形式に対応するマルチモーダル。

これらの超ヤバいテクノロジーが世界中の利用者や開発者、サービスと有機的に繋がるということだ。

  • 世界中の誰でも利用できる。

  • API公開によって誰もがGPT(OpenAI)の技術を利用して開発できる

  • 世界中の様々な外部サービスをGPT(OpenAI)が利用できる

これは従来の個別のサービス及びシステムに対して人間がそれらに合わせて態度とふるまいを変えて目的を達成する使い方から、人間の知的生産作業を何でもいい感じにしてくれるOpenAIという存在が、世界中の様々なサービスを介して自分のやりたいことを実現してくれるという、まったくよくわからないSFチックな世界線になるということだ。

で、つまり何がヤバみ?

以上の進化スピード、マルチモーダル、オープンソースによって何がヤバみなのか漠然としすぎて捉えるのが難しいのだが、これが進化すると確かにヤバいという感覚は具体的なケースを見ていくと感じやすい。

やりたいことを伝えるとRepilitというアプリがリアルタイムで実装し生成してくれるというもの。
これはシステムに対して人間がふるまいを変えるのではなく、人間に対してシステムがインタラクティブにその形を変えていくということだ。


こちらはマルチモーダルをベースにデバイスと体験がすべてが変わってしまうという世界線だ。
このMichaelさんのコンセプトモックでは、Airbnbのチェックイン機能を自然言語によるインターフェースとAR等の拡張現実によってその体験のあり方ががらりと変わる可能性を示唆している。

そのヤバみで何が変わる?

これらの示唆によってビジネスやUX、UIにおいてどのように変わっていくかがヤバさの本質かと思う。まとめると大きく変革する点は2点あり、一つはUI大革命、ひとつはサービスとアプリケーションの在り方の大変革だ。

UI大革命

自然言語処理によって、従来の線形にボタンやリンクをクリックするようなUIやUXではなく、何かしらの目的を文章として書いてみたり、絵や図として書き起こしてみたり、直接話しかけたりすると、検索的なデータが出てくるのではなく、整形された情報や結果がダイレクトにそのまま出てくるようなインターフェース大革命が起こるということだ。

サービスとアプリケーションの在り方の大変革

これまで個別のサービスやツールを利用していたし、GPTのAPIを使った自然言語による様々なサービスが登場している。これだけでも従来のサービスの在り方が変わるのだが、ここからさらに先日発表されたGPTのプラグインプラットフォームによって、その様相が一気に変わるように思う。

外部サービスのAPIを取り込めみプラグインとして利用できるということは、大規模な自然言語モデルであるGPTと、各サービスが融合するということだ。
これはただ単にGPT上で各サービスの機能が使えるという話ではなく、ユーザーの漠然とした目的や要望を各サービスの機能の力を借りながら満たし、実現し、文脈に沿ったさらなる有益な情報や結果を返してくれるといったとんでもないパフォーマンスをもつということだ。

お腹が減ったとGPTくんに何かしらの形式で伝えると、GoogleMapから最寄りの飲食店をレコメンドして道順案内、Cookpadからおすすめレシピの提案、Uberで早く着く飲食店や評価の高い飲食店をレコメンドしたりを同時に行ってくれたりするのだ。

GPTを中心としたサービス例

これは従来のサービスやアプリケーションとその基本的な考え方や体験が大きく変わるといえる。

この辺りは複雑で難解だがしょーてぃーさんの記事に詳しく解説されているのでぜひ読んでみてほしい。

そのヤバみにどう向き合うべきか?

ここまで色んなヤバさを解説し、今後変わるであろう変革について色んな方の意見や僕なりの考えも含めて紹介した。

その上でタイトルにもあるように、

AIの隆盛に対して組織的に向き合わないとヤバみを感じた

自然言語によるインターフェースの概念の変革、GPTないしOpenAIによるサービスを覆い尽くすような大変革は、とてもじゃないが個人のスキルや意識改革の話ではない。事業やプロダクトそのものが変わっていくし、事業やプロダクトの開発の仕方も同様に変わってくる。上記の変革は何も生活者の話に限ったものではないからだ。

向き合うべきはどのように事業やプロダクトを再構築するか、AIの未来に向けたビジョンを問い直すところから求められているように思う。

また事業やプロダクトが新しい概念や考え方に置き換わることで、その開発に携わるデザイナーやエンジニア、マーケターの在り方も変わっていくだろう。つまり市場と顧客、プロダクトの戦略レイヤーと実行レイヤー全てにおける大変革だ。またその変革スピードも恐ろしく早い

したがってこの大変革においては、個人レベルでアンラーニングやインプットするだけで良しとしているのは圧倒的にナンセンスであり非常に危険だと考えている。これは一過性のブームでは決してなく、産業革命以来の出来事だと思っている。

なので組織として今やるべきことは、経営やプロダクトマネージャー等のエグゼクティブなレイヤーにおいてこの変革を正しく認知し、変わるものと変わらないもの、未来を構想し事業やプロダクトとその実行環境を整えるべく早急に動くことだ。特にSaaSやスタートアップ/新規事業はかなり深刻な影響を受けると予想でき、レガシーな企業だけではなくデジタルの最前線にいる企業すらも本質的DXが求められていると考えている。


また僕らUIやUXデザイナー、PM等の実行レイヤーにおいては、日々のAIについて常にインプットし、AIによって生活者のサービスに触れる体験がどのように変わるのか?また開発者側としてどのような開発体験に変わっていくのか?この生活者レイヤーと開発者レイヤーにおける未来を思い描き、思考していくことだと考えている。そこからどんな知識や経験が必要でどのようなスキルが重要になってくるかも見えてくるように思う。

深津さんの記事とともに、僕の考える人間的なソフトウェアスキルに言及している。

NewsPicksの落合陽一さんとOpenAIのシェイン・グウさんの対談動画。

まとめ

AIの進化によって産業革命以来の大きな変革が来ているように思う。
必然的に僕らデザインを生業としている人たちも同様に急速な変化に晒されだろうなと。

ただAIが進化し人とコンピュータの在り方がどう変わったとしても、しばらくは人間に向き合うHCD的な人間中心に体験を考えていく「広義なDESIGN」の価値は変わらないと思っている。

AIはデザインの仕事を奪うわけではない。
AIとAIを活用する人によってデザイナーの在り方を変えるだけだ。

これからAIはもはや当たり前のように生活や仕事に溶け込んでくる。それを意識しないレベルで。
そんな未来における「デザインする」とはどんな価値があり、どのようなふるまいなのか?その本質について問い直し自身のアイデンティティを拡張していきたい。

できれば一人ではなく、ポストAI時代に向き合い、思考し、対話できる人とこれからも関わっていきたいなと思う。

さいごに

AIに関する話題はとても早くてインプットが大変ですが都度ちょっと立ち止まりながらAIに関する僕なりの学びと解釈を整理して今後もnoteやTwitterにアウトプットしていこうと思ってます🫠

プロダクトマネジメントやUX、UIデザイン、AIや教育などなど呟いてます。
少しでも興味を持ってもらえたらフォローしてもらえると喜びます😂


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