塩沢紀行

毎日投稿とは何だったのか・・

新潟に旅行に行ってきたのでご報告します。南越後はガーラ湯沢へスキーに出かけたはずだったのですが、筋力E-のかいあって雪山から離脱。1時間に1本しか来ない上越線を足湯に浸かって待ちぼうけながら近場の観光地を探した結果、北に何駅かいったところにある塩沢という街がなかなかよさそうだったので向かうことにしました。やっとこさ到着した上越線は、車両こそ地元でも利用するような最新のものでしたが、編成は短くドアも手動開閉。車窓には平坦な野っ原の向こうに巻機山をはじめとする雄大な山々が連なっています。静かな午前の陽光にうつらうつらしながらも塩沢駅で下車。

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塩沢はかつて三国街道(群馬高崎と長岡寺泊を結ぶ重要な街道)の宿場町でした。「牧之通り」と名付けられた通りには、下のように昔ながらの建物の様子が再現されています。これらの建物は決して全てが史跡というわけではなく、ごく普通の商店がほとんどです。おそらく景観協定によって統一された時代観を演出しているのでしょう。私が歩いた日は快晴で、コロナの影響か人も少なく、とても落ち着く空間となっていました。

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今回のお目当ては牧之通りから一歩入ったところにある、鈴木牧之記念館でした。鈴木牧之は江戸後期の商人・文化人で、世界でも類を見ないという雪国の民俗誌『北越雪譜』の著者です。記念館ではこの北越雪譜や牧之の生業である繊維産業を題材に、雪中で用いる道具や雪国の厳しい暮らし、伝承、牧之の生涯に関する展示がされています。民俗好きな私にとってはまさに宝の山です。館内はとてもきれいで展示も興味をそそられる品々が豊富であり、撮影禁止が悔やまれる素晴らしい博物館でした。展示の様子は鈴木牧之記念館HP(http://www.6bun.jp/bokushi/)で見ることができます。

展示を2時間たっぷり堪能した後は、牧之通り沿いのお店でへぎそばをいただきました。へぎそばはつなぎに布海苔を使っていて、のどごし抜群でとても美味しかったです。またお米ですが、さすが新潟だけあって激安スキー宿から観光地の料理店まで、どこで食べるご飯もとてもおいしかったです。あと舞茸の天ぷら超美味い。伊香保のうどん屋で食べたのもそうでしたが、何故舞茸は天ぷらにするとこれほど美味いのか、世界の七不思議の一つに数えられています。

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食事のあとは街の周辺をぶらぶらと散策していました。実はこの日が旅程の最終日で、電車の本数も少なくあまり歩ける時間がない状況でした。それでも、牧之ゆかりの寺、街道のおにぎり屋さん、酒蔵の湧水など、街の隅っこに隠れた名所を見つけられた楽しい散歩になりました。

最後に電車待ちで立ち寄った塩沢つむぎ記念館では、ご丁寧にもお茶と薄荷糖でおもてなしをしていただきました。この薄荷糖、食感はラムネのようで噛むとハッカの爽やかさが口いっぱいに広がる美味しいお茶請けでした。迷わず購入。ベタですが最後に人の温かさにも触れることができてとてもうれしかったです。旅人の特権かもしれませんが。

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以上、塩沢で過ごした半日間でした。見知らぬ街を、もう訪れぬこともないかもしれぬ街を、無計画に気ままにふらふらと彷徨い歩くことが一体どれほど贅沢か。それを深く実感する充実した昼下がりでありました。

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