パンツの形のおにぎらず
実家に帰ってアイスばっかり食べてるわたし。
母の手料理は絶品、そして完全無農薬。畑で朝から採ってきたお野菜たちを湯がいたり揚げたり炒めたりする。
絶品手料理の合間のアイスクリームは一日6個まで。
アイスを食べて口の中はお砂糖の大パレード。ディズニーランドを凌ぐ勢いの甘さたちの共演。そこにくるシンデレラのような、パレードを遮る圧巻の存在感の野菜たち。ガラスの靴はなくても幸せになれる塩気。
お気に入りは揚げ浸しと炊き立てごはん。
母はご飯を食べない。ビールが好きだから。わたしはご飯を食べる。わかいころはまったく食べなかったけど最近じゃ食べる。なぜかというと食べない母がご飯を炊くから。
仏さんに供えるんやで。
信心深い母は、いや、先祖さまありきのワタシです、な母は「私の旦那さまを生んでくれてありがとう」となかなかに遠巻きなお礼をいう。田舎の家のお仏壇のお茶碗はたくさんあって、一般人の1.5杯分くらいのご飯を要する。
それをお供えしたあとを食べるのは父の仕事だったー。
そんな父はもういない。
ご飯大好き、白米ラブ!な父はご飯が炊いてあれば3合でも5合でも平らげる。炊飯器の性能がよくなったとしても
「お母さんの炊いたご飯は美味しいなぁ!」という決まり文句で。
そんな父はもういない。
いや、でも仏壇のなかにいる。父の食べたであろうご飯は私が食べるんだ!そして意外にも…不覚にも
お母さんの炊いたご飯は美味しいなぁ。
となる。ほんとにおいしかったんだわ。
お米は決まってミルキークィーン。ミルキーな女王さま。
おにぎりを作らせたら本当に美味しい、のだけれど世の母像をくつがえすかのような形。絶対に三角にはならない。
「お母さん、おにぎらずって言葉が出来て嬉しいわ」
という。世の中が私に追いついて来たバージョン②
ラップでくしゅくしゅっとしたおにぎらずは、どーやったら出来るの?ってくらいに四角い。
そして握らない。丸めるだけ。だからいいのか。
ふわっふわのご飯は、ご飯嫌いな私も大好物。ひとつはおかか。もうひとつは梅の実ひじき@博多名物、そしてもうひとつは自家製の酸っぱい梅干し。ご飯が余ったら梅おかか。いくつあっても食べられる自信がある。四角いおにぎらずはそんな魅力的な食べものなのだー!
東京にもどる寂しい新幹線のなかでひとつ。
握っていないものだから、食べるまえに少しだけ固める。でないと崩れ落ちる有り様。ひとつ食べるともう少し食べたくなる母の味。おにぎりの塩は秋子に選ばれし伊勢の塩。海の水を汲んできて釜で炊いて天日干し、というお爺さんから買うキロ2000円の代物。そーいうのが大好き笑。
もうひとつ食べると新幹線降りて三重県に帰りたくなる。
帰ってあと6個くらい作ってもらって出直したい。味の濃い梅の実ひじきに始まり、三河安城くらいで梅までいく。
考えただけで生唾どころか唾だらけになる酸っぱい梅干しがまたよく合う。母の味とはなんとも不思議なもんだな、握ってないのにおにぎり。酸っぱいのにちょうどいい。
少し固めようと握ってみたらやっぱり三角にはならない。
パンツの形みたいな尖がらない三角はやさしさの味。
かーちゃんのおにぎらずが食べたいよぉ。
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