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【真】黒服物語〜金と女と欲望の世界〜08



光が照らされたその先には必ず影がある。

この物語は光の先にある影の物語。

煌びやかに飾られ一夜の輝きに固執し続ける蝶はやがて飛ぶことに意味を感じなくなり羽を休めていく。

飛ぶことができなくなった蝶に誰も見向きはしなくなるだろう。

自分自身と向き合いその先に見えるものが影なのであればその蝶はまた輝きを取り戻せるはず。

きっと前よりも大きく光り輝けるはず。





キャバクラにおけるウェイターというポジションは1番動くポジションであり黒服で成り上がろうとした時でも成り上がろうとしない時でも誰しもが必ず通る道である。

このメインウェイターが黒服のポジションの中で2番目に面白くて楽しいポジションである。




いらっしゃいませ!!

お客様ご指名はございますか?

〜さんご指名ですねお席すぐにご案内致します。

(〜さんご指名1名様8番通して8番!)

お客様どうぞ!お席までご案内致します!



僕「失礼致します!!お客様お飲み物どうなさいますか??」


客「なんだ、あんちゃん新入りか?この女可愛いだろ!なぁ、もう手付けた女の子いるんだ??ブゥワハッハ」

こんなクソみたいな会話は今となってはお手の物だが入ったばかりの僕には酷なものであった。

僕「え、あのー、いやそんなことしたことないですよ今日が初日なんです!笑」

(こ、こういう時ってなんで言えばいんだよ、、、。)


客「なんやこいつおもろくないのぉ、ひなちゃんこの店大丈夫け?こーんななんも知らん子置いといて」


ひな「ちょっと〜、〜さんまた新人いびりするの辞めてよ〜!今日が初日なの僕ちゃん?気にしなくていいから早くお酒持ってきて〜!クリスタルでいい〜さん?」


客「ひなちゃんに言われたらなーんでもおろしたんで!!笑。おう、新人!クリスタル2本持ってきーや!!」


僕「あ、ありがとうございます!!すぐに持ってきます!!」

(く、クリスマス?なにそれ?シャンパン?ワイン?なんなの????えーっとこういう時は席にある青伝をとって、、、クリスマスって書いて、、、よしこれを柿原さんとこまで持ってこう!!)


僕「柿原さん!8番のお客様からクリスマス2本頼まれました!!これどうすればいいですか??」


柿原「、、ププ。、、、、勘太郎それクリスマスじゃなくてク・リ・ス・タ・ルね!クリスタル笑笑笑笑笑笑」


僕「え、すんませんクリスタルですね!!僕これ開けたことないんですけど、、、、。」


柿原「俺が今回開けるからそれ後ろから見てなよ!高級シャンパンだからいきなりは厳しいと思うからさ♫ポンパドールオーダー入ったら開けさせてあげるね!笑それまでは練習だね♫」


よくSNSで見かける音を立てながら開けるシャンパンの開け方は本来正しい開け方ではない。大人の社交場での正しい開け方は音を立てない事に美学がある。

適正温度に冷やしたシャンパンを氷の入ったシャンパンクーラーに入れトーションを手にかけお客様の席へと運ぶ。

スラリと伸びた背筋に身の丈にあったスーツの後ろ姿、片手に光り輝く高級シャンパンを手にメインホールを歩く姿に格好良さを覚えた。

慣れた手つきで音を立てず静かに素早くシャンパンを開ける。

シャンパンの魅力を充分に引き立てた後は静かにグラスに注ぎその場を綺麗に立ち去る。

僕の目には高級シャンパンの存在など微塵も感じず只ひたすらに高級シャンパンの引き立て役である黒服の姿に夢中になっていた。

カッコいい、僕もカッコよくなりたい、凄い。

語彙力の低い単語が頭を駆け巡る時ほど人は素直な自分と向き合えているのではないかと思う。



今の僕は主に女の子のドリンクを運んだり席でのアイス、灰皿を交換したり、お客様対応をしたりするのだが最初が特に大変なポジションでもある、、、。

そんな勘太郎が追い込まれる事件が起きるのはそう遅くないのであった。




〜シャンパンとは〜
*フランスのシャンパーニュ地方でつくられていることが原則である。
ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネという3種類のぶどうの品種で作られるものだけがシャンパンとして認められている。
製法は、シャンパーニュ方式と呼ばれる瓶内で発酵させる自然な醸造法でつくられることが決められていて、使用されるぶどうの面積当たりの収穫高の制限や醸造期間など、細かな規定があります。
こうした全ての条件を満たしたスパークリングワインが品質検査に合格して、「シャンパーニュ」と名乗ることができます

【ルイ・ロデレール クリスタル】

「本物だけを追求した、非常に純度の高い洗練された味わい。パワフルな中にも、繊細で綿密に造りこまれたディテールを備えている。」
醸造責任者、ジャン・バティスト・レカイヨン

ロシア皇帝のワイン

メゾンで最も有名なこのワインは1876年に、ロシア皇帝アレクサンドル2世の味覚を満たすために生まれました。ロデレールの愛好家であった皇帝は毎年、自分専用のメゾン最高キュヴェを造るように依頼してきたのです。このキュヴェの高貴さを強調するため、出来上がった素晴らしいシャンパーニュを平底のクリスタル・ガラスのボトルに詰めました。そして生まれた新しいワインは、その透明で輝いたボトル素材からクリスタルと名づけられました。

完璧な調和

優良年にのみ造られるプレステージ・キュヴェ。シャルドネ40%、ピノ・ノワール60%のブレンド。ルイ・ロデレールのセラーにて6年熟成させ、デゴルマンジュで澱を取り除いた後更に8ヶ月安置しておく。


純粋さと上品さのシンフォニー

見事な調和と洗練さを誇るクリスタルは、見事な持続性を持ち、柔かく丸みのある口当たりにフルーティなアロマ。力強いミネラルを感じ、白い花と柑橘類のアクセントも加わります。クリスタルは、その新鮮さと特徴を一切損なうことなく20年以上保存可能なワインです。


クリスタルに特徴的な華やかな気品とワインらしい奥行きの質感が、マチエールに広がりをもたせる石灰質の爽快感に溶け合い、すらりとした限りないフィネスをもたらします。

— ジャン=バチスト・レカイヨン、キャブのシェフ

https://www.louis-roederer.com/ja/wine/cristal
参照

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