見出し画像

Jクラブで働きながらコロナ禍で会社を立ち上げた話

Jリーグ2020シーズンも残りわずか。いま振り返ると開幕前に新型コロナウィルスが社会問題となりスポーツビジネスに限らずリアルな場を舞台にしたビジネスのそれまでの当たり前を消し去りました。地方クラブは「ファン・新収益軸づくりと経営維持の時間勝負」だと常に意識してきた中でこのような外的要因によるダメージを受けるとは全く誰も予想していませんでした。

巻き戻しボタンを押される感覚

正直焦りました。このコロナ禍の影響で全てとは言いませんがこの数年間積み重ねてきた施策やファンづくりを時間軸に対して巻き戻しボタンを押された感覚に近いです。コロナ禍の期間でトップチーム選手をはじめ、スタジアム、クラブとファンとの物理的な遮断は確実に心理的な距離を広げのは間違いありません。

ただこれからが本当の勝負です。これはうちのクラブに限ったことではなく、Jリーグ、スポーツビジネス、地方経済全体がここから勝負していかなければいけません。一時的な国の補助や支援などで止血するしかない状況もありますが、その延命された時間で何ができるかが鍵なのです。

スポーツがこれまで同様な稼ぎ方を取り戻すのか、コンテンツを軸にしたビジネスになるのか、それとも地域を軸にしたビジネスになるのか、投資対象となる価値を生み出せるか、その選択肢は各クラブの経営判断にかかってくると思います。コロナ禍をまずは乗り越えなければなりませんが、3年後のスポーツビジネスの在り方は確実に多様化していることでしょう。

地方クラブの現実、事業投資を簡単にはできない

ガイナーレ鳥取は2017年から芝生生産事業「しばふるプロジェクト」を立ち上げ、非スポーツ領域での事業を進めてきました。年々このプロジェクトの知名度、販売量も増えてきましたが、このプロジェクトに携わっているスタッフは今でもたったひとりです。そのリソースできる事業規模の天井は見えてます。ただ同時に提案・販売を進める中でマーケット理解が深まり・事業の拡張性も見えてきました。しかし地方クラブには限られた経営資源しかなく、クラブの商品は選手でありチームです。新規事業に投資する財源はないに等しいのです。その状況を知り入社2年目あたりからこのクラブで自分がすべきことを考えはじめました。この地域に愛されるクラブになること、それは地域を舞台にした事業をつくることがどうしたらできるか。結局、当事者が動くべきだと考え、起業を決断しました。この想いをうちの社長に伝えた時の言葉、その後の暖かいサポートは忘れることはないと思います。

株式会社GTベンチャーズの設立

会社名は自分で決めました。「GT」はリーグ戦で使われる公式球に書いてあるクラブ名を識別する記号から取りました。それ以外にもドラゴン〇ールの文脈など複数の意味を込めています。事業のミッションは「事業を通じて地域の魅力を証明する」です。鳥取に移住し、ガイナーレ鳥取で働くなかで地域の方たちと交流したり、色々なものを見聞きする中で地方に眠る資産(食べ物や観光、事業など)をたくさん感じてきました。そして同時に首都圏との「価値のずれ」こそが事業になり得ると考え、事業ドメインは広く設定しています。(簡単なホームページですが自分で作りました)

新会社の第一弾サービスとして、ガイナーレ鳥取の「しばふるプロジェクト」で生産した芝生のネット販売を目的に芝生の総合情報サイトを作ることにしました。その背景を少し書いてみたいと思います。これまで芝生を色々な方に提案・施工してきた中で共通することが2つありました。それは「芝生に対するポジティブなイメージ」「芝生の管理に対するネガティブなイメージ」です。ここで面白いのは、そのネガティブを解消するとほとんどの方が芝生を買ってくれるということです。これまで口頭でひとつひとつ丁寧に説明することでクリアしてきたのですが、より広くそれらを解決することでこの事業拡大につながると考え作ることにしました。前職までのノウハウもそのまま活かせますし、何はともあれ芝生をはじめたい!芝生が好きな全ての人に役立つメディアにするつもりですので是非使ってみてくださいね!

さいごに

コロナ禍で立ち上げたこの事業会社で地域を主語に新規事業を立ち上げ、最終的にはクラブのサポートができるくらい大きくできればと考えています。もちろんクラブスタッフとして兼務ですから、本業のクラブでの経営改善・事業拡張にも引き続きフルコミットしていきます。でも事務所のあるスタジアムを出たらいち経営者として新規事業に取り組む生活がこれから続きます。

わたしのツイッターはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?