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【昭和歌謡名曲集37】別れても好きな人 ロス・インディオス&シルビア

男子校だった。
三流校だった。
文化祭やっても、女子高生は一人もこないよな高校だった。展示もやる気なく、出店もやらず、なんかまるでどうしようもない高校だった。

仕方ないんで、全員が体育館に押し込められて、生徒有志の誠につまらん出し物を見学させられた。帰りたかった。来るんじゃなかった。しかし、登校したなら、もう逃げられない。体育館の扉は固く閉ざされていた。

最後に教師の出し物があって、ステージに十人くらい出てきて、歌った。
「別れても好きな人」
勿論全部中年男である。シルビアも腹出た男である。
「ぅわっかれてもぉー」
というとこは、50を超えた眼鏡の小汚い学年主任が歌った。
逃げられない。全部聞かなくてはならない。逃げる術はない。
「ぅわっかれてもぉー」
と、学年主任。
「ぅすっきなひとぉー」
と中年男教師団のコーラス。
「ぅわっかれてもぉー」
「ぅすっきなひとぉー」
「ぅわっかれてもぉー」
「ぅすっきなひとぉー」
「ぅわっかれてもぉー」
「ぅすっきなひとぉー」
あの時、この世に地獄はあるのだと知った。

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