見出し画像

【昭和歌謡名曲集2】よろしく哀愁 郷ひろみ

1974年リリース。ジャニーズ所属歌手が初めてオリコン1位に輝いた名歌である。
作詞は天才、安井かずみ。
作曲は天才、筒美京平。
歌手は勿論天才、郷ひろみ。
初めて聞く方は、どうかどうか1974年版で聴かれたい。「もー、泣くのも平気、よろしく哀愁」の「もー」がいい。日本一の「もー」である。日本歌謡史にあまたいる歌手のなかであの「もー」が出せるのは郷ひろみ以外いない。
言いたいことは分かる。「リンゴ殺人事件」とか「アッチッチ」とか、歳いっても、やたらジャケット脱いだり着たり、そんなん痛いとか、もうやめなはれ見てられんとか、まだ若向きの歌うとうてんのか、歳なんぼやとか、それは分かる。いろいろ分かる。いろいろ言いたいのは分かる。
だ・が・な、1974年バージョンの「よろしく哀愁」聞いておくれ。この歌は奇跡なんですよ!
当時の近田春夫が、一発でのされちまったくらい、凄まじい楽曲なんでやんすよ!
作詞家の安井かずみの天才性は皆さんご存知ですか。「私の城下町」のあの歌詞、お寺の鐘が聞こえたら、四季の花が咲き乱れるんすよ。季節、いつだって話ですよね。でも、そんなん安井さんの前では咲き乱れますって! 天才なんすから。
「哀愁」の歌詞もスゴイですよぉ。
「いちいち君が泣くと、人が見ているじゃない」て、恋愛に人の目気にする、この目線、立ち位置、けど、本音んとこでは、そのちょっと引いちまってる男の感覚、あるよねー! オイ、オイ、オイオイオイ。て、ツッコミ入れたくなるけど、同時にわかるなあーって感覚。あるよねー。だから、続く「二人のアパートがあればいいのに」てな願望。お前が用意せえよ。そうなんです。なに他人事かよ! その通り! そうなんですけど、そやけど、本音んとこでは、いや、そうなんだよなぁ、とか思ってまうこの感覚。このリアル。痺れます。

そ・れ・が、ディス・イズ「よろしく哀愁」

加えて曲がいい。筒美京平は洋楽のパクリとかよく言われてましたが、音楽先進国の先進的技術を後進国に伝えるのに、パクリもへったくれもあるかあー! 筒美京平は確実に昭和の日本の音楽シーンを革新したんや! 世界レベルに持ってたんやぞ!
そして、天才二人の前に降臨した神、奇跡の唄声、ひろみ郷! 
そりゃ、最初は軽蔑しましたよ、正直。なにが僕たち男の子へいへいだ! 馬鹿にしてんのか。女子供たぶらかしやがって、お前は日本男児かぁ、とか。とかね。
でも、この曲で一新しました、印象が。馬鹿は私でした。目鱗でした。それぼどに、この曲の歌唱はすばらしい。「もー」は天才です。
それからは、どんなバカな曲歌っても許せました。それは今でもです。何しろひろみ郷は「よろしく哀愁」歌った歌手なんですから。

百恵が菩薩なら、郷も菩薩。「よろしく哀愁」は、国宝的名曲です。
南無観音菩薩。南無南無。
ありがたや、あー、ありがたや、ありがたや。なむなむ。

この記事が参加している募集

#思い出の曲

11,206件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?