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夏休みも新たな授業に、ふりかえりに、出店準備に|2022博多工業高校/日田三隈高校/壱岐商業高校×とびゼミコラボ授業合併号

早いもので8月も後半。お盆も終わりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

私は怒涛の出張期間を迎えています。8月後半から9月頭にかけてだけでも、新潟、壱岐へ2回、京都、佐伯(大分県)、そして頴娃と霧島(鹿児島県)と各地に出向きます。

そんな中でも、これまで進めてきた高大連携授業は佳境を迎える高校も出てきました。1つは8月6日-7日に出店を終えた日田三隈高校、もう1つは8月26日-27日に出店を行う壱岐商業高校です。

また、7月に入ってから、私自身のとある仕事でつながりを得た福岡市立博多工業高校デザイン科の3年生向けに授業を行うことが決定し、8月22日に同校でテスト的な授業を実施することになりました。

夏休み中にも関わらず、学生は高校生とオンラインでミーティング。わざわざ時間を取って参加してくれている高校生に感謝です。また、学生も忙しい中、本当によく頑張ってくれています。

今回は博多工業高校との取り組み紹介,日田三隈高校と壱岐商業高校とのオンラインミーティングの様子を合併号としてご紹介しましょう。

なお、両校のこれまでの授業内容は下記のマガジンをご覧ください。

高校生のバイタリティに驚嘆|2022博多工業高校×とびゼミコラボ授業①

7月末,大学がまだ定期試験を実施している頃,とある仕事で博多工業高校デザイン科の3年生の取り組みを知った。そこで声をかけ,自分の身分を明かし,高校との取り組みを行っていることを紹介したところ,2つ返事でOKを頂いた。

博多工業高校は福岡市の南にあり,油山という福岡市民に馴染みのある森林に包まれた山の麓にある。同校には6つの学科があり,自動車工学科はソーラーカーレースにたびたび出場するなど,面白い取り組みを行っている。

博多工業高校を初めて訪問

「油山」には油山市民の森という福岡市の施設があり,福岡市民の憩いの場になっている。ここにはキャンプ場が併設されている。また,休日にはハイキングを楽しむ人もいれば,那珂川市との市境にはもーもーらんどという牧場もある。

福岡市と言えば海に面した街というイメージが強いが,実は行政が中心になって森林資源の有効活用を図ろうという取り組みを進めている。「Fukuoka Green NEXT」という取り組みだ。

そこには次のようなことが書かれている。

福岡市の人工林の8割以上が、伐きって木材として利用すべき時期を迎えています。森林は、植林から伐採まで40年から50年という長い時間を要するため、そのあり方を検討するためには、長期的視点が欠かせません。Fukuoka Green NEXTは、100年後を見据えた福岡市の森の将来像を描き、その実現のための方向性を整理したものです。

Fukuoka Green NEXTホームページより

そうした取り組みを知った同校デザイン科の3年生が、課題研究の授業の一環として油山から切り出された端材,特に木の中央部の芯に近い,木工製品には使いづらい部分を使った製品づくりをしようとしている。そして,その製品を市の施設で活用してもらうことで,(今の高校の文脈でよく使われる)SDGsの学びの実践であったり,油山を身近に感じてもらおうとしている。

こうした話は聞いているものの、実際にどこまで製品化可能なのか、どう見込みを立てれば良いのか、実際に高校を訪問して,どのようなものが作られているのか,どのような環境で学んでいるのかをお伺いすることにした。

当日高校を訪問すると,そこで出迎えてくださったのは担当の先生と校長先生。こちらは気軽に訪問したにも関わらず,わざわざ校長先生にご挨拶するなんて恐縮…。が,高校側からも高大連携もそうだし,せっかく技術を持ち,デザインを学んだ生徒が学びと仕事を結び付けられていないことであったり,ビジネス(事業)とのつながりを学ぶことで自分が持つ技術を社会でどのようにして発揮できるかを学ぶ機会を創りたいのだというご相談を受けた。

インテリア科の卒業制作

こちらとしても,これまでは主として商業科を持つ高校を対象に授業を行ってきたが,実践を行うにしてもサービス業にしか展開できていないもどかしさを感じていた。確かに高校生にとってカフェやアパレルは身近にある企業・商店だし,彼・彼女たちも利用するし,想像できる事業の形ではある。だから,興味を惹きやすいし,こちらとしても学ぶ機会を作りやすいというメリットがある。が,モノづくりこそが付加価値の創造そのもの。見方を変えれば学園祭やフェスで自ら商品企画をし,調理した商品を販売することもモノづくりと言えばモノづくりだが,よりデザイン=仕組みづくりの要素が求められ,マーケットインの学びを作れそうなのがモノづくり。こうした機会が来ることを待ち受けていた。ようやく…。

この日は高校でご挨拶程度にお話をして,また改めて彼・彼女たちが企画している製品を見,授業を行う日程を調整して終えた。

別日,福岡タワーで開催されていた「Fukuoka Green NEXT」のイベントに彼・彼女たちの製品が展示されるというので学生を連れて伺った。

油山で切り出された廃材を使った製品

ここで展示されていたのは,コースターとカッティングボード。高校に設置されている機械を用いて自分たちで加工したそうだ。カッティングボードの左下に刻印されているマークは,このプロジェクトのロゴで「メメント・森」と銘打たれている。「メメント・モリ」とは,「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘るな」「死を忘ることなかれ」というラテン語だが,ここから着想して「森を忘れることなかれ」というメッセージを込めているとのこと。また,コースターにはロゴだけでなく,高校生がデザインした絵があしらわれている。これも油山に因んだものだそうだ。

このように荒削りでプロから見ればまだまだというレベルかも知れないが,高校3年間で学んできたことを課題研究という授業の中で形にしようと努力をしている。しかし,先生方が課題を感じておられるように,これを収益性,持続性をもって取り組む基盤がまだ十分でない。そこに対して我々がどこまでお手伝いできるかどうかはわからない部分もあるが,その可能性は十分に感じることができる出会いだった。

こうして8月22日に行う予定の授業の骨格ができあがった。とびゼミ初めての工業高校での授業に向けて,担当してくれる学生と調整を進めている。果たしてどのような授業になるのか。またここで報告することにしたい。

出店のふりかえり|2022日田三隈高校×とびゼミコラボ授業④

次は,先日販売体験を終えた日田三隈高校の2年生とのふりかえりミーティングの様子。8月17日の午後に実施。販売当日は7人が参加してくれたが,今回のふりかえりには3人が参加してくれた。

ふりかえりは,高校生3人のふりかえりコメントからスタート。その後,大学生から改めてこれまでの授業=座学での学びと8月6日-7日に行った実践からの学びを統合するような形で,これまで伝えてきた事柄と実践がどう結びついているのか,どう結びつけて理解することを期待しているのかを授業した。

改めて今回の出店を通じて学んで欲しかったことを復習

販売当日の状況はこちらの記事を参考に。

ここにも記したように,今回は2チーム参加して,1チームはコーヒーとそれにアイスクリームを乗せてコーヒーフロートにして販売をしてなんとか黒字着地,もう1チームはかき氷を200円で販売したが,営業力が弱く売上を伸ばせず,2日目に巻き返しを図ってソーダフロートを販売したが赤字で終わってしまった。

ここで会計や簿記を学ぶ機会ではない=「ビジネスを実践してみよう!」だけであれば残念だったねで終わるのだろうが,一応会計のゼミである以上,なぜ赤字になったのかをしっかり分析しようということに。下記の画像のようにスプレッドシートに損益分岐点図表を示して,収益費用構造を検討した。

損益分岐点分析を使ったふりかえり

1チームが赤字になってしまった原因は,かき氷を販売するのにかき氷機のレンタル代が予想以上にかかってしまい,固定費の回収が進まなかったことにある。しかも,かき氷の売価を安くし過ぎてしまったため,限界利益が小さく,販売個数も伸びなかった。

一方,コーヒーとフロートを販売したチームは売価をできるだけ高くするために付加価値をつける作戦を取った。こちらも販売個数そのものは思っていた以上には伸びなかったが,BESIDEコーヒーの常連として来てくださるみなさんがお買い求め頂いたこともあって黒字となったようだ。

こうしたデータに基づいた分析を改めて行うことで,高校生たちは何が問題だったのか,自分たちがわかっていたこと,わかっていなかったことは何なのかを明確に理解したようだった。商品開発力,値決め,お客様へのセールス(声掛け)など,あらゆることのレベルをもっと高める必要があったのだろうし,店さえ出せば売れるわけではないという経験は貴重だったようだ。

このふりかえりの時間は,授業を進めるわたしたちにとっても大きな学びの時間になった。

出店準備に向けて|2022壱岐商業高校×とびゼミコラボ授業⑬

そして,今日(8/19)は壱岐商業高校とのコラボ授業。

壱岐商業高校との打ち合わせは登校日に合わせて行っている。補習授業が終わった後の1時間,お腹が空いているだろうけれども毎回12時から実施している。今日はお盆明けであり,「壱岐エテマルシェ」が来週土日に迫っていることもあるので,告知戦略と商品開発・仕入や目標利益の設定について議論をした。

まず冒頭ではSNSや地元企業のご協力による告知戦略の展開について。先に実施した日田において事前告知に大きな課題を抱えたことを強く認識しているからか,大学生側もどう告知をしていくか,高校生にどう伝えてもらうかに腐心していた。

続いて,2チームに分かれての販売計画について。私はブレイクアウトルームの都合上,壱岐島内でパン店を展開しているパンプラスさんとのコラボ出店を行うBESIDE COFFEE STANDの打ち合わせに同席した。

こちらはパンプラスさんの共同で限定商品を企画しており,仕入等々を鑑みたとき,今日までに仕入個数を決める必要がある。商品開発にはパンプラスのオーナー大久保さんのご協力はもちろん,高校生も夏休みの最中にお店に出向いて試作に付き合ってくれている。それだけに当日の販売に向けて力が入る。

高校生の白熱した仕入商品の議論

ここで大学生も日田での経験を活かし,損益計算を示しながら計画をともに練り上げていく。パンプラスさんのご厚意があるとは言え,簡単には儲からない。セールスミックスをどう組み合わせていくか。

スプレッドシートで仕入商品を検討

議論の中で,彼・彼女たちは,利益を素早く得るためには単位あたりの貢献利益が大きい商品を売れば良いということに気づいたようだが,果たしてそれは多くの人に受け入れられる商品なのだろうか。イートインスペースを設けることができればセット販売を進めることができるけれども,新型コロナウィルスが蔓延している中で果たしてそれは可能なのかどうか。なかなか議論が落ちていかない。1時間近く議論を進めたが,結論はなかなか出ず。明日までの宿題に。

次回は23日という直前期のミーティング。果たして,当日はどのようになるのでしょうか。私もドキドキしています。

気づけば壱岐エテマルシェまで1週間!

そうこうしているうちに,いよいよ来週末は「壱岐エテマルシェ」の開催です。

当初は11月か12月頃にできれば良いなと思っていた販売体験ですが,これまでもここで記してきたように,高校生が積極的に取り組んでくれたことによって夏休みに出店することになりました。

ポスターも仕上がりました。

また,パンプラス,イチノ珈琲焙煎所,壱岐交通などの地元の事業者の皆さん,壱岐市役所の皆さん,そしてわざわざ壱岐まで商品を運んで販売する機会を作ってくださったTANEMAKI by SPINNSのみやぽよさんの協力なくしてはここまでたどり着きませんでした。なにより,勝本浦を訪問した際に朝市が行われているこの街で出店をしたいと思ってしまったことがこの機会に繋がりました。

新型コロナウィルスの影響で,当日一緒に企画を行う予定だった「朝市で朝ごはん」は延期することになってしまいましたが、こうした状況下でも本取り組みを支えてくださっている壱岐商業高校の先生方には本当に感謝しています。

この記事を読んでくださる方に壱岐までお越しくださいとは言いづらいですが、壱岐に繋がりがある方がおられればぜひお声がけくだされば嬉しいです。

さ、楽しい夏の思い出を作ろう!

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