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資産を現金に変えて資金調達

新規融資だけに頼らない中小企業の資金調達を解説します!今回は貸借対照表の資産の部に着目します。

前回までのまとめ

貸借対照表の左側にある資産の部、これを資金調達の観点では2つ(現金預金と現金預金以外の資産)に分けます。

そして、お金を調達する(増やす)ための方法は3つでした。
①現金預金以外の資産を現金預金に変える
②負債を減らさない、もしくは増やす
③純資産を減らさない、もしくは増やす

このうち、まずは①について詳しく解説します。

資産を現金預金に変える方法

資産を現金預金に変える方法は以下のとおりです。③と④は重なる部分もあるのですが、分類することが目的ではないので気にしないことにします。
①回収する
②使用して収益を得る
③売却する
④税金を減らす

資産を回収して現金化する

まずは、①回収する、についてです。

これは主に債権が該当します。つまり、売掛金や受取手形です。満期のある債券や保険積立金もこの分類に含まれます。

これらの勘定科目は期日が来れば現金預金に変わります。売掛金や受取手形については、支払条件が決められていますが、交渉により早められる可能性はあります。最初から無理であると決めつけず、資金繰りを楽にしたいのであれば、どのような条件を提示すれば交渉に応じてくれるか考えてみるべきです。

また、債権によっては相手の状況によって回収が難しくなることもあります。その場合には、後述の③や④の方法が使えないかを考えていきます。

資産を使用して収益を得る

次は、②使用して収益を得る、についてです。

これは主に固定資産(1年超にわたり使用する資産)が該当します。例えば、機械装置であれば、製品を作り販売することで直接的な収益が得られます。建物であれば、貸し出すことで賃貸収入を得ることもできますし、社員が建物の中で働くことでも間接的ですが収益が得られます。このように、固定資産は使用することで収益を生み出し、お金に変えていくことができます。

使って収益が稼げるのであれば良いのですが、なかには、使い道のない資産や収益を生まない資産もあります。そのような資産は使い続けても仕方がないので③売却することを考えます。

また、現在は設備投資に対する減税措置が多くありますので、固定資産を購入すると④税金を減らす、ということが可能になる場合があります。

資産を売却して現金化する

これは、販売用の棚卸資産の他に、使っても収益を生み出さない固定資産の売却や有価証券の譲渡等が該当します。貸借対照表に計上している金額以上で売却することができれば、単に現金に変わるだけでなく、投資額よりもお金が増えたことになります。

また、売却できるのは物理的実体のある資産だけではありません。売掛金であればファクタリングサービス、受取手形であれば割引という手法で債権も売却することができます。

貸借対照表に計上している金額以下でしか売却できない、あるいは、廃棄するしかないとなった場合には、④の税金を減らす方法が使えます。

価値のない資産でも現金化できる

製造したけど売れ残ってしまった在庫品や相手先の行方がしれず回収できない売掛金等、もはや持っていても価値のない資産というものも少なからずあるものです。売っても二束三文だからといって放ったらかしにする勿体ないです。

価値のない資産は、売却して損を出したり、(要件は厳しいですが)保有したまま評価損を計上したりすれば、現金支出が伴わない経費となります。そうすると、税率の分だけ法人税等が減少しますので、結果的に手元にお金が残ることになります。

もちろん、最初から売却損を狙って購入・製造するということはありません。しかし、投資に失敗はつきものです。その失敗でさえもお金に変えることができるのです。


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