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固定資産を有利に計上するコツ~その2~

前回は、固定資産の計上ルールについて解説しました。それを踏まえて、今回は会社にとって有利な固定資産の計上方法について解説します。

取得価額が30万円未満になるように分解

中小企業であれば、取得価額が30万円未満になれば費用処理ができます。したがって、どのような固定資産であっても、なるべく金額が小さくなるように分解して計上できないかを、まずは検討します。

このためには、請求書を見るだけでは不十分です。請求書には、購入した資産の詳細が載っていない場合があるからです。注文書や見積書等、資産の内訳が細かく載っているものを確認するようにしましょう。その際のポイントは以下のとおりです。

・同じ資産を複数購入していることはないでしょうか?この場合、これらの資産が複数で使われるもの(応接セットの椅子等)でなければ、1つずつに分解することが可能です。
・値引きがある場合には、耐用年数が長いものからの値引きにしてもらうよう、業者に頼んでみましょう。その方が、早期に経理処理ができるようになります。
・車両の場合に多いですが、購入価額の中に税金や手数料、保険料等が含まれていないでしょうか?資産の購入のために要した費用、事業の用に供するために直接要した費用でなければ取得価額にする必要はありません。
・解体・撤去費用、廃材処分費用等、新規資産の取得とは関係ない費用が含まれていないか確認しましょう。この中にも費用として処理することができるものが含まれています。

耐用年数が短いものに分解

取得価額が30万円未満にできない場合には、耐用年数が短いものに分解できないか検討してみましょう。例えば、内装設備一式のように計上するのではなく、エアコンや間仕切り、簡易な棚等は別に計上することで耐用年数が短くなり、早く費用処理できるようになります。「一式」のまま計上した方が楽なのは確かなのですが、会社にお金を残したいのであれば、その手間を惜しむことなく、購入資産の内訳書をしっかり読み込むことが重要です。

あえて合算して金額を大きくすることもある

分解することが基本ではありますが、ときには合算して一つの資産にした方が良い場合があります。それは、特別償却や税額控除を受けられるときです。

例えば、中小企業では機械装置や工具、ソフトウェアを購入すると特別償却または税額控除が受けられます。しかし、機械装置は160万円以上、工具は120万円以上、ソフトウェアは70万円以上のように、適用するための最低額が決められています。このような場合には、資産を分解して細かくするのではなく、反対に複数資産を一体とみなせないかを検討することになります。

終わりに

法人税や償却資産税のルールを把握していれば、固定資産を有利に計上して、会社にお金を残すことができます。上記は一例ですので、他にもやり方があります。ぜひ、いろいろと工夫してみてください。

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