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固定資産を有利に計上するコツ~その1~

固定資産を計上するときには、なるべく計上単位を小さくするのがポイントです。このようにすることで、投資額を経費で落とすことができたり、耐用年数を短くして減価償却費を増やしたりできるからです。

減価償却費はお金のかからない経費です。ちょっとしたことですが、積み重なってくると手元の現金の残高に大きく影響を与えるため、少しでも有利になる方法を覚え、実践していくことが大切です。

まずは、固定資産の計上について基礎知識を確認しましょう。

10万円未満の固定資産

取得価額が10万円未満の固定資産は、固定資産として計上することなく経費にすることが可能です。選択適用なので、経費にせずに固定資産として計上することもできますが、一度固定資産に計上したら、その後の期間において一時で経費にすることはできません。一時で経費にできるのは取得のタイミングだけになります。

この取得価額の判定単位については通達が出されており、国税庁のホームページで解説されています。

取得価額は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子が1組で取引されるものですから、1組で10万円未満になるかどうかを判定します。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものですから、部屋ごとにその合計額が10万円未満になるかどうかを判定します。、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。

つまり、複数の資産を同時購入した場合には分割することも可能なのですが、単独では機能しないレベルまでの分割はできないということです。

20万円未満の固定資産

取得価額が20万円未満の固定資産は、3年間で均等償却する一括償却という制度を用いることができます。なお、「一括」とついていますが、全額を一時で経費にできるわけではないので注意しましょう。

通常、減価償却は月割りで計算を行うため、決算月に購入した場合には、年間の償却額の1/12しか経費にできません。しかし、一括償却の場合には、取得した月に関係なく、1/3がその年度の経費とできるのです。

また、中小企業に限り、次の30万円未満の固定資産に対する一時経費処理も用いることができます。

30万円未満の固定資産

中小企業限定ですが、取得価額が30万円未満の固定資産は一時の経費とすることができます。ただし、年間で300万円までという限度があります。

10万円だとちょっと大きい買い物をしたら経費にできる部分がほとんどありませんが、30万円まで認めてもらえると、結構対象になるものが増えるので使う機会は多いと思います。

ただし、償却資産税の申告については30万円未満で優遇されるというルールがないので、償却資産税はかかってきます。

償却資産税の対象になるかどうか?

中小企業であれば、取得価額30万円未満の固定資産は経費にできました。そうすると償却資産税がかからいのかと思われるかもしれませんが、違います。

償却資産税は、10万円未満の取得で一時に経費にしたものには、償却資産税はかかりません。20万円以上の固定資産を取得したら原則として課税されます。しかし、一括償却を選択した場合に限り、償却資産税の対象にはなりません。20万円以上の取得については一時の経費としてもしなくても償却資産税の対象になります。

ということは、10万円以上20万円未満の固定資産を取得した場合には、経費にすれば有利かというとそうはならない場合があります。例えば、当期の損益が赤字の場合、30万円未満だからといって一時の経費にしても、赤字である以上法人税は減りません。しかし、この場合でも償却資産税はかかってしまうのです。全額を経費にしても法人税が減らないのであれば、一括償却を選択して償却資産税がかからないようにした方が有利ということになります。

終わりに

固定資産を取得したときは、法人税と償却資産税の両方について考えることが必要になります。30万円未満なら経費処理が有利とは限らないので気を付けましょう。

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