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負債を減らさなければ資金は増える!

新規融資だけに頼らない中小企業の資金調達を解説します!今回は貸借対照表の負債の部に着目します。

前回までのまとめ

貸借対照表の左側にある資産の部、これを資金調達の観点では2つ(現金預金と現金預金以外の資産)に分けます。

そして、お金を調達する(増やす)ための方法は3つでした。
①現金預金以外の資産を現金預金に変える
②負債を減らさない、もしくは増やす
③純資産を減らさない、もしくは増やす

①には回収、使用収益、売却、税金減額の4つの方法がありました。今回は②の負債を減らさない、もしくは増やすという方法を解説します。

負債が増えれば資金は増える

当たり前のことですが、負債が増えれば資金は増えます。最も代表的なものは借入金ですね。銀行からでも役員からでも、借入を受ければその分の資金が増加します。

買掛金は増やしても、原材料や商品といった棚卸資産(在庫)が増えるだけだから、資金は増えないのでは?とも思えます。しかし、原材料や商品があるから製造や販売ができ、売上を通じて資金が増やせるのです。その元手を出してくれているのだから、資金が増えると考えて良いと思います。

負債を減らさないようにしても資金は増える

負債は他人資本と呼ばれることからもわかるとおり、人のお金です。ということは、いつかは返さなければなりません。一方で、返さない間は自分の手元にお金を置いておけます。つまり、借りたら返さないようにすれば良いのです!

もちろん、契約条件を無視して踏み倒すわけではありません(笑)。そうではなく、契約条件を変えられないか考えてみましょう。

買掛金や支払手形のような仕入債務は支払サイトを長くしてもらえるように交渉できないでしょうか。売掛金や受取手形の場合は支払サイトを短くしてもらいたいので、それとは反対ですね。一方的にサイトを長くして欲しいといったところで受け入れてはもらえませんので、仕入数量を増やす等の代わりの条件は提示する必要があります。

借入金の返済期間を長期化する

借入金についても同様です。現在の借入金よりも長期で新規融資を依頼し、一方で従来の融資は一括で返済できないか金融機関に聞いてみましょう。借入期間を長期化すれば金利や利息は増えるかもしれません。ただ、利息の支払いは元本の返済より負担としては軽いので、資金繰りは確実に楽になります。銀行としても利息収入が増えるというメリットがありますので、相談に応じてくれることが多いです。

なお、既存の融資は返済することに注意してください。既存の融資にプラスして新規融資を受けると、その分だけ返済負担が増えますので、一時は資金が増えて楽になりますが、その後は厳しくなります。

運転資金の借入には短期継続融資を活用しよう

運転資金としての借入であれば短期継続融資(短コロまたは当座貸越)が有用です。短コロはあまり聞いたことがないかもしれませんが、手形貸付で、返済期限が来たら再度同額を手形で借りる方法のことです。借り換えを続けることで実質的に返済が不要となるのです。

当座貸越は、契約で決められた枠の範囲内で自由にお金を借りたり返したりできる借入のことです。こちらも、こちらから返済しない限りは、金利負担だけでお金を借りたままにすることができます。

短期継続融資については、金融庁の指導によってあまり使われなくなったという経緯があります。しかし、現在は金融庁の方針が変わっていますので、銀行からも提案を持ってきてくれるようになるかもしれません。それでも銀行が提案をしてくれない場合には、こちらから聞いてみるようにしましょう。基本的には対応できるはずです。

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