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冷たい床と本棚

夏も終わり、肌寒くなってきた。
ロンドンはまた雨続きの日々に戻りつつある。

家の床も冷たくなり、靴下が必須な季節だ。

夜になり、部屋の外の廊下に組み立てた本棚へ向かう。(狭い部屋には本棚を置くスペースがなかった)
暗く冷たい廊下にある本棚を見ると、祖母の家にある本の部屋を思い出す。

2階の部屋に1つだけある大きな本棚。

幼い頃、冷えた廊下を裸足で歩きながらその本の部屋に入り、恐る恐る本棚へ近づいた。
置いてある本は古い本ばかりで、その時の私にはなぜか少し不気味に感じた。

結局、その本棚から本を手に取った覚えはあまりない。
そこにあったほとんどの本は、もう祖母が小学校に寄付してしまったため、今はその冷たく肌寒い部屋には大きな本棚がぽつんとあるだけだ。

特に思い入れがある幼い頃の記憶ではないが、この肌寒くなってきた季節の夜に、本を取りに部屋の外へ出るたび、祖母の家にあるその本の部屋に引き戻される。

その感覚が今では、毎晩のちょっとした楽しみになってきている。

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