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クラウディアゴールディン女史の、なぜ男女の賃金に格差があるのか?を読んだ感想

チャットGPTに口が悪いし要点が散逸していると指摘されたので、要約してもらったやつを先に貼っておく。
タイトル: 男女の賃金格差:労働選択と社会的規範
序論:
本記事では、男女の賃金格差の原因となる労働時間の違いに焦点を当て、サイボーグフェミニズムと資本主義の関係を探求します。

労働時間と賃金格差:
男性は一般的にハードワークや不規則な労働に従事し、技術差や役職の違いによる賃金格差が生じます。一方で、女性は出産や育児によりキャリアが遅れがちであり、安定した勤務時間を好む傾向があります。

社会的解決策:
クラウディア・ゴールディンの提案に基づき、社会規範を変更し、性別に依存しないトレードオフを目指すことが解決策の一つとして挙げられます。

ピルの社会的影響:
ピルの普及は女性のライフワークバランスに大きく寄与し、生理や妊娠によるペナルティを軽減しました。

生理・妊娠ペナルティの問題:
生理や妊娠による職場でのペナルティに注目し、ピルの一般化が女性労働者にとって重要であることを強調します。

個々の選択と社会的規範:
個人の生き方として出産や家庭に入る選択も合理的であると指摘し、社会的規範や成功の指標を再考する必要性を論じます。

結論①:男女の労働選択とライフプランの違いが賃金格差に影響を与えており、社会的な解決策と個人の選択が重要であることを強調します。

結論②: 男女平等への道は、単に職場での対等性だけではなく、生活全体のバランスと社会的な価値観の見直しを要すると結論付けます。


軽い感想

 根本にサイボーグフェミニズム的な流れがある気がするけど、まあピルに関しての書籍も書いてるらしいからそういう方向性を持った人間ではあるのかな?というのは率直な感想。

 フェミニズムは資本主義と合流しているという話は聞いていたが、評価指標として経済的成功を中心に据え過ぎなのではないだろうか?とは全体を通して思う。しかし、それらを超克できるほどの新しい価値軸というものが一般性を帯びるかと言えば難しいのだろう。これにはゴールディン女史自身も、育児にかかるお金が膨れ上がっていることや、それこそアンチフェミ界隈でも盛り上がった、主夫養え論として引用されている文言も解決策の一つである。(文言事態は主夫を養うという解決策以外も含んでいるが)

「もう 一つ の 解決 策 は、 社会 規範 を 変え て、 トレードオフ が 性別 に 依存 し ない よう に する こと だ。 以前、 同性 カップル の 文脈 で 述べ た よう に、 この 方法 は 性別 による 経済的 成果 をより 均等 に する のに 役立つ かも しれ ない が、 カップル の 公平 性 の 問題 を 解決 は し ない だろ う。 カップル の 両方 が それぞれ の 至福 の 時 を 過ごす こと は でき ない の だ。

クラウディア・ゴールディン. なぜ男女の賃金に格差があるのか (pp.305-306). 慶應義塾大学出版会. Kindle 版. 」

ザックリ書かれている事について

男女の賃金格差が産まれる理由は労働時間の差により生まれている

 内訳は最初に説明されている通り、男女の賃金格差が産まれる理由は労働時間の差により生まれている。以下の理由がある。
①ハードワークや不規則な労働をすることは男性の方が多く、それにより技術差や役職の差が産まれる
②女性が出産などのライフイベントを通して、労働ではなく育児にコミットメントしていくこと、それによりキャリアが遅れる。
③また、育児にコミットメントした女性は勤務時間が安定した職を好むようになり、それがまた格差を生む原因になっている。(①になる強い要因でもある)
と言った感じの内容。

 結論が先に書かれてて「まあそうやろ」って、直感的にもわかりきっている事を延々と説明されるので眠かった。この本は偉大な本である。良く言われる男女の賃金格差が、ホモソーシャルの意地悪にあるのではなく男女の職業選択とライフプラン選択の差にあるのだという事を明らかにした偉大な本だ。欠点があるのだとすれば冗長で退屈な事だろう。

 育児離職の問題は日本でも最近話題になった。どこだかの医療大学が男を優先して合格させていたという事で問題になっていた。それはひっ迫した医療環境と、女性看護師が育児離職してしまう問題の苦肉の策だったのだろう。しかし問題であるとして大炎上してしまった。この事件からも分かる通り、現実問題として女性は男性よりも離職しやすいのである。だがしかし男女平等の観点からその様な事を発言することも出来ず、男性優遇の処置をせざるを得なかったのだろう。頓珍漢な出来事だ。

賃金格差の大きい弁護士と小さい薬剤師

 注目点として、男女の労働賃金格差のパーセンテージを二つの職場で比較している後半の部分が面白かった。片方はハードワークの代表例としての弁護士、片方は賃金格差が最も小さかった薬剤師(ドラッグストア)である。
ハードワークな弁護士の例を取りチャイルドペナルティの事を語り、洗練された職場としてドラッグストアの例を取りそういったチャイルドペナルティが解決されている。というものが語られた。私の注目した点はドラッグストアでの男女賃金格差はたったの6%程である事だった。恐らくだが、環境の整った状態で男性が頼られる点はちょっとした残業を変わって貰ったりとした、そういった6%程くらいなのだろうなと思った。(じゃあ環境が整わない職場は永遠に男性がハードワークを担当するのでは?という話でもありますが)


偉大なるピル

 もう一つの注目点はピルの誕生が女性のライフワークバランスを大きく変えたという事を語っていた事である。生理は確かに大きなペナルティである。避妊も重要な点だ。そういった危険を避けるためにもピルの誕生と活用が必要だった事をたびたび語っているように思えた。この話を聞いて、私はサイボーグフェミニズム的なものを感じ入ってしまう。ピルによりそういった女性性を抑える事により労働へフルコミットメントしている。そのように感じ入られる。そう、私から見たらこれは女性の男性化のようにも映った。
恐らくこれは自覚的に語られなかった事なのかもしれないし、その事に関してはおそらく過去の著作にでも書かれているのだろう。

以下感想など

生理ペナルティ、妊娠ペナルティ

 私もVtuberをよく見るようになって、生理の大変さというものを感じるようになっている。基本的に毎日配信するような状況が望ましい配信者にとっては1週間くらい体調が悪いまま潰れてしまうのは話にならないわけである。しかもライブ配信というものは体調がもろに出る。心配をかけるぐらいなら素直に休む方がマシな事も多い。もちろん個人差がある事も見て取れる。PMSが重大な病気であると自覚せずに活動を続ける人間も居るように思える。日本のフェミニストは何よりも生理・妊娠ペナルティの健全化を成せるピルの一般化をもっと目指すべきなのではないだろうか?という事をPMSで苦しむ人々を見ていてよく思う。人間社会は女性労働者向きでは無い。

真の奉仕対象者について思いを馳せる

 女性の成功というものは準男性化やサイボーグ化により達成しうるものでもあるのだろうな。という事をなんとなく思いつつ読み進めていた。しかし、成功の指標というものが資本主義的な成功と強く合一されてしまった社会においては仕方のない事なのかもしれない。私自身は女性の権利は強くなる一方だとは思うが、社会的成功などという競争社会において一部の者にしかたどり着けない場所を目指し労働者として堕ちていく女性。というものもどことなく感じている。出産は「おめでた」とも言われていた事であったのに「チャイルドペナルティ」などと言い切ってしまう世の中は悲しい限りでは無いだろうか。
 我らの主体は会社なのだろうか家庭なのだろうか。大いに頭を抱えてしまう所である。

サイボーグネキ達に媚びる時間

 まあついでに女性に対しての人気取りもしておくか。彼女達がDV旦那の様な人生の急な登場キャラクターに人生が破壊されてしまう事もあるので現代社会に適応するためにサイボーグ化する必要もあるのだろう。といっておこう。これで男性化を目指すネキたちもニッコリだろう。だれも出産などというペナルティを負いたくないのはその通りだ。なぜ腹を痛めてわざわざ面倒な子育てなどをしなければいけないのか。会社や仕事を通して誰かに奉仕をし続けたいしなんなら金も欲しいのにね。

「もう 一つ の 解決 策 は、 社会 規範 を 変え て、 トレードオフ が 性別 に 依存 し ない よう に する こと だ。 以前、 同性 カップル の 文脈 で 述べ た よう に、 この 方法 は 性別 による 経済的 成果 をより 均等 に する のに 役立つ かも しれ ない が、 カップル の 公平 性 の 問題 を 解決 は し ない だろ う。 カップル の 両方 が それぞれ の 至福 の 時 を 過ごす こと は でき ない の だ。

クラウディア・ゴールディン. なぜ男女の賃金に格差があるのか (pp.305-306). 慶應義塾大学出版会. Kindle 版. 」

 意味深い言葉ですね。彼女の言う通り社会模範を変えてトレードオフが性別に依存しないようにすれば、チャイルドペナルティを男性側が請け負う事も出来るだろう。さすがに出産は無理だけど、男性が育児を担当することも十分にあり得るべきではないだろうか。それを否定するのであれば女性は家にというのが結局合理的になってしまう。そもそも無理に男性化しなければいけない世の中というのもおかしなようにも思える。そのような方法を選ぶ人間は居ても良いが少数な方が自然なのかもしれないな。まあそういう人もいるよね。くらいの捉え方で十分なのではないだろうか。

個別の人生について

 しかしまあ、素直に出産可能性を抵当にして家庭に入った方が生きるコスパ良くないか?出産後は育児を望む女性も多いわけだしそもそもにおいて会社だって個人の奉仕者だろうことを思えば奉仕対象であり続ける方が生きやすいんじゃねえの?とは思うけど。そもそも家に入ったところでパートやリモートワークみたいなものもやろうと思えばできるだろうし、財テクを極めたり家事を極めたりすることも生活の充実(自身も含めた)に大きく貢献できる要素だろうとは思うのだが。そもそも夫婦になってれば起業ミスして自己破産しても養ってもらえてるからチャンスカードが増えてるみたいなもんだとも思うのだが。みんなが何を目指しているのか。私にはそれが良くわからない。
 それこそ誰の描いたかも分からない「素晴らしき生き方」などと言う絵に描いた餅を拝んでは一喜一憂している間抜けにしか見えない。まあゴネるだけで利権が降ってくるなら、そうし続けるのも合理なのかもしれない。そのしっぺ返しもいつか食らう気もするが、それがどのような形になるのかは私にはまだ分からない。イイ男が居ないと言われればまあ(決断が苦手な側の性だし、選択を迫られること自体がハラスメントみたいな感じだし)それもそうか。と思う吉宗であった。

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