医学部入試における性別のとりあつかいにまつわる諸問題
先日の記事で女性医師が増えるとどうなるかみたいなことを書きかけてやめたのでその続きを。
昨年の東京医科大学の入試における女子の不利な扱いに端を発するこの問題であるが、ずっとなんらかの操作が行われているだろうととまこしやかに囁かれており、やっぱりそうだったかという感じであった。
特に首都圏の私立医学部は、超難関の慶応をのぞいておおむね7対3くらいに男女比が維持されており、これは不自然だろうといわれていた。
また、現場の医師からしたら女性の入学者数をコントロールすることは必要悪ととらえられていた。
そもそも医学部の男女比はなにできまるかというと、兎にも角にも入試の難易度である。
そして入試の難易度はなにできまるかというと、国公立の場合、大都市圏にあること、旧帝大といったことである。すなわち東大、京大、阪大、九大、名大、東北大、北大に加え、東京医科歯科大学、横浜市立大学、千葉大学、名古屋市立大学、大阪市立大学、京都府立医大、神戸大学など大都市圏の大学、金沢大学、岡山大学といった地方の名門が最難関ということになる。
ただし、これら以外は駅弁医学部などと揶揄されるがけっして入試が簡単なわけではない。
私立の場合は学費と反比例する。慶応はブランド大学であるだけでなく学費が私大医学部としては格段に安いので旧帝大レベルの難易度を誇る。慶応以外は地方国公立よりもかなり難易度が落ちる。しかしこれらも昨今の医学部人気とともに難易度が上がってきてはいる。
そして入試の難易度が上がれば女子の比率は下がる。
まとめると、難関の国公立および慶応とそれ以外に分類できて、このそれ以外のグループは簡単ではないものの難易度は相対的に低く男女比率が高くなりがちといえる。もちろん最初から女子しか募集してない東京女子医科大学はのぞく。
つまり、地方国公立とか慶応以外の私立くらいの難易度だと女子のほうが有利なのである。というか医学部やメディカルスクールの男女比が逆転しつつあるのが世界的傾向であって、日本は特異なのだ。その要因はいろいろあるのだろうが、一部私立医学部のように露骨に点数を操作したり、地方国公立医学部のように理系科目の配点を高くしたりといったことが寄与しているのは間違いないだろう。
明らかに女子に不利な扱いをしていたとされる順天堂大学はそれをやめるとこうなった。
こつこつ真面目にがんばれる女子のほうが順天堂くらいの難易度だと有利なのは当たり前といえば当たり前だ。旧帝大医学部のようなピーク性能が要求されるところは女性の比率は多くて2割だし、地方国公立や私大でもピーク性能勝負にもちこむために数学や理科の配点を高くして3割程度に抑えているところもある。ある程度の難易度があり、かつ理系科目を課すことのできる医学部はまだいいが、文系だと女子の草刈場になるだろうね。
前提となる情報を共有したところで、ここから先はいささかセンシティブな内容になるので有料とする。現場の危惧、社会的影響について書くのでどうしても世界の半分を怒らせる内容にならざるをえない。
※追記(2019年12月26日)
2019年12月19日発表の平成30年2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況を踏まえて診療科別男女比について追記しました。
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