冷たい手

朝の手がとても冷たい、昨日今日と、あたためてもあたためても暖かくならない。
隣に猫が寝ていて、撫でたいけれどこんな手で触ったら寒いだろうと思って、布団の中で手をすりすり擦り合わせてみるが、あたたかくはならない。

私はてがあたたかいひとだった。
いつだって体温が高くて私の手は湯たんぽみたいだった。
だけど今は保冷剤みたいだ。
カサカサしていないで、潤いはあるからしっとりしていて、だけどそれが冷たさをなお引き立たせる。
冬の寒い日に触れられたらキャッと悲鳴をあげてしまいそうな手をしている。

布団の中の太ももの間に手を入れる。
あったかい。でもなかなか手はあたたまらないんだね。
布団から出たくない。
布団から出たくないというより、ずっと寝ていたい。
ずっと寝て起きないでいられたらいいのに。
自分の苦手なことばかり毎日やるのがすごく大変だ、苦痛だ、すごくマイペースにやっていかないとできない。
自分のことは優先順位が1番低いからこそ、時間を作ってほんとに心に余裕が無いとやることができない。
なんでこんな性格なんだろう、自分が一番謎に思う。

でもこの性格は変わらないんだろうな。


つい昨日、満開の八重桜を見た。

いにしへの 奈良の都の やへざくら
けふここのへに にをいぬるかな

百人一首で一番最初におぼえた歌だ。

かつての奈良の都に咲き、香っていたその香りが今日もにおっているんだなぁ。

植物の逞しさと人の世の短さを思わずには居られない歌だ。

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