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「ソフトウェア・ファースト」DXに携わる人には本当に必読書です‼ 【読書レビュ】

こんにちは、オオハシです。今週は及川さんの本で行ってみたいと思います。我々が属している業界において「名著」と語り継がれている本を読みました。恐れ多いですが、多くの方が好評する、という意味もよく分かりました。(自分が勤務している)会社で技術顧問をしておられる及川さんの書籍を改めて拝読し、なんだか得したというか、いまこの本読んでんのかよ、と叱られそうな気もしたり、複雑な気持ちでした。とにかくDXやソフトウェア・ファーストを学ぶ上では必読書、と言われている背景がよくわかりました。

ソフトウェア・ファースト 
 あらゆるビジネスを一変させる最強戦略

及川 卓也 著 2019年10月の本

  おわりに(P354)にございますが「デジタル・トランスフォーメーションを解説した類書とは一味違う、泥臭いけれど実践的な内容を網羅している」本だと心から思います。

 及川さんとの輪読会に参加したり、技術顧問としていろいろとアドバイスいただける環境にある会社に勤めていることもあり、それこそ及川さんからこちらの本ができる際の何度も書き直したというブログの記事を案内いただき、この本を取ることになりました。(めっちゃ素敵なんで、ぜひこちらの記事読んでください)


ブログの記事にもありましたが、「ターゲット読者のペルソナを作成することで読者視点を常に意識しました」ということで、及川さんとのセッションで直接語りかけられているような、直接講義を受けているような、そんな感じを受けました。熱量を増してくると早口になって、ものすごいスピードでこちらのパッションも高めていかれる、及川さんが本に乗り移っているかのように思いました。こんなによい書籍を手にすることが遅くなり申し訳ございません。
(引用のブログ内では、こう書かれていました。「プロダクト開発において最も重要なのは、ユーザーを理解すること。それは、及川自身が常に口酸っぱくして言っていることだった。」)


 デジタル・トランスフォーメーション、というか、この変化の激しい世の中の環境を受けて事業変革を考えていかねばならない立場の人々にとっては、まさにバイブルとなるような本だ、というところは、実際に読んでみて納得感というか畏怖の念というか、手触り感・腹落ち感、満載でした。この本で網羅性を確認し、そこから次のより踏み込んだ本へ発展していくのがよいんだな、と改めて思います。 及川さん、改めましてありがとうございます。稚拙な表現でしかレビュー書けなくてすみません。オオハシらしい、ストレートな感想となります。
(弊社での及川さんとの関わりがわかる記事をリンクしておきます)



 さて、改めまして引用です。

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ソフトウェア・ファーストの根本?

P36 ソフトウェアの力だけでは良いプロダクトは生まれませんが、凄まじい破壊力を持つソフトウェアの特徴を理解し、プロダクトや事業開発のすべてを変えていくことが、これからの企業力を左右します。
 また、企業がソフトウェア・ファーストを実践するには、ソフトウェア技術を理解し、事業に活用できる人材が必要です。このような人材を育て、活かせる組織が必要です。さらには、失敗することを前提に、作っては壊すことを良しとする文化も大切です。
 そして、ソフトウェア・ファーストで最も大事なことは、変化しないものを理解することです。ソフトウェア技術は日々進化します。ソフトウェアを活用したビジネスモデルも変化し続けます。変わらないもの―それはビジョンやミッションであり、それに関連する社会課題や価値観です。目指す世界観に対して、ソフトウェアという変化し続ける手段を用いる人間に必要なのは、成し遂げようとする執念であり、成し遂げるために考えること、考え続けることです。

ソフトウェア・ファースト P36

小見出しはあくまで私が個人的な感想でつけたものなので、それこそ及川さんに叱られるかもしれませんが、前半部でのこの考え方はぐっときました。「失敗することを前提に、作っては壊すことを良しとする文化」というところもなかなか難しいんだと思いますが、わが社も少しずつそういう文化にチャレンジしようとしているところは感じます。そして「ビジョンやミッションであり、それに関連する社会課題や価値観」を大切にするということ、すごくぐっときました。「成し遂げようとする執念」という言葉にもグッときました。


SIerはより専門に特化

P63 では、将来のSIerはどんな存在になるでしょうか?筆者は2018年に、ギットハブでテクノロジー担当の副社長を担当するジェイソン・ワーナー氏にこの質問をぶつけてみたことがあります。ワーナー氏は「SIerはより専門に特化していくことになるだろう」と述べていました。専門とは、業界特有のソリューションであったり、特定の技術領域を指しています。

ソフトウェア・ファースト P63

ここも個人的には腹落ちであって、私共の会社は恐れ多くもSIerなんて業界にはまったく対応できていないITインフラ企業なわけで、しかしながら、だからこそ、このDXの時代には私共の会社が提供できるネットワークマネジメントなどのアウトソーシングビジネスの価値はあがっていくんだろうな、という仮説を持っています。具体的には、より業務に特化した部分をお客様が実施されるがゆえに、私共が提供するような領域は、アウトソースいただいたほうが、お客様はより専門特化に集中できると思うんですよね。


データ活用に感じる2つの違和感

P84 近年「Data is Oil」(データは石油)という考え方がさまざまな産業に普及していますが、一つ目の懸念はデータへの期待が先行し過ぎている点です。例えばAIによるユーザーの思考・行動パターン予測や画像認識などの精度を高めるためには学習用の膨大なデータが必要です。しかし、このデータは何でもいいというわけではありません。データの収集や前処理、蓄積にも莫大なコストがかかることを考えると、収集するデータの種類や用途を考えた上でデータを集める必要があります。そこまでやらなければ、“原油”は石油にはなりません。

 (中略)

 それに、ユーザーデータを取得・利用することに対する社会全体の受容度が低い状態で過度なデータ活用を進めると、ユーザーに気持ち悪がられてしまいます。

 (中略)

 本来は、こうした懸念を払拭するために、ユーザーのプライバシーをどう考えてデータを取得するか、取得したデータをどう活用するのが理想的なのかを考える人材が今以上に必要なはずです。

ソフトウェア・ファースト P84

ここの比喩(そこまでやらなければ、“原油”は石油にはなりません)もウィットが効いていて素敵だと思いました!確かにデータに関する扱いの期待(データマネジメント)が高いのはわかりますが、そんなに簡単にデータ活用して社会を変えていくようなソリューションは得られないような気がするんですよね。及川さんですら「違和感」を感じていらっしゃるのなら、まだ不勉強な私や、お客様も違和感を感じられるのは当然の事、ただ、おっしゃる通りソフトウェアの可能性は『凄まじい破壊力』なので、データの扱いも少しずつ少しずつ、扱いを進めていく、ということなのかもしれません。


価値提供、未来はどうなっているか?

P177  ソフトウェア・ファーストを実践し、DXを推進する際は、企画の段階から「自分たちが提供するプロダクトや事業が何を成し遂げたなら、ユーザーの課題を解決していると言えるのか」を考え抜くことが大切です。その上で、ユーザーに価値提供をしている状態をどうやって計測するか、を考えましょう。つまりKPI(主要業績評価指標)とそれを構成するKPIツリーを考え、それぞれのKPIを計測できるような基盤を整えておく必要があります。

ソフトウェア・ファースト P177

ここもさらっと書かれていますが、非常に大事なポイント。どのお客様に「うれしさ」を与えられていて、「ユーザーの課題を解決していると言えるのか」、ここが考えられていない中DX,DXと言葉だけ先行していたりすることもあるので、根本の部分として強く意識を保っておく必要があると思っています。


計画的偶発性理論

P294  ちなみに、このコネクティング・ザ・ドッツの概念は、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が計画的偶発性理論として提唱している内容とほぼ同じです。この理論は「慎重に立てた計画以上に、予想外の出来事や偶然の出来事がキャリアに影響を与える」という考えに基づくものです。この偶発性を起こすには、その人に次のような特性が必要であると教授は論じています。
 ・好奇心
 ・持続性
 ・柔軟性
 ・楽観性
 ・冒険心


(中略)

 偶然性はともすれば流されるままに生きているだけのように見えるかもしれませんが、クランボルツ教授の理論にもあるように自らの興味や好奇心が必要であり、解釈の仕方次第では自分の意思が招いた必然とも言えます。

ソフトウェア・ファースト P294

この理論、どこかで深堀勉強したい、と思いました。私の価値観にすごくあっています。社会人になって20年ですが、もちろんビジネスもそうなのですが、子育てやPTA、町内会やまちづくり協議会、NPO活動、ラグビースクールのコーチング、それぞれの活動がいろんな形でヒントになり、つながっていっていることを最近すごくよく感じます。ビジネスにおいても、明確なキャリアプランを描いて20年働いたわけではないのですが、計画的偶発性理論に従い、毎日を充実させて生きています。


及川さんの決断から学ぶ

P344 
 グーグルは調べれば調べるほどよく分からない会社でした。それだけに好奇心が刺激され、入社するためにかなりの努力をしました。自分なりにグーグルのプロダクトをすべて調べ、SWOT分析をし、自分だったらこんなプロダクトを作ると仮説を立て、面接に臨みました。
 (中略)
 グーグルは今でこそ、検索だけでなく、クラウド含め様々な事業を持っています。IT業界のみならず、社会に影響を与える存在にもなりました。しかし筆者が入社した頃はまだ、ここまでの存在になるかどうかは未知数でした。ここでも筆者は自らの審美眼を信じ、リスクを取って、安定を捨て、新しい挑戦をしました。


P348
 このように自分のスキルを棚卸し、市場における差別化を考える中、外資系大企業経験の長い筆者があえて選択することに意味があるのは、「日本企業」であり「スタートアップ」であると考えました。

 (中略)

 グーグルのやり方はグーグルだからこそ活用できるものであり、日本のスタートアップは、グーグルを参考にしながらも、自ら作り上げていく必要があります。その作業をご一緒させていただきながら、筆者は引き出しを増やしていき、この引き出しに蓄えたノウハウを活用することで、さらにまた新たなノウハウが生まれるという好循環になっています。

ソフトウェア・ファースト P344

このへん読んでいくと、すごく及川さんからのメッセージ性を感じますよね。「リスクを取って、安定を捨て、新しい挑戦をしました。」と簡単に言いますが、なかなか行動にまで変えられる方は少ないんだと思います。しかしながら、実際に行動されて、業界に多大なる影響を与えられている及川さん、私共も、決断をし、挑戦を重ねていきたい、と受け止めます。


及川さんらしいメッセージ

P352
 この本をお読みになった皆さんには、ぜひとも変化を追い求めるようになっていただきたいと考えています。変わらずにいることに心地悪さを感じるようになり、常に変化を求める。そうすれば、きっと組織も社会も変わっていくことでしょう。
 ここで言う変化とは、すなわち進化です。人に喜んでもらえるものを提供する喜びを持てれば、社会課題を解決して救われる人を見られれば、きっと多くのことが変わっていきます。小さな変化がより大きな変化を生んでいくことでしょう。

ソフトウェア・ファースト P352

最後の引用です。非常に及川さんらしい、温かいメッセージだと思いました。読者を鼓舞して社会を変えようとしてくださっている熱量をひしひしと感じました。たまたま及川さんが技術顧問をしてくださるような企業で働けていることを改めて感謝するとともに、こうしていただいたメッセージを受けてしっかり行動に変えて、社会を変革していくことに日々努力をしていかねば、と改めて思う日曜でした。

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以上

最後までお読みいただきありがとうございました。読み手の立場にたってのブログになれていなくて本当に申し訳ないと思います。少しずつ精進していきたいと思います。

ブクログのほかの方のレビューも非常に参考になるのでリンクさせておきます。




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