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「VISION DRIVEN INNOVATION」は野中先生と入山先生が帯を書いているだけに相当な秀作だった。 【読書レビュ】

おはようございます。オオハシです。 夏休み期間中の積みあがった本の最終本は大事な本をじっくり読むことにしました。久々の投稿となりました。前作の「直観と論理をつなぐ思考法」で自分にものすごい感銘を与えた佐宗さんの本、昨今腹落ちした両利きの経営の入山先生、そして知識創造企業での野中先生も推奨する本だけに、そうとうな期待で読み始めました。 では、いってみましょう。


VISION DRIVEN INNOVATION
ひとりの妄想で未来は変わる

文句なし僕にとっては★5つの本です。 20年近くのビジネス人生において尊敬するに至った野中先生と入山先生が帯を書いている本なので当然期待を高く読み始めるわけでありますが、やっぱり読んでよかったと思えた本で、多くの方に読んでもらいたいなぁと思う本です。 『△から〇へ変わる組織の形』として表現されている内容や、本書の前半の見開きで『創造と変革の36の智慧』として整理されている体系がそもそも素晴らしいのも事実であるが、そのアプローチを入山先生の帯の言葉を借りれば「いま日本中の大企業で変革を本当に起こしている張本人による、これは最高のイノベーションの手引書だ!」という、事実としてやってきた事例が満載なので、すごく手触り感がある。
自分の立場や感想や見解などというものを述べるより、今回も抜粋多めにしたほうがいいと思うので、多めで行きたいと思います。 さすがに図までは引用してなくてすみませんが、下記、ご確認ください。(都合により自分の所属するカイシャが関わった部分は長めです)

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P28 △から〇へ変わる組織のかたち
一方、創造する組織は、グーグルをはじめとしたIT企業のような分散型の組織モデルだ。クリエイティブな活動は、長期的に新たなアイデアや事業などを通じて、新たな価値を生み出し続けることを目的とする。生産のための設備は人であり、人の内発的エネルギーによって駆動するため、突如としてすごいアウトプットが現れることもあれば、気分が乗らないとアウトプットがゼロのこともある。(中略)野心的なビジョンや、腹に落ちたミッションなどの意思の向かう方向性が明確になったとき、よくいえば自律的、悪く言えばバラバラのベクトルが一気にまとまっていく。アイデアとアイデアの偶然の出会いにより突然変異を生む創造が、その営みの中心だ。

P103
BIOTOPEでは、NTTコミュニケーションズでボトムアップ型の会社の理念浸透活動を支援する機会があったが、大きな組織にミッション/ビジョンを広めていくためにまず重要なのは、一気に全体を変えようとせず、共感度の高いコアな社員から自分事化を進めていくことだ。巨象はいきなり動かない。役職・部門を超えて、共感度・活性度の高い人たちによるコミュニティを形成し、彼らの周りから変革の日が広がっていく仕掛けをつくるほうが有効だ。
 たとえば、策定プロセスにおいても経営幹部だけでなく、会社の部署をカバーできるように広く呼びかけ、ワークショップやインタビューなどで組織や未来への想いの強い社員を巻き込んでおくのもいい。そのうえで、策定したミッション/ビジョンを個人の想いやビジョン、日々の仕事と結びつけ、自分の言葉で語っていくストーリーテーリングの場を設ける。役職や部門を超えて、共感度・活性度の高い人たちによるコミュニティを形成し、彼らの周りから変革の火が広がっていく仕掛けをつくっていくのだ。
 (中略)言葉に込めた思想や世界観をきちんと伝えたうえで、どうしたら自分の仕事に生かすことができるかを、それぞれの社員にとっての物語として語ってもらうのも効果が高い。(中略)自分事化したストーリーを手に入れた共感者たちは、ミッション/ビジョンの伝道師となり、浸透・伝播のための強力な協力者となってくれる。

P208
 天の時というのは、自社の変革期だ。言い換えるなら、乱世の時代と呼べるかもしれない。新たな取り組みは、平時においては辺境や道楽で行われることが多い。しかし、事業環境が大きく変化し、自社が存続の危機に見舞われたとき、いままでのルールが180度変わる。その際、既存の仕組みでうまくやっていた人の足が止まり、逆にゼロから道をつくってきた人が縦横無尽に動けるようになる。周囲が止まって見えるようなゲームができる瞬間があるのだ。
 (中略)現場レベルでは、大きな波に巡り合わない平時では、コストを減らして“死なずに待つ”ことをして当面をしのぐことも大切だ。新規の取り組みを続けていると、どこかのタイミングで必ず疲れが出て、当初のエネルギーが沸かなくなってくる。しかしここからが本当の勝負だ。実はそうした新たな活動は、スタート時と比べて時間が経てば経つほどスキルも期待も向上するため、体感的には成果実感が減ってくるものの、着実に成果は出ているものだ。待ちの時間は、外に何かしらの発信をしておき、勝負どころで動いてもらえる社内のネットワークを構築しておく。そして、いざ天の時が来たときに動ける準備を整えておくといいだろう。

P236
 「この変革プロジェクトで、あなたのチームは、潜っていていい。これから組織が立ち行かなくなったときに生き残って、新たな方向性を指し示す集団が必要なんだ。」イノベーション活動は、短期的な成果として見るだけではなく、長い目で見てバランスをとるという視点が大切だ。変革チームは、常に必要とされるわけではない。ただ、新しい次世代のモデルを実践していた人は、突然、否応なしにリーダーになることがある。
 団塊の世代が退場し、社会の世代交代が起こったとき、これまで述べたあらゆる問題は深刻化し、大きな変革が迫られる時がくる。天の時が訪れるまでの猶予の時間は、おそらくあと5年だろう。いままでアウトローでしかなかったイノベーターたちは、世代や環境の持続可能性という既存のシステムでは解決のしようのない大義をもつことで、一気に次代の主流をつくるリーダーになる可能性を秘めていると思う。僕らは、そこまでに十分な準備をしておかなければならない。
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最後までお付き合いいただきありがとうございました。

「直観と論理をつなぐ思考法」のブクログもリンクしておこう。


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