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人生はポルノ映画

雨が降ってきた。
男の髪は徐々に濡れ、温度を捨てようともがき始めた。

その男、野犬のように街を彷徨い、探し物が何だったのかを探しながら探し物を探す。
アテがないわけじゃない。
寧ろ絶対的な自信と僅かな劣等感のコンパスでフラフラと。

ひとつ隣の区画には男の友人が何人か暮らしている。
そこに温もりを感じながら男は生きていることを確かめる。
それがその男の日常であった。
決して裕福なわけではなかったが、金がないことを肯定する右脳が養われ幾分気分が良い様子だった。
ふと裏通りの壁に目をやると「高収入」の大好物。
美しい年上の女性の身の回りのお世話をして高収入。
男にとっては天職であった。
なんとなく電話をしてみた。
すると電話口から聞こえてきたのは意外にも若い女の声だった。
この手の茶番広告ってのは大体汚くて痩せた声の男が出るのが筋ってもんだ。
これは、もしかしたらもしかするぞ!と男が期待に胸を躍らせたのも束の間、担当に代わった瞬間に痩せ声じじぃ。
ファック!あゝくだらぬ我が人生!

そんな日々を踏み、ある初夏のこと。
男は当たり前の日々に死にたくなった朝が訪れたような気がして、いかんいかん、このままでは本当に神様の思う壺だと叫び家を飛び出した。
向かった先は護国寺。
そこには男のお気に入りのメシがあった。
親友に教わったソレを最期に食いたかったのだ。
男は飯に貪りつき、さっさと仏様に頭を下げ、うちに帰り、自慰の果てに満足気に死んだ。
まだ30の暑い夏の日だった。

というポルノ映画に出会ったのが昨晩の夢のこと。

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