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英語の質問に答えてみる14(5月15日)

生徒から来た英語の質問に延々と答えるページ。
これまでのも続きもここから読めるのでよろしくね。
質問は https://forms.gle/ELtXfSZSqF37UHaE8 で受付中。

5/12 特進3年生(女子) 問題集から色々

ULTIMATE 英文法・語法600
DAY26(13): 「Mai wouldn’t give in」の部分はどうしてwouldn’t を使うんですか?didn’t ではおかしいのですか?
  DAY27(12): 解説を読んでもなぜmost ofがダメなのかわかりませんでした!
  DAY28(19): この問題のように文を倒置している問題があるのですがこの倒置をすることでなんの効果があるんですか⁇
  DAY30(19): 答えの「there being」のbeが動名詞型になっているのはof(前置詞の後ろだから)動名詞型にしたってことですか??

回答

長いから分けます。頑張って書くので、頑張って読んでください。

質問1 助動詞wouldについて

DAY26(13): 「Mai wouldn’t give in」の部分はどうしてwouldn’t を使うんですか?didn’t ではおかしいのですか?

という質問ですが、問題文(空所についても解答いれてます)は、

Mai wouldn’t give in, though Mina asked her for the doll repeatedly.
(ミナがマイに何度も人形を欲しいと頼んだが、マイは決して折れなかった。)

でした。ちなみにgive in は「屈する、折れる」という意味なのですけど、以前に生徒が「骨折」みたいな文脈で give in 使ってきまして…。
丸暗記おそるべし、ですよね。みんなはそうならないように。折れるってそういう意味じゃないからね。

で、質問はwouldn’t の代わりに didn’t で良いかってことなんだけど、交換可能だと思います。
ただし、ニュアンスが変わります。

didn’tだと、マイは要求に応えなかった、というだけ。
どういう表情、態度で断ったかはわからないけど、とりあえず断ったということしかわからない。

一方、wouldn’tだと助動詞wouldなので、「意志」が感じられる。will, wouldは意志でした。
なので、wouldn’tを使ったこの英文は、
どうしてもマイは嫌がった、という強い拒否が感じられる英文なのでした。
というわけで、交換は可能ですけど、こういった違いが出ます。

質問2 mostly ofってなんですか?

DAY27(12): 解説を読んでもなぜmost ofがダメなのかわかりませんでした!

でした!ってところに強い気持ちが出ていますね。わかるー。

英文は
Traditionally, Chinese boats were made mostly of a material which was very strong but light enough to float.
(伝統的に、中国船は大部分がとても頑丈だが、水に浮くほど軽い素材で出来ていた。)

選択肢にmost ofがあると気になるよね。
ただね、今回問題は( ) of a materialなんですよ。
なんかmost of 入れると変ではないですか?違和感ありあり。
most of +複数名詞で「多くの~」でした。a materialがしんどいのですよ。

この英文だけど、
主語は Chinese boats、動詞はwere、補語がmade
これで、一応文型は完成ね。「中国船は出来ていた。」という2文型
そうすると、( )より右側は副詞要素になりますね(副詞は文型に影響を与えない)。
選択肢①most ofをつけると…もちろん、さっき言った通り×なのだけど、most of +複数名詞の部分は全体で1つの名詞のカタマリになるので、( )より右側が名詞様相になってしまう。
名詞は文中で主語、補語、目的語になる。けれど、be madeの右に名詞のカタマリは来ない。やっぱり①は×

続いて選択肢②mostlyをつけると…。mostlyは副詞なので、副詞が動詞修飾すると考えると辻褄は合わせられるんだけど、a materialより右はやはり名詞になってしまう。be madeの右側に名詞のカタマリは来ないんでした、やっぱり×。

そして、選択肢④the most…副詞の最上級と考えれば、the most自体は文型上存在するのは可能。でもやっぱり a materialより右側が×ということね。

で、選択肢③mostly ofだとなぜ正解か。
mostlyは副詞でbe madeを修飾する動詞修飾。ofは後ろのa material以下を従えます。
前置詞+名詞で、形容詞句もしくは副詞句を作ります。今回はofの左が副詞mostlyなので、形容詞句になりません(形容詞句は名詞修飾です)。よって副詞句。
ということは( )より右側がmostlyが副詞、of a material … floatまで全体副詞句。
( )より右が副詞しかないようにできる選択肢③が正解です。

be made ofっていう熟語表現に気づく前に、most ofに反応すると悩ましい問題だったかな。
mostly ofって熟語は存在しません。それが正解になるってちょっといじわるかなとも思いますが、本番だと丸暗記型受験生を潰せるタイプの非常に良い問題でした。僕は好きな問題です。

質問3 倒置の意味

DAY28(19): この問題のように文を倒置している問題があるのですがこの倒置をすることでなんの効果があるんですか⁇

英文は
Not only did she not tell me the truth, but she tried to steal my money.
(彼女は本当のことを言わなかっただけではなく、私のお金を盗もうとした。)

割ととんでもない知り合いを持ったんですね、この英文の主人公。たまにこういうストーリーが気になる英文てありますよね。

倒置なのですが、本問のように否定語句を文頭に置いて、後ろを疑問文の様な語順にする、というのがよく見かけるパターンです。

倒置ってどういう効果があるの?ってことですが、結構難しいです。僕も扱いきれないので、自分では恐ろしくて使用できません。読んだり聞いたりはできますが。

倒置の効果

①結論から述べるため

これは倒置でもそうですが、もっとわかりやすいのは形式主語構文や分裂文などでしょうか。
結論を先に述べて、評価や見解を述べるスタイル、授業では「抽象から具体」という話をしたと思いますが、そのような場合に倒置が起こります。

②強調したい語句を文末に移動させるため。

英語は「エンドフォーカス」と言って、多くの強調したい部分が文末に移動します。
Here comes the bus.とか There stands a castle.とかね。
余談だけど、here comes だと theで、there is だとaっておもしろいよね。

語順を入れ替えて、後ろに強調したいものを置く、という話。
先ほどの①と組み合わせると、(①)とりあえず結論を述べて、(②)自説を展開、みたいなことかな。

エンドフォーカス自体の議論はなかなか難しくて1985年あたりから論文が出てるみたいです。

エンドフォーカスって難しいんですけど、
Jesse had lunch with his family.ってどう訳します?
きっと
「ジェシーは家族と昼ご飯を食べました。」って訳すよね。
これはすごく日本語的なんです。この日本語で強調されている部分はどこですか?
「昼ご飯を食べた」だと思います。日本語もエンドフォーカスなのです。
でも英文はJesse had lunch with his family.なので、
もし英語のエンドフォーカスをわかるように訳すとすると
「ジェシーは昼ご飯を食べたんだ、家族と一緒にね」となる。
さっきの「ジェシーは家族と昼ご飯を食べました。」を英語にするとなると
Jesse did have lunch with his family.ってなるのかな。
動詞は文末へ移動できないから、強調の助動詞をつける。こんな感じ。

というわけで、強調したいものを後ろに動かすための倒置がある。
(倒置によるフロントフォーカス、ミドルフォーカス、というのもあるけど、話がややこしくなるので、エンドフォーカスのために倒置!だけ話すし、覚えててください)

③旧情報→新情報

これは①とか②と大いにかぶるのですが、英語の語順は旧情報→新情報のように流れます。
わかりやすく言うと、「初登場の単数名詞はa、2回目からはthe」って聞いたことある人多いと思うのです。
で、there is 構文。theはダメって習いましたね。
なんでかっていうと、there is の後ろ、つまり文の後半は「旧情報→新情報」の考えで行くと、新情報が来るのです。新情報…新…ですよ、theのわけないよねって話。
というわけで倒置はこの「旧情報→新情報」を守るためにも使用されます。

④言葉のリズムの関係

これは問題集の解説に書いてある通り、アクセントの関係で話しやすいように語順を入れ替えるってこと。
有名なのはLadies and Gentlemanってやつ。ただし、これはもう禁止フレーズです。
気を付けてね。
(2017年にニュースになってましたね→https://ideasforgood.jp/2017/11/22/ladies-and-gentlemen/)
で、Ladies and Gentlemenなんだけど、ladiesもgentlemenもアクセントは先頭にある。
なので、LA-dies and GEN-tle-menというようになって(大文字部分がアクセント)
強・弱・弱・強・弱・弱のリズムになる。このリズム、英語は好きなんですよね。
では、Gentlemen and ladiesだとどうなるかというと
GEN-tle-men and LA-diesとなって、強・弱・弱・弱・強・弱となる。英語のリズムとして座りが悪い。
こういうのもあって、Ladies and GentlemenはLadies and Gentlemenなんです。
このように、リズムを整えるための倒置も存在します。

実際には今言ったような要素を複数含んだものが登場します。というか大体複数絡んでます。

倒置って難しいので、使用するのではなく、受容するものと割り切ってもいいと思います。

質問4 動名詞の意味上の主語、動名詞の用法

DAY30(19): 答えの「there being」のbeが動名詞型になっているのはof(前置詞の後ろだから)動名詞型にしたってことですか??

英文は
I never dreamed of there being such a quiet place in this noisy city.
(こんなうるさい街に、こんな静かな場所があるなんて思わなかった)

質問者さんの考える通りです。
of の後ろは名詞が来ます。動詞を変化させて名詞のカタマリを作るのは不定詞と動名詞ですが、不定詞は前置詞の後ろに来ません。前置詞+to+動詞原形で、例えば、to to playとかなるのを嫌がった、くらいに理解しておけばよいです。

で、これで回答を終えると、せっかく3500文字近く打ってるのに回答が短いと寂しいので、
勝手にいろいろ話します。

動名詞の前にあるthereは動名詞の意味上に主語です。
動名詞の意味上の主語は通常は文の主語と一致です。今回でいえば、Iがそれにあたります。
ただし、動名詞の主語と文の主語が一致しない場合、動名詞の前に主語にあたるものの所有格もしくは目的格を置きます。
たとえば、I am proud of his being a teacher.(「私」は「彼」が先生であることを誇りに思っている)のようにです。
いろいろ言いたいんですけど、簡単な方から。

①there is構文も動名詞で使えるけど、thereはthereのまま。

これたまに質問来るんです。
「先生、thereの所有格ってなんですか?」→「じゃぁ聞くけど、veryの所有格って何?」→「先生、veryは副詞ですよ?馬鹿ですか?」→「thereも副詞だけど?」
年一回くらいある絶望的なやりとり。

thereはthereのままです。

②意味上の主語は基本的に所有格です。

所有格でも目的格でも良い、のではなくて、目的格も使えなくはない、くらいに考えておいてください。

所有格hisで説明します。
A. I don’t know his name.
B. His name is Ben.
両方OKですね。
C. I am proud of his being a teacher.
D. His being a teacher surprised me.
これも両方OKです。

では、目的格himでいきます。
E. I don’t know him.
F. Him is Ben.
どうですか?中1レベルでFは×ですね。
なんで?himは目的格だから、主語にならないよね。
さっきのBやDはHis + name、His + being a teacherで1つのかたまりの名詞だから主語になれた。
himにはそんな機能はない。

では、これはどう?
G. I am proud of him being a teacher.
H. Him being a teacher surprised me.
これまでと見え方変わってない?

先にHなんだけど、himが後ろの名詞とくっつく機能はないよね。なので、動詞の前に名詞2つあるし、そもそもhimは主語にならないしで×。

Gは許容されるけど、それは前置詞の後ろだからつい癖で目的格になるよね、ってただそれだけの話。
目的語には目的格を使うので、ついついhisじゃなくhimにしちゃった、という感じだね。

というわけで、余計なことまで話してみました。

また、なんかあったら質問よろしく!(4300文字くらいでした)

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