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日向坂46の未来は明るい。超全開のハッピーオーラに満ちた「5回目のひな誕祭」を振り返る。

【4/6(土)〜7(日) 日向坂46 @ 横浜スタジアム】

メンバーが認めているように、2022年3月に悲願の東京ドームの舞台に立った後、彼女たちは長い間、次の新しい目標を定められずにいた。また、2022年から2023年にかけて、けやき坂46時代からグループを牽引し続けてきたメンバーの卒業が相次いだこともあり、グループの中に不安な気持ちが伝播し、それも相まって次の大きな目標を掲げることができずにいたという。そして残念ながら、2023年は、2019年に日向坂46としてデビューしてから4年連続で出場していた「紅白」のステージに立つことが叶わなかった。

次第に積み重なっていく悔しい気持ちや焦り、迷いやプレッシャー。ともすれば、それらに押し潰されてしまうことによってグループが低迷期に入ってしまう可能性も大いにあったと思う。しかし彼女たちは、昨年末、キャプテン・佐々木久美の声がけのもとメンバーみんなで話し合い、もう一度東京ドームを目指すという新しい目標を掲げ、12月のKアリーナ公演のステージ上でファンへと共有した。それは、日向坂46が、自分たち自身の手で新しい物語を描き始めた瞬間だった。

2022年3月の東京ドーム公演の時は、2期生の濱岸ひよりが欠席しており、また、当時はまだ4期生が加入していなかった。だからこそ、次は、あの時にステージに立てなかったメンバーも含めた全員で東京ドーム公演に臨みたい、という彼女たちの意志は深い。しかし、誰よりも彼女たち自身が痛感しているように、2度目の東京ドーム公演を実現することのハードルは非常に高く、さらにそこには、ただ単に実現させるだけではなく、前回よりも良いライブにしなければならないというプレッシャーも伴う。しかし、2024年の日向坂46は、既にその先の景色をも見据えて力強く走り始めている。

佐々木久美
昨年、私達は「もう一度東京ドームを目指します」と目標を立てました。ですが、東京ドームがゴールだとは思っていません。さらにその先の夢もどんどん叶えて、みなさまに常に「応援していて楽しい!」と思ってもらえるグループでいたいです。

日向坂46デビュー5周年記念公式BOOK『H46MODE vol.1』

今の日向坂46が目指しているのは、2度目の東京ドーム公演の「さらにその先の夢」であり、いつか開催されるかもしれない2度目の東京ドーム公演さえも、彼女たちは通過点として位置付けようとしている。振り返れば、けやき坂46・日向坂46は、大きな目標に向かって、がむしゃらに、ひたむきに走り続けてきたことで成長を重ねてきた非常にタフなグループである。そして、そうした愚直とも言える歩の進め方は、きっとこれからも変わらないのだろう。2度目の東京ドーム公演さえも通過点とした上で、全国のおひさまから愛されるような真の国民的アイドルグループを目指す。今の日向坂46に、もう迷いや不安はない。


佐々木久美
4月には「5回目のひな誕祭」を開催します。5周年という節目になるので、私達がここまで積み上げてきたものを存分にお見せしたいです。呆れるくらいハッピーで大笑いできるライブを作り上げたいです!

日向坂46デビュー5周年記念公式BOOK『H46MODE vol.1』

4月5日に1期生・齊藤京子の卒業コンサートが行われた翌日、翌々日、日向坂46としてのデビュー5周年ライブ「5回目のひな誕祭」が開催された。僕は、2日間、現地で観ながら、彼女たちが放つ超全開のハッピーオーラに何度も強く心を動かされた。一切の迷いのなさが全身全霊のパフォーマンスへと結実、そして、会場全体にポジティブな熱気と観客の笑顔が広がっていき、それを受けてメンバーのパフォーマンスにさらに熱が入る。そうした熱烈な好循環から生まれる凄まじいエネルギーに、何度も圧倒されてしまった。

特筆すべきは、全編にわたって4期生の眩い存在感が際立っていたことだ。先輩メンバーの卒業によって空白となったポジションに4期生が入る曲も増えた。また、直前に卒業した齊藤がセンターを担っていた曲”月と星が踊るMidnight”を、4期生でパフォーマンスする一幕もあった。(センター:小西夏菜実)他にも、世代を超えた継承を感じさせるシーンがいくつもあり、グループとしての層の厚みと一体感を改めて感じた。


最大のハイライトは、本編ラストにおける”君はハニーデュー”のライブ初披露だ。作曲を担当したのは野村陽一郎。彼は今回、”キュン”、”ドレミソラシド”以来、約5年ぶりに日向坂46のシングル表題曲の作曲を手掛けた。衣装は、日向坂46のグループカラーの空色。そして、この原点回帰的なナンバーのセンターを務めるのが、4期生の正源司陽子だ。まさに、日向坂46の新しい幕開けを象徴する一曲にして、渾身の勝負曲である。スタッフやクリエイターを含めたチーム日向坂46が一丸となって、ここから起死回生をはかろうとする熱き気概を感じる。

今は、
未来が、
はじまる瞬間。

その力強い宣誓の言葉がスクリーンに映し出され、ポジティブな予感に満ちたカラフルなイントロが流れ始める。そして、正源司の周りを囲む歴代のセンターたちが、一人ずつ、”君は0から1になれ”から”キュン”へと時系列を遡りながら各曲の振りをきめ(ミュージックビデオでは2番に入っているパートで、そちらでは、歴代センターによる各曲の振りは時系列順)、最後に正源司へとバトンが繋がれる。そのまま、圧倒的な強度と輝きを誇るメロディが光るサビへ。幾度となく高まり続ける高揚感。ラストのブレイクでは、正源司が、果てしなく広がる未来をまっすぐに見据える力強い眼差し、目の前の壁を力強く突き破るような正拳突きを見せ、その後の転調から、さらに熱烈なクライマックスへ突入。圧巻のライブパフォーマンスだった。

正源司は、初日の時は、曲の序盤で緊張が見え隠れしていたように見えたが、曲の終わりに向かっていくにつれて次第に眩い笑顔が弾けていき、2日目の時は、イントロが鳴った瞬間からキラキラとした覚醒感が全開だった。たった1日の間に、とてつもないスピードで成長していることが伝わってきたし、何より、「目の前にある壁を全部正面突破して、もっともっと輝ける場所に、皆さんで行きたいと思っています。」という自信と確信に満ちたMCがとても感動的だった。


今回のライブのMCで、キャプテンは、日向坂46をこの先何年もずっと続いていくグループにしたいと語っていた。5月リリースのシングルから初めて選抜制度が導入され、新体制へ移行する中ではきっとメンバーたちの中に不安もあったはずだが、それでも彼女たちは、全員で一緒にグループの未来だけをまっすぐ見つめながら懸命に走り続けている。これまで、誰も想像していなかった坂道を自分たち自身の手で切り開いてきた彼女たちは、これから先、いったいどのような物語を描き続けていくのか。今はまだ全く想像ができないけれど、きっと今まで以上に大きなスケールで、今まで以上にポジティブな輝きを放ちながら、新しい物語が加速していく予感がする。

ハッピーオーラ全開で走り続ける日向坂46の未来は、きっと明るい。



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松本 侃士
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